と言うか、誰がいきなり来た奴に部屋と仕事紹介してくれるんだろう?えっ、某英語講師殺人の逃亡者?そんなの知らんな。すっとぼけ。
一夜明けて、
「おはようございます。」
目を擦りながら、朝日を浴びて煌々と輝く親父!
「ふあー、おはよう。昨日は寝れたか?」
がしっ。ちょっ、鼻フックはふぁめて。
「あっ、はい。おかげさまで。今日はよろしくお願いします。」
「うんじゃ、行こうか?」
「えっと?どこへですか?」
「いけばわかるから。」
そして、しばらく街の外れに歩くと、
「ここだ。おーい、おやっさん。」
・・・・・
「うん?おーい、おやっさん!」
そう言いながら、奥へと進む親父。
「なんだ、いるじゃねえか。おやっさん、手伝い連れて来たぞ。」
「うん?おお、酒屋の親父か。」
「おう、おはよう。」
「おはようございます。」
「おう、おはよう。でっ?手伝いだって?そういや、そんなこと言ったな。こいつか?その手伝いは?」
「そっ、ほれ自己紹介せい。」
「田吾作と申します。よろしくお願いします。」
「かしこまらんでええわい。仕事するんだな?それじゃあ、はよ、ついて来い。」
「じゃあ、任せた。」
奥に進むと、異常な熱気に包まれ、額から汗が滲む。溶けた鉄が放つ熱が部屋を満たしている。
「さて、それじゃあ。何してもらおうかの?鍛治仕事は?したことはないのじゃろう?あれば、こんなところに紹介なぞされんからの。」
「はい、その通りです。」
大きく肩を落とすタゴサック!専門職は食うに事欠かないので、浪人なんてやらずに普通に暮らしてるからね。
「まあ、ええわ。雑用が山ほどあるからの。」
鍛冶屋の雑用って何あったっけ?うーん、わからんby作者。
「まずは、これ持って、裏にまわって、薪でも割って来てくれ。それが終わったら、水汲みじゃ。」
「(今までと変わらない〜)わかりました。」
「桶とカメはそこに置いとる。近くの川から汲んできてくれ。じゃあ頼んだぞ。」
そうして、熟練の技で瞬く間に薪割りを終えるタゴサック。農家の三男坊なんて、スペアにすらなれない体のいい雑用係(偏見)であり、このあたりは慣れたものである。
「ふうー、とりあえず薪割りは終わりかな?家と変わらないよー。水汲みか。ハァー。」
水汲みであるが、蛇口をひねれば出るわけもなし、桶を担いでとなるとかなりの重労働である。昔もそして発展途上国では今でも、子供の仕事として、丸一日かかるような仕事である。
「これで、一杯になったかな。」
「おう、ご苦労さん。」
肩を叩き、労いの言葉をかけながら、何やら思案顔なおやっさん。
「ふむ、思ったよりも早かったな。次は何してもらおうか?」
「あんたー、ご飯よー。」
「おう、朝飯か。そういや、お前は食ってきたのか?」
「いえ、何も食べてきてません。」
「そうか、じゃあ一緒に食えな。」
「いいんですか?!」
「おう、その代わり飯の後も頼むわな。」
「はい!」
そして、朝ごはんである。
「悪いな。こんなもんしかなくて。」
さて、この国の庶民の食べ物と言えば、粟やヒエが主流である。米も作られているが、年貢として6割ほど持っていかれる上に来年の種籾も必要となり、庶民の口に入ることは少ない。もっぱらは税のかからない雑穀である。6割とはひどいと思う読者も多いと思われるが、あくまでも米のみである。そして、家賃も不要なので、実質的な税負担は現代日本よりも実は軽い。本当、今の税金は高い。年金と保険料が高すぎる上に消費税すら10%である。なのに、年金と保険の恩恵に預かっている世代が働いているころは、せいぜい10%程度しか天引きされておらず、共働きも少なく女性に関しては支払いもなく、年金や保険にタダノリである。そりゃ、破綻するわ。
徴兵も少なくない上に生活水準は高くないので、比較は難しいのだが。
ちなみに、下克上で有名な三梟雄の伊勢宗端の北条家に至っては4割で完全に今の税金を下回る。本当、今の政治家と官僚には見習って欲しいものである。
また、ほかの三梟雄の斎藤道三はあくまでも、仕事しない主君を追い出しただけであり、こちらも政治家としては優秀であった。
また、芸術は爆発だ!とエロ教本で有名な松永弾正に至っては、政治家として優秀な上、主君の三好長慶、その後継の義継を裏切ったことは実はない。
閑話休題。
「これは!」
「いや、悪いな米は切らしてるんだわ。大したものじゃないが、食ってくれ。」
「いただきます。」
そうして、一口食べたタゴサックは、言葉も出ないのか、ただ涙を流し始めた。
「おい、急にどうしたんだ?そんなに不味かったか?」
さて、今では健康食の雑穀米、これが本当に不味いんだ。しかも、米より遥かに高いときたもんだ。あんなもん高い金出して食うとか馬鹿なんじゃないかと。
「うまい〜〜〜。」
「えっ?いや、別にうまいもんじゃねえだろう。」
「何を言うんです。ちゃんと粟やヒエが口いっぱいに広がるじゃないですか。うちの家なんてほとんど水のかゆの上に塩も何もなかったですよ。」
量がないなら、水で嵩増しすればいいじゃないか!特に三男坊なんて、薄い部分しかやらないのが当たり前(偏見)
そう、例で言えばあのアニメ、「お兄ちゃん、うちうんこビチビチやねん。」のあの薄いかゆである。
「そうか、苦労したんだな。良くそれで大丈夫だったな。」
「いえ、全然大丈夫じゃなかったので、良く近所でカエルやイナゴ捕まえて、焼いて食べてました。」
ワイルドだろう?
「・・・・そりゃ、また・・・苦労したんだな。」
そう、貴重なタンパク源であるカエル。皆さんは毒のある種類もあるので、下手に手を出さないでね。
カエルを取るときは、「とったどー」と言うのはやはり礼儀なのだろうか?
「こんなんで良ければ、また作ってやるよ。どうだいおかわりは?」
「いいんですか、おばさん。でも・・・」
「いいんだよ。美味しそうに食べてくれるんなら、こっちも嬉しいもんだし。」
「じゃあ、お願いします。」
「さて、じゃあこれからは炉に火を入れて鍛治仕事をやっていくんだが、お前にはフイゴをやってもらう。」
「フイゴ?ですか?」
「まあ、こいつを使って、炉に空気を送り込む役だ。これで火力を調整する。強さは俺が指示するから、頼むな。」
「はい。頑張ります。」
とりあえず、熱いのとしんどいのを除けば単純作業である。ただし、火力の調整は熟練の目が必要である。
特に面白くもないので飛ばしやすね?犯人はヤスちゃうで?
「ふうー、今日はこれでいいだろう。一日ご苦労さん。」
「あっありがとうございました。」
疲れた顔で答える田吾作どん。
「じゃあ、親父の酒場にでも行くか。あと、これは今日の分な。」
そして手渡される銭。大した額ではないが初めての仕事での銭である。
「ありがとうございます。」
「行くぞ、ついて来い。」
そして、酒場である。
飯を食いに訪れる人も多い。
ガスをひねれば、煮炊きが出来る今と違い、炊事はかなりの労力を使う、効率を考えるのであれば、屋台や外食がむしろ安上がりである、今の日本とは常識が違うのだよ、明智君。東南アジアとかでも結構そうでしょ?
「おう、親父邪魔すんで?」
「邪魔すんねやったら帰って〜。」
「あいよー。・・・・ってコラっ。」
新喜劇である。最近見てないなー。
「冗談、冗談。で?どうだった。」
「そうだな。覚えもいいし、素直で仕事も早い、それにいい奴だな。」
「そうか。そりゃ、よかった。」
「ふむ、とりあえず10日ほど頼むわ。そのあとは・・・色々させるんだろ?」
「おう、考えてるぞ?」
何やら目の前で不穏な会話を繰り広げられる中、当の本人は。
「お腹空いた。」
「おっ、そうか。すまんな。飯だったな。今日は猪が取れたってことでな。肉もらってきたんだわ。」
牡丹である。作者は桜は食べたことがあるが牡丹はありませんので、味の描写はございません。
「おう、親父。こいつが後輩かい?」
「ああ、田吾作だ。」
「田吾作です。失礼ですが?」
「助兵衛ってんだ。平たく言えばお前の先輩だな。」
いばる浪人、完全にやばい名前だ。そう言う意味を持ったのは江戸末期か明治以降らしいのでセーフ?
「先輩ですか?どうぞよろしくお願いします。」
「おう、困ったことがあったらなんでも聞いてくんな」
「ありがとうございます。励んでいきますのでよろしくお願いします。」
「おう、励みなよ。」
と言いながら、親父を一瞥するスケベ。
「しかし、三男なら苦労したんだろ。ここの連中は気のいい奴が多いからな。周りを頼れよ。」
その視線に釣られて親父に目を向ける田吾作。
「励ましていただきありがとうございます。」
「はげんでいく?はげみな?はげます?」
虚な顔をしながら、そう呟く親父。
「おい?覚悟はできてんだろうな助兵衛!」
そう言いながら、助兵衛を店の外に引きずる親父。
・・・・少々お待ちください。
「おい!手前は何を人ごとだと思ってんだ?ああん?!」
えっ、何?私(作者)?
「あたりめえだろうが?手前が書いてんだろうが!早くきやがれ。」
あっ、はい。
・・・・少々お待ち下さい。
「反省したか?」
「ふぁい。」ふぁい
「次やったらどうなるかわかってんな?」
「ふぁい、すびばぜん。」
「もう、しねえよな?」
「・・・・はい、もう金輪際しないです。」
「・・・・・・・・」
そう言われて、顔を真っ赤にするタコ親父!
「毛根、臨在しないだと!?」
「・・・・へっ?」
「毛根、臨在しないとは、てめえ俺のことか?」
実際そうやないけい!
「はあ?誰もそんなこと言ってねえだろうが。てめえ頭にウジでも沸いてんじゃねえか?」
そう言われて、少し嬉しそうな顔をしながら、頭に手をあてる親父。しばらく、触って何もないことに気づいた親父は落ち込んだ顔をしながら、
「てめえ、期待したじゃねえかよ。」
と助兵衛にアッパーカット(流暢な英語で)。
「理不尽!ガクッ。」
「まあまあ、親父。その辺にしといてやれや。」
「おやっさん。」
「ほら、3本より0本のほうが可愛いじゃねえか。」
「バケラッタ。って、こら。今は令和。昭和じゃねえの。」
やっぱり、QよりOのほうが可愛いよね。
「まあ、戻って飯でも食おうや。ほら、助兵衛も。」
・・・・
「あっ、大丈夫でしたか助兵衛さん。」
「大丈夫だ。お前も気を付けろよ。」
「はい。」
「親父、酒おかわりな。」
「おやっさん、ありがとうございました。」
「いいってことよ。それより、気になることがあるんだが?」
「へい、なんでしょう。」
「あれって、作者Fだっけ?Aだっけ?」
「えっと、どっちでしたっけ?結構最初ですから、共同ともかも。」
「あーそうか、そういやそうだったな。えっと、青ダヌキと発明はFだよな?」
「多分。」
「ドーンはAか?」
「いや、どうでしたっけ?」
「梅干はF?エスパーはA?ヒーローは?忍者は?」
「いや、もうその辺りになると、よくわからないですね。」
「ふーむ、親父や田吾作は?」
「いや、覚えてねえよ。」
「確か、ヒーローはFだった気が。」
「えっ、Aじゃねえ。」
「いや、そうだFじゃねぇかな?」
「Aだ。」「Fだ。」やいのやいの。
「ごめんくださーい。」
おや?誰かきたようだ。
話進んでないですね。
作品中では出ませんが、親父の名前は決まっております。
親父の名前は、
神室 輝三 です。
はっはっは。わかる人にはわかるでしょう。
・・・・おや、誰かが来たようだ。
おやJ・・・・・・
その後、作者を見たものは・・・・。