どうやらご機嫌斜めの様子
オコかもしれません
ゴウっと空気を巻き込んで、真っ赤なドラゴンが天望回廊の横を通り過ぎた。ガラスがビリビリ震えた。
ジェット旅客機並みの大きさが至近距離でパスしてくの、恐怖しかないんだけど!
『鱗がくすんでいるのですわ』
心から残念そうな声色の女神様。
大事なのはそこじゃない。あのドラゴンの存在そのものだ。
「ちょ、Uターンして戻ってきてる!」
超由々しき事態。
わかるよ、いきなりこんなのが【にょきっ!】と生えたら気になるのは!
だからって、こう、いじめるようなことしなくっても、いいじゃない!
あきらめも大事なんだぜぇぇ!!
『あら、お口が大きく開きましたわ』
「え、それマズイ」
『おっきなお口ですわ』
「女神様ぁぁ謎の余裕かまさないでぇぇ!!」
女神様の紙をむんずとつかんで天望回廊を走る。せめて正面から逃れたい。
ちらと振り返る。ドラゴン君のお口に炎が見えた。
「絶対にアレヤバいやつじゃん!」
何ができる俺。何を出せる俺。
はやくおし、1秒で回答しな!
心の中のドーラおばさまに怒鳴りつけられた。
「あ、厚さ1メートルの巨大な鉄板!!」
天望回廊のガラスの向こうをふさぐように、鈍色の鉄板がドーンと現れた。
直後、空が赤く染まった。
だらだらいきます