地の果てその世界①
景色です
新幹線並みの速度で、天望回廊には12秒で到着した。強大なGに耐えきれず、俺は床にはいつくばってエレベーターのドアが開くのを眺めていた。これがスぺランカー体質ってやつか?
たくさん飲んだお酒類をリバースしそう。ダレカタスケテ。
『伊能さま、ついたのですわ』
先ほどのまでの酔っ払い痴態はどこへやら、女神様はひらひらとエレベーターを出ていく。俺は匍匐前進でついていく。ダセーけど、膝が笑って立ち上がれないんだよ。
「お、おお、おおお!?」
天望回廊は壁面がすべてガラスになっていて、床にはりついている俺でも景色が見える。
「んしょんしょ」
トカゲのように進む俺。壁面ガラスに額をつけて、広がる景色を見つめる。
地の果てまで続く緑の大海。緑は途切れることなく地平線に消えていく。
やさしい水色と深い緑色。地平線で二分された二色で世界は彩られていた。
「きれいなんだけど……森しかねえ」
文明の影は、微塵もなかった。女神様は地の果てと言っていたが、まさに地の果てだ。
遠くで鳥らしきが飛んでいるのは見えた。生き物はいるらしい。視界を横にずらすと、山の稜線が目に入る。それほど高くはないけど、峰が続いているのは見えた。
季節はわからないけど寒くないから冬ではないはずで、山も様々な緑でべったべたに塗られている。
『なーんにもありませんですわね』
俺と同じようにガラスにはりついている女神様の紙から、ため息交じりの、そうぼやく声が聞こえた。
あーたが連れてきたんでしょうが、あーたが。
いい景色は目に優しいのです