表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/27

世界

 とある執筆中の作品データが破損……。


 絶望しながらPCにデータが残っていないか漁っている時に、この話を見付けました。


 かなり昔、途中まで書いた物です。


 心が折れかけていたこともあり、気分転換に調整してあげてみる事にしました。


 なぜ、この話を書いたのかは思い出せない……。


 ひょっとしたら、昔どこかのサイトに上げたかも?


 ゆるゆると楽しんでいただけましたら、幸いです。

 とある世界の、とある時代……。


 この世には、人間との共存を拒否した者達が世界中で闊歩している。


 通常の倍はあろうかと言う野獣、人の形を模した魔界の住人、意思を持った鉱物に、牙を持った巨大植物。


 一歩外に出れば、非力な人間は何時命を失ってもおかしくは無かった。


 勿論、人間達もただ搾取されるだけではない。


 騎士、魔道士、傭兵、武術家……あらゆる肩書きを持つ者が、人の天敵を打倒しようと日々修練を重ね、血煙の舞う戦場へと足を運ぶ。


 世界の歴史は、異形の者達と人間達との戦いの歴史その物だった。


 そんな世界に生きる、人間達の大望。


 それは……『魔王の討伐』。


 世界を蹂躙する異形達の頂点、魔王。


 その手は山脈を握り潰し、その脚は軽々と街を踏み潰すと言われ、吐き出す吐息は台風を思わせる程激しく、魔界の炎や雷を自在に操るとも語られる。この世を支配しようと目論む、魔界の王である。


 その姿を見た者は、数百年を数える人と魔物との戦いの中でも僅か数名。皆が、英雄として後世にまで語り継がれる程の猛者だ。


 しかし、そんな英雄達をもってしても、魔王打倒は果たせていない。


 人々は魔王と、その配下である魔物達の存在に怯えながら、魔王を倒せる英雄の出現を待ち望む。そんな日々を繰り返していた。


 アルバニス国の首都トレルに集まった者達も、そんな英雄の予備軍と言って良いだろう。


 厳粛にして荘厳なアルバニス城。その中庭に、様々な出で立ちをした屈強な男達が集結していた。その数、二百を下らない。


 皆が歴戦の兵である事は、身に付けた武具や立ち振る舞いを見れば一目瞭然。彼らの力を結集すれば、一国の軍隊にも引けは取らないだろう。


 そんな兵達を前に、壇上に上がった初老の男が手にした銀の錫杖を高々と掲げる。


 皆の視線が一斉に壇上へと集まった。


 錫杖を掲げた鎧姿の老人は、眼下の兵を見下ろし満足そうに頷く。


「皆の者! よくぞ集まってくれた! 王に成り代わり礼を言う! 私は騎士団長を務めるフェイガル!」


 立派な白髭を蓄えたフェイガルは、王の代理を証明する銀の錫杖を掲げたまま咆える。


「弱き民が魔物共に虐げられ、命を落とす日々を、我々に見過ごす事はできぬ! 戦う牙を持つ我々が、民に成り代わり巨悪の根源を討つのだ! 王は言われた! 戦にて功を得た者には、望む物全てを与えようと!」


 フェイガルの言葉に、怒号の入り混じった喚声が上がる。


「出発は明後日! 向かうは淫濁の地ラジアル! その日を、魔王ヴェルナス終焉の時とするのだ!」


 喚声は更に増し、やがて野太い雄叫びは城下町まで届くほどになっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ