現れた妖精さん
撃ちてがいないとただの鉄屑ですもの
「で、対空砲を出したはいいけど、これどーやって動かすの?」
とりあえずの武装はした。でも、こう、倒すとか殺すとか、違うんだよなー。俺としてはドラゴンは鑑賞する対象に思えるんだ。
月を見ながら塩をつまみに日本酒を飲むとか、そんな感じ。
『そこは、出血大サービスで、対策を考えてあるのですわ』
「花弁が回転しなくって良かったよ」
『吹き矢くらいは許容範囲ですわ』
「よし、この話はやめよう」
ドラゴン君は警戒してか、距離をとったままスカイツリーの周囲を飛んでる。悠々と飛行していて、優雅でかっこいい。お酒のおかわりが何杯でもできそうだ。
『あのカッコいい装備と一緒に使役するチャーミングな妖精もスタンバイさせてあるのですわ。わたくしに隙はないのですわ!』
「俺のボッチ設定はどこにいった?」
『漢の子は、細かいことを気にしていては駄目ですわ!』
「ボッチよりはいいけどさ!」
女神様、もとい女紙様から対空砲に視線を移した。そこには、緑色の服で2頭身の、ピーターパンちっくな、小さくてかわいらしい人型のナニカがいそいそと作業をしていた。
よく見ると背中には蝶のような羽があり、頭にはテッパチをかぶっているのがわかる。
「なんだあれ」
『アブサンという妖精さんですわ』
「妖精?」
アブサンという妖精は、ずらりと並んだ対空砲の数だけいるようだった。
対空砲には銃座があり、そこに座ったアブサンたちがこちらを向いた。右手を上げ、親指を突き出している。
『ラッパを鳴らすのですわ。プップクプー』
だらだらきままに続きます