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夢の中へ連れてって  作者: 朝猫
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自分の死に方を選べるとしたらどうしますか?

篠田 コウ 30歳 かに座 A型 独身。


26歳で彼氏と別れてからずっと婚活するも上手くいかず、自分には男運がないのだともう半ば諦めかけている。

あぁ、私はこのまま実家暮らしをしてお父さんとお母さんの介護をするのかな。

私が年老いた時には誰が面倒を見てくれる?

1人で老人ホームに行けばいいの?

何で、私には彼氏ができないのだろう。

30歳。世間で言う行き遅れ人間に、片足突っ込んでいる状態だ。

いつしか同じことばかりを考えるようになっていた。

あぁ死にたい。私はいつ死のう?

ニュース番組で事故の映像を見る度思うのは、悲しいや可哀想という気持ちではない。


「あぁ また先越された」

私はいつそっち側にいけるのだろう。

地面のアスファルトを踏む度 思うことがある。

飛び降り自殺して、ここに体打ちつけたら痛いんだろうな。

そして、そんなこと出来ない私は死ぬ勇気もないんだ。

自分から命を投げ出す事ができたらかっこいいよなぁ。


今日もまたそんな事を考えながらなので、仕事にも精が出ず帰宅、ヘトヘトで虚ろげになりながら、その日もいつものように眠りについた。


パチッ 目が覚めた。ん?夢の中か?何かいつもの夢より視界がハッキリしているような。

仕事で疲れた日はよく夢を見るのだが、だいたい 過去の自分の苦しんでいた時のことや、懐かしい子供時代の思い出を振り返る。そんな感じの夢だったのだが、いつもとは違う雰囲気だ。


目の前に図書館のような建物がある。なんだろう。辺りは暗いが、不思議にも怖い感じは一切しない。向こうから呼んでいるような気がして足を進めた。


細い草道を進み、木の扉が見えた。

ギィー 前開きだ。


【こんばんは】


「えっ あ あの こ こんばんは」


扉を開けた瞬間に人が立っていたのでビックリした。

細身の30代後半くらいの仏頂面の男性だ。

私が少し上を見上げる感じになるので、170cmあるかないかぐらいだ。


【さ 中へどうぞ】


その人の案内により中に入る。パソコンや長椅子

本がズラリと並んでいる。

本当に図書館だったんだ。


【こちらへお掛けください。】


その人と向かい合って座る。よく見れば私 以外にも何人かいた。

ハローワークの休職案内のように、受付さん、求職者というような感じで真剣に話している。


【ささ、早速ですが今回はどういった死に方をご希望でしょうか?

出来ればいつまでに死にたい等、御要望はございましたらどうぞ。】


その人は淡々と凄い事を言ってのけた。


「え え 何ですか、死に方?よく分からないのですが。」


自分にも自殺願望が常日頃あった為、失礼な発言だとは特に思わなかった。

ただ、謎を解明したい気持ちで質問した。


【あ 失礼しました。今日が初めてのご来店でしたんですね。

すみません。落ち着いた風貌だったので、最初の説明を省いてしまいました。】


いやいや、私が落ち着いてるからって最初の説明は大事でしょう。

新しい携帯買うのに、取扱説明書ないまま使えと言われてるようなもんだぞ。

正解か不正解かよく分からないツッコミを心の中でいれた。


【当社は見立て通り図書館です。

しかし、ただ本を借りるといった場所ではなく自殺願望者の方に理想の死に方を選んで頂き、それを実行させて頂く場所になっています。


私は総支配人の柊と申します。

今日はどうぞよろしくお願い致します。】


「あ どうも。篠田です。よろしくお願いします。」


簡単な自己紹介が終わった。


【では、簡単にですがざっと説明しますね。

こちらの資料をお読みください。】


ハローワークの手続きみたいだ。再就職手当が欲しくて行ったときにこんなことあったな。

あの時は28歳で、当時の彼氏と別れて傷心中だった頃か。


懐かしい思い出に耽っていると、柊さんの説明が始まった。


【まず当社ですが、見た目は図書館、場所はあの世とこの世の境い目になります。

ここへの行き方ですが、まぁ 死にたいなという想いが強くなった方に、自動的に夢の中で訪れる形になっています】


死にたいと思った人はみんな来る?その割にはここの話を噂でも一切 聞いたことはないけど、、。


【あ ここに来られたことは現実世界では話せないようになっているんです。

過去に話そうと試みた方もいらっしゃいましたが、全て失敗に終わりました。

記憶は残ってるけど話せない。そんな感じですかね。 なぜかというと、ひとえに神の力と言うことです。

まぁ、別に世間にバレてはいけないようなやましいことをしている訳ではないのですが。】


肝心な所は曖昧な説明だ。

不思議に思った事へすぐ回答してくれたので、柊さんは、私の心の中が読めるのではないかと少し不安になったが、

今は聞かないで置くことにした。


【では次ですね。簡単な流れとしましては、死に方を選んでもらう。選んだ内容の日が来たら死んで頂く。

内容の日が来るのは、人気な死に方の物だと順番制です。早くても1年以上かかる場合が多いですね。

あまり人気のないものだと比較的早くに順番が回ってくるので、早ければ明日にでもといった形になります。


次のページをめくって下さい。

ここに死に方リストが書いてあります。

今の時点で大体 どう言ったものが良いか希望ありますか?】


どうやら私は死ぬ方向で話が進んでるようだ。


ざっとページを読んでみた。

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