新幹線エレベーター
新幹線並みでゴーゴー
当社比2倍スカイツリーのふもとにある扉の横には、見慣れた三角のボタンがある。地上だから上三角のしかないけど。
「ぽちっとな」
このかけ声は、おそらく遺伝だ。父もよくつぶやいてた。
ボタンを押せば、しゅーっと滑らかに扉が開く。中は、どう見ても大きすぎる感じで、10畳ワンルームよりも広い。
俺のアパートよりも快適そうでなんか悔しい。ここで暮らしてやろうかコノー。
『眉間にしわが寄っているのですわ。不快な考え事は、しないほうがよろしいのですわ』
女神様は俺の背後に回っていたのか、後頭部に紙が押し付けられる。ぐいぐいと、結構力強い。女神様の気づかいを無駄にしちゃだめだな
「んじゃ行きますかねー」
乗り込んで、入り口わきの階数ボタンを探す。1と2しかない。展望デッキと天望回廊のことだろうか。
「バカと煙はなんとやら。いくなら一番上ぇぇ!」
迷わず2のボタンを押す。しゅーっと扉が閉まって、ゆっくり上からのGがかかる。
『時速換算360キロメートルですぐにつきますわ』
「いや速すぎんでしょ」
新幹線かよ、と思いつつ女神様を見る。
間違えてしまいましたわ、本物は時速60キロメートルでしたわ、とこっそり書かれていた。
ガキン。
突如きた強烈な上から圧力で膝が曲がる。
「まじかぁぁぁぁ」
エレベーターだけはフルスロットル