一話 やっぱり、俺は親友キャラ
本格的な物語開始はここから。
さーて、どれぐらい続くかな?
長い長い授業が終わり、放課後。寝ぼけながら、俺こと親ヶ崎裕也は、部活にも行かず、さっさと帰る準備をしていた。だって帰宅部だし。
そんな時、とある男が俺を呼んだ。
「おー、智也!一緒に帰ろうぜ」
みると、そこにはあらまイケメンが。短過ぎない短髪に優しげな瞳、形の整った顔面に程よく鍛えられた体躯。纏う雰囲気も何処か爽やかだ。
彼こそが我が『人生』においての主人公キャラ 加賀美爽也。俺の親友でもある男だ。
俺はそんな爽也と親友である事を誇りに思っていると同時に爆発しろとも思っている。
「良いけど……お前、今日は部活の手伝いは無いのか?」
爽也は部活に入ってはいないが色々な部活の助っ人をしている。というのも、運動神経抜群な上に特に入りたい部活もなかった爽也は、部活同士の取り合いになってしまい結局入らなかった。
爽也は俺の質問に爽やかな笑みを浮かべて答える。
「あぁ。それに、今日は瑞姫に帰ろうって誘われたから」
「え、お前じゃあ俺はいない方が」
「なんでだよ、幼馴染3人で帰ろうぜ」
瑞姫……水原瑞姫は俺と爽也二人の共通の幼馴染の女の子だ。小柄ながらも元気溢れる彼女は、可愛いと断言出来るぐらいには顔もスタイルも良い。そして、爽也に恋をしている。
所謂ラブコメでいう所の『幼馴染』枠である。
ここまで来れば何故先程俺が躊躇ったか分かるだろう?……どう考えても邪魔なんだよな!俺!
とは言えないので、爽也の誘いに了承し教室を出る。
「あれ?瑞姫も帰るんだろ?どこにいるんだ?」
「あー、なんか係の仕事で先に教室を出た」
「まじか。知らなかったわ」
「そりゃお前さっきまで寝てたからな」
暫く爽也と生徒玄関で話しながら待っていると、校舎の階段を小走りに降りてくるサイドポニーテールの少女が現れた。
「お、瑞姫!仕事は終わったのか」
「うん!遅くなってごめんね!爽也!……と智也」
「悪かったなここにいて」
茶化すと、瑞姫はにゃははー、と笑いながら誤魔化した。ちょっと申し訳ない。
「早速帰ろうぜ!それともどっか寄ってくか?」
そんな事を気にも留めずに意気揚々と歩き出す爽也。お前もうちょいそういう事に機敏になれよ。そんなだから鈍感系主人公と言われるんだぞ、主に心の中の俺から。
「瑞姫、悪かったな。爽也と二人っきりで帰りたかったんだろ?」
「うっさい!」
俺が小声で揶揄うと、顔を赤くして反論してきた。
実は俺は瑞姫から恋愛相談をされているので、彼女が爽也のことを好いているのを知っていたのだ。……まあ、そうじゃなくてもわかりやすいがな。
「どっか……ファミレスでも寄るか」
「そうだな。瑞姫もそれでいいか?」
「うん!全然良いよ!……爽也となら」
「なんか言ったか?」
「ううん、なんでも!?」
な?わかり易いだろ?
さて、それはそれとしてファミレスに寄る。
「どれにしようかな……」
「俺はナポリタンかな」
「じゃ俺はカルボナーラ」
「えー、2人ともスパゲティ系?でも私はデミグラスハンバーグ!」
メニューを注文しながら、3人とも家に「夕飯は要らない」という旨のメールをする。金曜日だし、ご褒美だご褒美。
さて、これで穏便に済めば良いのだが、ラブコメ主人公キャラがいるのならばイベントが起こらないわけがない。例えば……
「あれ?爽也君……と、瑞姫さん、智也君じゃないか」
「矢澤先輩!」
『超絶美人な生徒会長』にばったりでくわす、とかね。
矢澤玲子。俺達より一つ学年上の2年生で、生徒会長を務める凄い人だ。
うちの学校では、生徒会長はどの学年が務めてもいいと言うことになってはいるが慣例的に3年が務めていた。それを初めて一年生の時から生徒会長を務めあげたといえば、その凄さがわかるだろうか。
さらには、容姿も素晴らしい。
綺麗に整った美麗な顔立ちにスラッと背が高いクールビューティ。そしてなによりたわわに実った巨大なメロン。……デカイな。
とまあ、色々と規格外に高スペックな彼女だが、実は彼女も爽也の事が好きなのである。勿論、本人に聞いた訳では無いが、見てればわかる。現に、瑞姫と矢澤先輩の間で火花が飛び散っているのだから。
「こんにちは矢澤先輩。わざわざ此方に話しかけてくれるなんて、もしかして何かあるんでしょうかね?」
「あら、瑞姫さん。貴女こそ顔がニヤけてるわよ?どうしてかしら」
ひぃぃぃ!怖っ!女同士の戦い怖っ!
と、恐ろしい冷戦を繰り広げていたが、それに気づかない爽也が爽やかに話し掛ける。
「先輩はどうしてここに?」
「え、ええ。生徒会のメンバーと部費予算の話し合いをしようと思って」
「なるほど!大変ですね!」
「そうでも無いわよ?でもそうね、少し急がないと……。じゃあ爽也君、名残惜しいけれど、また来週ね。あ、あと瑞姫さんと智也君も」
「はい、先輩も頑張ってください!」
結局爽也と話しただけで満足し、矢澤先輩は生徒会メンバーの所に戻っていった。
というか、最後俺ら完全に付け足しただけだっただろ。ちょっとは隠せよ。
ふと瑞姫の方をみると、微妙に頬を膨らましていた。
「爽也、矢澤先輩と仲良さそうだね」
「そりゃあ、色々手伝ったりして話す機会は多いからな」
ジェラシー満載の瑞姫の言葉に屈託の無い笑顔で返す爽也。こいつ、本当に気付いてないのだろうか。
結局、その後は特に何も起こらず─────不満げな瑞姫の機嫌を戻すのに手間取ったが─────楽しく談笑して帰路へと着いた。
──────────俺も美人にモテたいんだけど。
もっとわかり易い文が書きたい