旅の人 〜序章〜
男は旅する
どこへゆくのかも
なんのためにゆくのかもわからずに
男は旅する
道なき道をゆく
あれはてたあの荒野を目ざす旅路
浅い眠りの最中
ふと男は想い出す……
「最初から、何も持っていなければ、失うものも何もなかった……」
一寸先の旅人の言葉だった
彼の名は何といったか…?…忘れた
でも、たしか、コギタネェ“人形”を大事にしてたっけ。
「最初から何も 持って いなければ 失うものも何もなかった……」
それは、たしかにその通りだと思う。
だからこそ、オレは……
だからなお、オレは……