の空間
初めての投稿です。
俺はたった今多分死んだ。
トラックと正面衝突だ。助からない
一七年という短い生涯だった。
楽しかったこともあるが辛いこともあった。
小さい頃死んだら天国か地獄に行くと母が言っていた。
しかしここは何もない白い空間だった。
天国にしろ地獄にしろ何かはあるかと思っていたが何もない。誰もいない。
ただ白い空間が永遠に広がっているだけだ。
俺は生きている時特別いいことはしていないが悪いこともしていない。
だから行くなら天国かなと思っていた。
転生物が好きだったので異世界転生もいいなそんなことも考えていた。
しかしそんなことはなかった。
何も誰もいない空間。
俺がおもっていた楽園はなかった。
ここには俺一人しかいない。
誰かと話すこともできない。暇だ。
生きている頃は暇している時間がわりと好きだった。
普段も何かに縛られているということはなかったが、暇していると縛られていない、なんでもできると思えたからだ。
でも今は違う。
暇以前にやれることもなければやらなくてはいけないこともない。
俺が思っている暇という状況とはかけ離れている。
これからずっとこの状態が続くのかと怖くなったが考えないようにする。
若くして死んだということにもちろん後悔もしている。
あと一秒でもゆっくりと家を出ていればとも思う。
そうすればもしかしたら事故に遭わなかったかもしれない。
親孝行できなかったこともそうだが、やりたいことは沢山あった。
美味しいものをもっと食べたかったし、海外にも行ってみたかった。
ゲームももっとしたかったし、読みたい漫画や本もあった。
しかしそれは全部叶わなかった。
親に今ままでの感謝を伝えることもできなくなってしまった。
やれなくなったり出来なくなってから後悔するとはこういうことなんだなと実感した。
後悔してももう遅い。
でも一回ぐらいは高いお店でご飯を食べてみたかった。
俺は彼女がいたことがない。
高校生のになり彼女ぐらいできるかと思っていたがそんなことはなかった。
友達がLINEステメに幸せと書いていたのがとても羨ましかった。
友達と遊ぶのは楽しかった。
でも何か足りなかった。
ラノベではインキャもすぐに彼女ができていた。
彼らと俺の違いはなんなのだろう。
やはり顔だろう。
彼らは自分ではイケメンではないと思っているようだが、そこらのアイドルより整った顔をしている。
二次元だからといっても何か壁を感じる。
自分で決めることができない部分で負けたと思うと悲しくなる。
人は中身とか言っている人もいるがある程度の顔がないとそんなことも言えないのではと思ったこともあった。
俺は五人家族だった。
俺、母、父、妹、弟の五人だ。
家族仲は普通に良かった。
育ててくれてありがとうと最後に言いたかった。
親よりも早く死んでしまいとんでもない親不孝ものだと思う。
ごめん
運命という物はあまり信じたくはないがそういうものもあると思う。
信じたくない理由は死んでしまった理由が運命だからで片付いてしまいそうだからだ。
運命というものがあるのなら俺は最初からこの歳で死んでしまうのが決定していたのか。
そう思うと悲しくなる。
運命とは都合のいい言葉だと思うと。
何かが起こっても運命この一言で片付けれてしまう。
生きている頃は運命的な出会いとがあるといいなと思っていた時もあった
そんなものはないとわかっていたけど信じたかった。
そうでもしないと彼女はできないと確信していた、て言うのはおかしいかもしれないが多分そうでもしないと彼女はできないと思っていた。
実際出来なかったし、できそうにもならなかった。
悲しいが当然だと思う。
死んだという実感はない。
しかし受け入れなくてはいけない。
死という物は悲しいものである。
もう前に進むこともできない。
戻ることもできない。
生きている時は死というものをあまり考えていなかった。
怖くなるからだ。
人はすぐに死んでしまう。
病気もそうだが車や自転車にあたるだけでしんでしまう。
死んでしまったら何も残らない。
生きていたという証明もできない。
ただ他の人の記憶だけが俺という人間が生きていたと覚えている。
だが記憶も薄れていく。
そうしたら俺は消えてしまうのではないか、そう思ってしまう。
しかしおれ自身の記憶がある。
逆に言えば俺しか覚えていない。
おれ自身の記憶だけが俺が生きていたという証明になる。
叫ぶこともできない。
声に出すこともできない。
ここはそういう空間なのだ。
悲しくなっても泣くことができない。
思い出して笑うこともできない。
ただ感情としてあるだけで外に出すことは出来ない。
ここで俺はどんな思いで生きていけばいいのだ。
いつここを出ることができるかも解らない。
永遠にここにいなくてはいけないかもしれない。
その永遠の時の中で俺はなにを思うのだろう。思い出すのだろう。
その記憶だけが今まで俺が生きていたという証明になるのだろう。
その記憶だけが。
読んでいただきありがとうございます。
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