第2話「4月25日 AM10:22~」
世界電波塔
─ 四人の転校生 ─
第2話「4月25日 AM10:22~」
警察病院
診察室には医者と創の二人きり
八重葉は個室のベッドに寝かされている
機密保持の観点から、看護師ですら部屋の外に追いやられた
創は医者の口から「電波塔を取り除くと、八重葉が死ぬ」と宣告された
「彼女の…八重葉ちゃんの肉体は、それほどひどく損傷しているのですか?」@創
そう口にした通り、創の頭の中で状況に関する答えはもう決まっている
彼は、かわいそうな女の子に同情し、辛そうに眉間にしわを寄せた
自分のせいで子供を不幸な体にした。創にとってそれは二人目。同じ過ちを繰り返してしまった
そう悔やんだ
しかし、本当の答えはもう少々複雑なのであった
「いえ、彼女の身体は健康そのものですよ」@医者
それは、創が脳内で想定していた答えとは異なる
「なに?」@創
医師は拳を唇に当て、自分に対して念を押すように思案した後、改めて口を開いた
「健康、と、言わざるを得ないんです。これを見てください」@医者
55インチ8KAndroidTVをリモコンで操作する
八重葉の腰の部分のレントゲン写真が表示された
「こ、これは!」@創
創は右足を引きずって立ち上がった。そして画面に爪を立ててまで、その現実を拒絶する
あの、直径13cmの球体が形を変えて少女の脊髄と融合している
目の前の医師がいたずら者で、彼女のレントゲン写真をフォトショップしたと言われた方がまだ得心が行く
「この状態の、どこが健康なものか?」@創
医師は、目を閉じて頷きながら、人差し指で眼鏡を押し上げた
「私も初めは一大事に思って、再度、精密検査を行いました」@医者
「なら…」@創
食いかかってくる創を、医師は手のひらを押し出して制した
「でもね、Brigadier-chef…その特殊な形状以外、精密検査の結果は、定量化された数値は、どれもこれも健康な子供のそれなんですよ」@医者
創は厳しい顔で医師の目を覗き込む
彼の刑事の資質が、医師の目の奥に彼の本心を見出すのだ
「フン。プロの威信にかけて彼女は健康…そう言うのだな」@創
「彼女は健康…これ以外の答えを提示しろと言うならば、いっそ医師免許を返上します」@医者
呆れるほどいい度胸だ
「現在の状態が彼女にとって健康なのです。”新”小江戸八重葉の正しい在り方なのです。そして、元13cmの球体だったものは、今や彼女の命支える重要な臓器となって居る」@医者
創は腕を組んで椅子の背もたれにどさっと体重を預け、何かを言おうとした
医師は彼が言おうとしているなにかは間違っているであろうと察し、発言権を奪った
「我々に説明できないのは、どうやってその様な変質をわずかな時間で成しえたかです。医学的に不可能だ」@医者
「変質…か」@創
「そうです。変質です。質が変わったのです。彼女の命の在り方が」@医者
「フン。それは、世界電波塔を理解する上でのキーワードになるかもしれん。まるで、電波塔が彼女との切り離しえない融合を望んだかのようだ」@創
医師はかぶりを振る
「それは我々が考えることではない。医学がそこに思いを巡らしたら、正確な判断はできない。命は救えないんです」@医者
医者め、いよいよ頼りにしたいというところで、面倒を放り投げて来よった
創のため息
「電波塔と一つでいる限り、彼女の命は危険にさらされ続ける。八重葉ちゃんと電波塔をさっぱりと縁を切ってやらなければいけない」@創
医者は御託を並べるだけで、肝心なところで頼りになりそうにない
さて、どうしたものか…
「うがっ!」@マリコ
脇にケンタッキーフライドチキン・オリジナルチキン・12ピースバーレルを抱えたマリコが包帯で全身ぐるぐる巻きにされた姿で入ってきた
何が気に入らないのか、ぶすっくれた表情で、チキンをもっぎゅもぎゅと食べ続けている
看護士が一人、彼女を追ってきた
「デュポアさん!今、その部屋に入ってはだめです!それにあなたは絶対安静です」@看護士
創はマリコに椅子を差し出しながら微笑んでいる
「この娘は良いんだ」@創
看護師は「そうですか」とテンションをもとに戻し、別な12ピースバーレルをテーブルの上に置いて去っていった。どうやらマリコに頼まれて買って来たらしい。はて、日本語をまともに話せない彼女が、どうやって意思を伝えたのか?創の悩みが横にそれた
「うーが、」@マリコ
マリコは12ピースのチキンを早々に食べ終えて、次のバーレルをわきに抱えた
創は目を細めてその様子を眺め、マリコの頭を撫でた
「肉ばっかりではなく、野菜も食えよ」@創
創の顔が医師のほうに向き直りながらしゅっと引き締まる
「で、どこまで話しましたっけ」@創
「あ、いいですか。話続けてもいいですか?あーよかった」@医者
医師はスタイラスペンを取り出し、AndroidTVの八重葉のレントゲン写真の上に何やら書き出した
13cmの球体と融合した部分の輪郭をなぞる
ペンの色を変えて一部をまるで囲む
「Brigadier-chef…これ、なんだか判りますか?」@医者
これは悪い報告の前フリだ。だが、聞かないわけにはゆかない。創は「彼女がおやつにどのスイーツを食したのか、当てろと?」と冗談めかして頭をふる
マリコはチキンを全部食べきって、骨ガラだけになったバーレルの底を眺めている
「小さいですが、脳です」@医者
想定外の、さらに外
「脳?何でそんなものが、」@創
「理由は今考えるべき、緊急の課題ではありません」@医者
創は推理する
「では…何の為に有るのか」@創
「それですよ」@医者
医者はパーンと手を叩いた
「小さな第二の脳。これが八重葉ちゃんの中で何をしているのか?それを調べなければなりません」@医者
学問的にはそれでよかろうが、それで事件は解決するのか?
創は低く唸るばかり
個室のベッドで寝ていた八重葉
おとなしくテレビを見ていたわけだが、トイレに行きたくなった
ドアを開けてひょっこりと廊下側に顔を出すと、完全武装の警官が四人も立っている
「げ、」@八重葉
引き攣った、
八重葉は男とか大人とか強いものが苦手なのだ
うじうじと一旦個室に戻る
窓から外を見る
自分は5階建ての病院棟の3階にいるはずだ
病院等の外はもっとすごくて、装甲車輌が十輛、ずらりと並んでいる
「げげ、」@八重葉
それだけではない
八重葉が入院している部屋の、上の階と下の階、窓から対物ライフルと対戦車ミサイルとミニガンの砲身が顔をのぞかせている
すげーっ!
本当に警察なのか?
ちょっとした軍隊だろ!!
この部屋、完全に包囲されている
”守る”ってゆーか、これ、”軟禁”されている
「げげげ、」@八重葉
怖い!
八重葉は強い者が苦手だ
彼女を取り囲む屈強なる武装警官たちは恐怖そのものでしかない
少女は覚悟を決めて、そろりと窓の外に一歩踏み出した
窓の外は落下防止柵で囲われていて、狭いベランダの様になっている
その柵を更によじ登って、こそこそと隣の部屋に移った
そして困った
部屋の中に入りたいのだが、隣の部屋の窓は締め切られていて鍵もかかっている
更にカーテンも閉め切っている
隣の部屋の住人は、そんなに日光がお嫌いか?
窓をたたいて音を出せば、武装警官たちに気付かれる
どうしたものか…
あ、そうだ。と、少女は一つだけ室内の住人に訴える方法を思いついた
八重葉はスマートフォンを取り出して懐中電灯アプリを起動、室内に光を送った
カーテンはあるが、暗幕タイプではない。強力な光ならば通るはずだ
気!付!けーっっ!
少女はスマートフォンのライトに、念を乗せた
すると、部屋の奥から人影らしきものが近づいてくるのが見えた
それほど大きくはないから、子供か老人か女性に違いない。よかった。たぶん怖い人じゃない
しかしながら人影の動きはカクカクとぎこちない
ひょっとして、相当な怪我か病を患っており、動くのがお辛いのだろうか?
それならば悪いことをしてしまった
心の中で謝罪しつつも、武装警官に見つかる前に中に入れてくれないかと必死にスマートフォンのライトで訴える
膀胱的にも限界が迫っており、早くトイレに行きたい
自分の部屋からトイレに行こうとしたなら、きっと武装警官がトイレまでついてくる。そんな状態で気が小さい自分が用を足せるわけがない
カーテンがシャーっと開く、
「え?」@八重葉
窓の向こうに立っていたのは一台の人型ロボット
足はなく三輪車になっている
三本指
頭は8インチタブレットになっている
”あれ?ひょっとして小江戸さん?”
頭部タブレットの画面にそう表示された
自分を知っている?
だれ?
いや、今はそれどころではない
八重葉はスマートフォンでMS Wordを起動し、「中に入れて」と72ポイントのフォントサイズで書いて、タブレットの上部フロントカメラに向けた
ロボットがのんびりした動きで窓のカギを開ける
八重葉は窓を自分で開いて中に入り、窓を閉め、カーテンも閉めた
まずは部屋の主に挨拶をしようと、ベッドへ向かう
ベッドには、見覚えのある少年が寝ていた
「東新田くん?」@八重葉
中学三年生の一学期に同じクラスで、夏休みが明けた二学期以降姿を見なくなった少年だ
先生から何の告知もなかったので、てっきり他のクラスに移ったのかと思っていた
まさか警察病院にいたとは
彼女は男子が苦手なので特に彼を気にしてはいなかった
ここで己の膀胱の危機を思い出す
正直、男子におトイレについての悩みを相談するのは、かなり抵抗がある
だが、恥を忍んでも目の前の少年にすがらなければ大惨事は必至
武装警官同伴のおトイレよりは東新田くんの方がマシだ
「あの、わたしの部屋に武装景観が張り付いていて、気づかれないように…」@八重葉
口ごもる。やはり、男子に向かって話すのは抵抗がある
「…あの……トイ…」@八重葉
どうしても言い切ることができない
ロボットが目の前に割り込んできた
液晶画面に”このロボットの影に隠れて廊下の向こう側に行くといい”と表示されている
意思が伝わったのは幸いだが、やはり恥ずかしくて、少女は顔を真っ赤にして下を向いてしまった
もう本当に漏れそうだ
ロボットの影に隠れて、そろーりと廊下に出る
武装警官はこちらを気にしたが、ロボットを見て間もなく視線を外した
ロボットの陰に隠れきれるよう、雑技団的に器用なポーズでロボットの側面に貼り付く八重葉
引きつった表情
だが、無事に武装警官の注意をやり過ごしてホッとする
ロボットの頭部、タブレットのフロントカメラに向かって敬礼をし、お手洗いに向かって急ぐ
用を済ませ、お手洗いから最強にすっきりした笑顔で出てくる八重葉
彼女は自分の部屋に帰ろうとしてハッと立ち止まった
このまま帰って武装警官に自分が内緒で抜け出したことが知れたらどうなるか?
きっと自分を取り囲む武装警官の数は倍増されてしまうだろう
部屋の外だけではなく、室内にも武装警官が配置されるかもしれない
それだけは勘弁してほしい
気持ちが安らがないというか、精神的圧力で正気を失ってしまうかもしれない
少女は少年が入院している部屋へと向かった
彼の部屋から、またこっそり戻るしかない
廊下を忍び足で進むと、少年はロボットを部屋の外に待機させておいてくれていた
少女を見つけたロボットが近づいてくる
東新田くん
優しい
都心から電車で二時間も離れた郊外の河川敷にある打ち捨てられた公園
遊具は鉄が錆びていたり、プラスチックが日光で劣化しひび割れていたり
砂場も雑草が生え放題で、少なくとも近々に子供が遊んでいた形跡がない
それ以前に人の気配がない
この様な場所に女子高生一人でやってくるなんて、よっぽどの度胸だ
「え?本当に女子高生なんだ。中埜鐘さん、洒落きかないなー」@中年男性
嬉野牡丹を見た中年男性が肩を落としてため息
セブンイレブンの100円コーヒーを片手に現れた少女を見て、がっかり
牡丹はコーヒーをすすった
早朝の新聞配達時に遭遇したオッサンとは異なるが、目的の時間場所に牡丹を見つけたこの中年男性
この男と話をすればいいようだ
仕事を請ける請けないはさておき、今朝の登校時、八重葉に起こった事件。自分にだけ見える巨大な機械。FAKE NEWSの怪人”被り物の二人”…聞きたいことは山ほどある
その中年男性は、牡丹をすっかり無視して、スマートフォンをいじり続けている
延々と電車を乗り継いで来てやったというのにこの態度。牡丹は熱々のコーヒーを中年男性めがけてぶちまけた
「あぶない、」@中年男性
事も無げに避ける中年男性。それが腹立たしい
「失礼だろ!こっちは怪しい御誘いにのこのこと騙されてきてやったんだぞ!!敬意を払え!!!」@牡丹
中年男性は二度三度とため息をついてスマートフォンをいじり続けている
「ホントな。お疲れさん、」@中年男性
「女子高生無視して、何見てるんだ!」
牡丹は中年男性のスマートフォンをひったくった
スマフォに表示されていたのはDODAの求人情報
「え?なに?就活してんの??」@牡丹
中年男性は、長い溜息をつく
「そうだよ、オジサンはね、仕事を探しているんだよ」@中年男性
少女は、攻撃的な表所を崩さずに首を傾げる
「仕事を持っているから、ここに居るのではないのか?」@牡丹
中年男性はひたすらため息をつき続ける
「オジサンはね、まっとうな仕事につきたいんだよ。こんなやくざな仕事ではなくてね」@中年男性
「まっとうな仕事じゃないんか!正義の味方って聞いたぞ!」@牡丹
中年男性は鼻からため息を垂れ流しながら、スマートフォンをいじり続ける
「正義の味方が聖職なのはお話の中だけさ。現実は日常の裏で暗躍する法律的にも困ったちゃんなヤクザ者だよ。正義を免罪符にやりたい放題ってね」@中年男性
つまるところ”違法行為”をさせられる仕事であると
それはいかぬ。いかぬよ
早急に退散せねば。関わったら終わりよ
「帰る、」@牡丹
牡丹は空になった100円コーヒーのカップを握りつぶしながら、中年男性に背を向けた
そして、帰り道用に買っておいたもう一つの100円コーヒーを取り出した
「ああ、そうしな。援助交際とかしたほうが良いよ、若いんだから」@中年男性
牡丹は背中越しに「援交とかもう黙れよクソオヤジ」と、心の中で罵っていた
だが、
「この仕事の美点なんて、金がいいことだけだよ」@中年男性
なにっ!
激震の一言であった
牡丹の歩みが止まった
「ベンツも六本木のマンションも買ったし。もう金は十分なんだ。ああ、真っ当な仕事がしたいなぁ」@中年男性
牡丹は鼻息を荒げながら背中越しに尋ねる…「そんなに、儲かるの?」
中年男性はスマートフォンをいじりながらかったるそうに答える
「え?あ、うん。まぁ、ヤバイなりの金は出るよ」@中年男性
中年男性のため息
「まっとうな仕事がしたいなぁ。金はもういらないから」@中年男性
「そんな贅沢な悩み!わたしもしてみたい!!」
牡丹は歯噛みをしながら地団駄を踏む
中年男性は無言
スマートフォンをいじっては、ため息をついている
ふと、彼は歩き出す
中年男性はどうやら帰ろうとしているようだ
慌てる牡丹
「まぁて…話が全然途中だろうが!」@牡丹
中年男性は立ち止まってきょとんとし、牡丹を見る
「うーん、うーーーん!」@牡丹
激しい心の葛藤が、少女の表情に、身振り手振りに、うめき声に表れている
女子高生が頭を抱えてまで悩む理由…中年男性はその豊富な人生経験から類推した
「うんこ出そうなの?」@中年男性
「ちげーよ!仕事を受けるべきか否かで悩んでいるのだ」@牡丹
「へー。お嬢ちゃんみたいなざっくりした感じの娘でも悩むんだね」@中年男性
なにやら感心しているげな態度が腹立たしい
このおっさんは、なんというか、人の神経を逆なでする天才だ
ひょっとして、わざとやってるのか?
「わたしは繊細な心を持った乙女だ!」@牡丹
「お、乙女www」中年男性は口を手で押さえ、目尻に涙をため、必死に笑いを押し殺している
継続的に人の神経をジョリジョリ逆なでしてくる
「ホント失礼だな!その根性!鉄拳で矯正してやろうか!!」@牡丹
牡丹はマジギレして拳を振り上げた
その様な脅しでは、この中年男性の心にさざ波一つ立たない。余裕綽々で、人生を嘆いたため息交じりの表情を崩さない
ちょっとくらいひるんでくれると思ったのに
儀礼的に嘘でもひるんでくれても罰は当たらないだろうに
「そおおいっ!」@牡丹
少女は怒りに任せてこぶしを振り下ろした
中年男性はそっぽを向いたまま彼女の拳を振り払うために、腕を振り上げた
「はい!顔面がら空き!」@牡丹
牡丹はセブンイレブンの100円コーヒーをも中年男性の顔にぶちまけた
今度はもろに命中した
「熱ぃっ!あっちぃ!!洒落になってない!」@中年男性
中年男性は顔を掻きむしって悶絶する。
その様子を、庭を歩く蟻を観察する様な、絶対的優位に由来する太平の心で見つめる牡丹
「とどめだっ!!」@牡丹
彼女は100円コーヒーのカップを2つあわせてくしゃくしゃと丸めて、中年男性に投げつけた
それは中年男性のだらしない腹部にぽこんと当たって地面に落ちた
「くっ!ぜんぜん痛くないけど、地味に屈辱的だ、」@中年男性
中年男性は顔を掻きむしる手の指の隙間から、その幼稚園児レベルの攻撃を見て、精神的なダメージを受けた
「ふはは。公園まで遠いから、行く道と帰り道で飲もうと思って、セブンカフェを2つ買っておいたのだが、大正解!」@牡丹
牡丹は自分が投げた紙くずを拾って、公園の錆びたくずかごに捨てた
「喜多野を手玉に取るとはさすがは牡丹ちゃん」@中埜鐘
牡丹の蛮行に下卑た喝さいを送る声の主。中埜鐘
「あぁ、中埜鐘さん、来ていたんですか」@喜多野
今朝の怪しいオッサン
そうか「なかのがね」と言うのか
牡丹の表情がゴジラ来襲レベルの警戒モードになる
「やだなぁ牡丹ちゃん。怖い顔しないでよ」@中埜鐘
「隠れて様子をうかがっていたってわけ?気に入らないわね」@牡丹
「やだなぁ、やだなぁ。オジサンは忙しくて出遅れただけだよ」@中埜鐘
しれっと鼻の頭を掻いている
そして汚らしいげっぷ。忙しいが聞いてあきれる風体と言えよう
「何が忙しいって?」@牡丹
「いや、牡丹ちゃんがオジサンたちに協力しようか迷っているみたいだったので、ちょっとお嬢ちゃんの背中を押してあげようかなって…いろいろと…」@中埜鐘
やっぱり、ずっと物陰から見ていたんじゃねーかよー
少女は怪しいオッサンをにらみつけた
すると、牡丹のスマートフォンに着信
バイト先の一つ、ファミレスの店長からだ
「はい!嬉野です!」@牡丹
100万のハートマークを身にまとった天使のの営業スマイル。今までのツンケンしたヤンキー面はどこに消えてしまったのか
『あのねー、言い辛いんだけど牡丹ちゃん、うちで雇えなくなったから』
「え?」@牡丹
『ごめんねー』
「それ、首ってことですか?」@牡丹
天使の営業スマイルが、ガラガラと音を立てて崩れて行く
『いや…うん。牡丹ちゃんはよく働いてくれるし…』
「どういうことですか!!!!」@牡丹
『いや、ホント。牡丹ちゃんは正社員にしたかったくらいなんだよ、』
「じゃあ!なんで!!!!」@牡丹
『うーんとね、大人×(かける)大人?』
「…えーと、大人の事情(二乗)??」@牡丹
『ピンポン!ピンポン!ピンポーン!!』
店長も気まずかったのか、電話はそれで切れてしまった
気まずい沈黙の中、じっとスマートフォンを眺める少女
また電話がかかってくる
彼女のバイト先が一つ、Amazonからだ
『ごめん。もう、来なくていいから』
電話はひっきりなしにかかってくる
新聞配達。コンビニのレジ打ち。郵便局。漫画家のアシスタント
全てのアルバイトを失った
中埜鐘が慰めるようにやさしく牡丹に声をかける
「ウチで働けば、今までの3倍は稼げるから」@中埜鐘
「なかのがね…お前が裏で手を回したのか?」@牡丹
「や、やだなぁ、そういう言い方。牡丹ちゃんはウチで忙しくなるから、ウチで働きやすいように環境を整えてあげたんじゃないか…さっき」@中埜鐘
「ほほう、そうなの…さっき…ねぇ、ふーん」@牡丹
少女はうつろな瞳で、おぼつかない、危なっかしい足元で公園を後にした
愕然とした様相で、二人のおじさんを残して去ってしまった
ぽりぽりと頭を掻く中埜鐘
「あれ?いかんかったかな」@中埜鐘
「強引すぎたんじゃないですかぁ?」@喜多野
喜多野はタバコを一本出して、R2D2の彫刻が入ったジッポライターで火をつけた
十数分間、打ち捨てられた公園でオッサン二人だべっていると、牡丹が戻ってきた
両手を後ろに回して、うつむいたまま視線を合わせようとしない
中埜鐘が腫れ物に触るように、そぉーっと声をかける
「ぼ、牡丹ちゃん?」@中埜鐘
「これでもくらえ!!クソオヤジ!!!!!!!!」@牡丹
牡丹は背中側に隠していた両手のセブンイレブンホットコーヒLを中埜鐘の顔面にぶちまけた
「熱ィ!!わ!ホントやばい!!熱ぅっ!!」@中埜鐘
「一杯150円、両手あわせて300円のお大臣な攻撃だ!まいったか!」@牡丹
そして紙カップを丸めて中埜鐘の胸元に投げつける
「あっ!ちっくしょ!」@中埜鐘
顔をゆがめる中埜鐘に喜多野が「それ、地味にイラっと来るでしょ。」と、地面に転がった紙コップを指さした
牡丹は自分が投げた紙くずを拾って、公園の錆びたくずかごに捨てた
そして牡丹がオッサン二人に向かって啖呵を切る
「バイト先くらい!また自分で見つけるから!女子高生なめんな!!」@牡丹
打ち捨てられた公園をずかずかと怒れる雄牛のように去ってゆく。バイト戦士、嬉野牡丹
そして…
「あーっ!巨大機械のこと聞き忘れたーっ!」@牡丹
ガシャ───────ン!!!!
警察病院
八重葉の目の前で、少年のロボットが木っ端みじんに四散した
「きゃぁ、、きゃあああああっ!!」@八重葉
小さな悲鳴が漏れた後、大きな悲鳴が白い廊下に鳴り響いた
「スーダン、よくやった」@バケツの少年
ロボットを破壊したのは、褐色の少年兵スーダンの散弾銃
その銃口は今、八重葉の方を向いている
銃の威力は見たばかり
少女は震え上がって動けない
そこに、歩行補助機を足に装着した少年と少女=バケツを被った少年と段ボールを被った少女が現れた
二人は、歩行補助機で病院の壁を蹴破って、病室から廊下側に出てきたのだ
段ボールで顔を隠した少女が、八重葉を抱きかかえる
八重葉は恐怖でガタガタと振るえるのみ。只、されるがまま
バケツを被った少年が「おとなしくしていろ」と低い声で脅す
段ボールをかぶった少女が「電波塔は本当に沈黙しているようね」と視線を遠くに流す
彼女は何かを見ている
彼女はダンボールを被った下にヘッドマウントディスプレイを装着しており、何かのデータを確認したようだ
廊下を数名の足音が近づいてくる
武装警官だ
被り物の二人は彼らが開けた壁の穴から病室に戻っていく
「スーダン。しんがりは任せたわよ」@段ボールの少女
武装警官の前に少年兵一人を置き去り
「死ね」といっているに等しい
「イエス、マァム」@スーダン
少年兵はこの理不尽な命令を当たり前の様に承諾した
彼が生きて来た戦場では、少年兵の命なんか1ペニーの価値もない
よく、心得ている
散弾銃を捨て、両手にマイクロUZIを握る
警官の足音が止まる
廊下の角に居る筈だ
右側と左側
ざっと10名といったところか?
武装警官はまだまだやってくる。世界電波塔を死守するために
放っておけばその数は3倍になるだろう
「そうだ。全員、ここにくぎ付けだ」@スーダン
スーダンは銃口を廊下の角に向ける
次の瞬間、両側からボールが投げ入れられた
「しまった!パパラッチか!!」@スーダン
そのボールは6つのカメラを有し、壁や床を跳ねまわりながら情報を収集する
無線で送られる画像にはGPS情報が付与されているため、現場の状況を正確に把握することができる
即時にボールを銃で破壊する
ボールを破壊するまで、2秒かかったか3秒か?
どれだけの情報を与えてしまったか?
警察に動きはない
「ちっ!」@スーダン
警察は現場の状態を正確に把握したようだ
ここには少年兵一人しかいないこと、
壁に穴が開いていること、
そして、八重葉の行方が分からないこと
警察は恐らく、せいぜい2人か4人程度をこの場に残し、残りを八重葉の捜索に回したに違いない
それはまずい
警官は全て自分の処にくぎ付けにしておかなければならない
主である被り物の二人を追わせてはならない
警察病院に侵入することは容易かった
しかし、八重葉の病室には近づくことができなかった
それが何の奇跡か、八重葉が一人の護衛もつけずに単独行動
この機会を逃す手はない
ロボットを銃撃した目的は二つある
一つは八重葉を脅すため
もう一つは銃声で、武装警官をスーダンの処に誘導するためだ
千載一遇のチャンス──「次は…無い」@スーダン
地下駐車場
人目を避けつつ進み、出口を目指す被り物の二人
二人にスーダンからの無線が入る
『3分動かないでください』@スーダン
バケツを被った少年が聞き返す
「3分だな」@バケツの少年
『はい』@スーダン
被り物の二人はお互いの顔を見て頷き、トレーラーの後ろに隠れた
八重葉は口、両手、両足をテーブで拘束されている
「スーダン。いいわよ。カウントを開始して」@段ボールの少女
『カウント開始します…今!』@スーダン
ズガァアアアアアアアアアッッ!!!!
少年兵はC4で床を爆破した
もうもうと立ち込める黒煙
スプリンクラーが作動する
スーダンは下の階に飛び降りて、更に床を爆破
一階のホールに降りた
ここは受付カウンターの前の待合スペース
椅子が何列も並んでいて、大勢の一般人がいる
銃を乱射し、大量虐殺を行えば、警官は自分を無視できなくなる
八重葉捜索より、優先度が上がる
罪のない一般人の命を奪うのには慣れている
心が痛むことはない
少年兵は感情を有さない無慈悲な目で両手にマイクロUZIを構え、引き金を…
カッッキィーン!!
銃を下に弾かれた
「また会ったな、少年」@嵐
嵐だ
鬼の風紀委員、夏野嵐
八重葉のお見舞いに来た、八重葉が好きでしょうがないすらっと背が高い、かっこいいセンパイ
彼女の両手の警棒が、彼の残虐行為をすんでで止めた
天をつく怒りで顔をゆがめる少年兵
戦場の中で、喜びも悲しみも、怒りだって失った筈だった
その自分が、これほどまでに感情をむき出しにするなんて
屈辱だ
心をいいように揺さぶられる屈辱
「クソ女!お前は殺す!!」@スーダン
二丁拳銃を嵐に向ける
セーラー服の風紀委員はその長身で少年を見下ろすように警棒をふるい、銃口をそらした
「クソ女とは口が悪いな。私の名は夏野嵐。風紀委員をやっている。お前には教育が必要のようだ。うちの生徒ではないようだが問題ない。きっちり面倒を見てやる」@嵐
「殺す!!」@スーダン
引き金を引くスーダン
しかし銃口は警棒で上にそらされて、銃弾は天井に穴を穿つのみ
「ここは危険です!避難してください!」@嵐
嵐の一括を聞いて、看護師が避難誘導を始める
彼/彼女たちも警察組織の一員なのだ
標的を逃がされて、スーダンは舌打ちをする
マス・シューティングの騒ぎを起こしたいのだが、風紀委員が手ごわい
そして、虎の子SPring8の使用は認められていない
「我が二刀流を見たが運の尽き。お覚悟なされよ」@嵐
みぞおちを狙って警棒が飛んでくる
「くっ!」@スーダン
これを辛くも銃で受け止めた
間も無く被り物の二人に約束した3分
スーダンは無線で二人に「失敗しました」と伝えた
『そうか。貴様も月並みだな』@バケツの少年
『やっぱり。所詮、その程度なのね』@段ボールの少女
まるで、こうなることを予想していたかの様
あの二人は自分に対して何も期待していない。それを再認識した
だが、その様な扱いに、少年兵の心は動揺するそぶりも見せないはずだった
自分は安い人殺しの道具
分かってる
それを…それなのに…
嵐、こいつは、こいつだけが自分が戦場の道具にとどまることを許さない
脆弱な人間の部分は、とっくの昔に檻に閉じ込めた
それを、この女は檻の中から「人間性」などと言う戦場の弱点を、檻から引きずり出す
悔しさがこみ上げてくるのだ
『スーダン』@バケツの少年
無線から、バケツを被った少年の冷めた声が聞こえてきた
『では、プランBで行こう』@バケツの少年
『上品かつ華麗に事を運びたかったけれど、やむないわね』@段ボールの少女
『ディープの存在を公にするにはまだ早い』@バケツの少年
『ええ、死角空間は当面、FAKE NEWSの中だけの存在よ』@段ボールの少女
間もなく、警察病院に10発のミサイルが飛来
爆発の轟音が鳴り響き、
衝撃に空間が震え、
コンクリート塊が飛来し、
「ぐあああっっ!!」@スーダン
少年兵の右足が1m四方の分厚いコンクリート板の下敷きになった
押し倒されたスーダンは無意識に肘を床につき、しかし激しい衝撃を支えきれずに頭をコンクリートの破片が散らばる床に打ち付けてしまった
スイッチが切れるように、意識が途切れた
意識を失う刹那。自分は被り物の二人に完全に打ち捨てられたのだと自覚した。どこに行っても、自分は使い捨ての道具だ
何分経過したのか、彼は把握していない
少年兵の五感がぼんやりと戻ってきて、なにか心地よいものに身を預けている感覚を覚えた
暖かかくて、
いいにおいがして、
心地いい
傷はずきずきと痛むが、それを忘れてしまいそうなほどの心地よさ
少年はそのまま、心地よさに身を任せて眠ってしまおうと思った
思わず、前に回している腕で、その心地よいものをぎゅっと抱きしめた
肘が痛むが、抱きしめずにはいられなかった
心の底から、心地よかったのだ
「お、少年。起きたか?」@嵐
なんと”心地よいもの”はかの忌々しい風紀委員だった
少年は彼女の背に背負われていたのだ
瞬間的に少年の殺意に火が付き、嵐の首に腕を回して締め上げた
殺すために
風紀委員は手を後ろに回して、少年の脇腹をくすぐりだした
少年兵は彼の太ももで嵐の胴体を締め上げているので、手を放しても落ちはしないだろうと分かった
少年はくすぐったさに我慢できないというよりは、彼女ののんきな行動に驚いて腕を緩めた
「おとなしくしていろ。酷い怪我だ。先生に診てもらった方がいい」@嵐
冷静になると、頭、腕、足
へたくそではあるが、包帯が巻いてある
「クソ女。お前は、包帯の巻き方も知らんのか?」@スーダン
「無いよりはましだ。血が止まる」@嵐
少年兵のため息
「下ろせ、自分で歩ける」@スーダン
「そうか?」@嵐
風紀委員はいたずらっぽい笑みを浮かべて、少年を背中から下ろした
「痛うっっ!!」@スーダン
右足に激痛が走った
「そらみたことか」@嵐
少年兵は風紀委員を睨みつけて、痛みを噛み殺した
意地を張って歩き出す
しかし、痛みで力が抜け、コケかける
風紀委員が肩を支える
「おんぶが気に入らないなら、肩を貸してやる。お前のためではない。わたしの任務を遂行する上での効率化のために」@嵐
少年兵は快い表情なんて見せはしない
「お互い、面倒は早く済ませたほうがいい」@嵐
この女になに一つ勝てないでいる自分が腹立たしい
「お前は絶対に俺が殺す」@スーダン
風紀委員の少女はただ前を向いて歩く
「お前ほど極端ではないが、わたしにも世の中のたかをくくったような時期があった。全てがつまらなく見えた」@嵐
「お前に俺の片鱗だって理解できてたまるか」@スーダン
風紀委員が少年の鼻先を指差す
「そうそう、そういう思考形態」@嵐
少年はむくれてしせんをそらす
「お互い、後ろを振り返るには若すぎる。世界の広さを決めるには早すぎる。がむしゃらでいい。わたしを殺したいなら、いつでも来るがいい。私は日本の御庭番だ」@嵐
3階
鬼の風紀委員が首をかしげる
「あっれー?誰もおらぬな。早くお前を引き渡して…ここまできたなら八重葉を先にするか」@嵐
そして、八重葉の部屋に到着
ドアが開け放たれていて、人影が見える
「ほう。八重葉に会い、任務も完了。一石二鳥であったな」@嵐
嵐のジョークを「口の減らない女だ」とスーダンが舌打ちする
八重葉の個室に居たのは、創とマリコ、そして武装警官が二人
武装警官はスーダンを見つけるなり、一人が彼を床に組み伏せて、もう一人が嵐を守るように立った
風紀委員のため息
「手加減してやってくれますか?そいつ、コンクリートに足をつぶされて怪我をしているのです」@嵐
少年兵は警官に言われるまでもなく、すでに両手を頭の後ろに回している
嵐は部屋を見回す
愛おしいあの少女の姿を探す
「八重葉はどこですか?避難した後ですか?」@嵐
創はどのように返事をしたものか正しく選択するために「君は八重葉ちゃんの親族かい?」と質問をした。親戚にしたって、小江戸八重葉は面会謝絶にしている筈だ
それを、天下の御庭番の権威をもって面会に来たに違いない
嵐はキリリとイケメンの表情を以て、「血のつながり以上の関係です。わたしは可憐な乙女を守る聖騎士です」と照れるそぶりも見せずに、むしろ前のめりに誇って宣言をした
だいたいわかった
創は頷きながら「八重葉ちゃんは安全なところで保護している。訳合ってしばらく会えない」と、上から目線で返事をした
突如、スーダンの高笑いがこだまする
彼を見る目はどれも平然としているが、少年は狂ったように高笑いを続ける
「そうか、あれはお前の大事な人か」@スーダン
イケメン風紀委員に向かっていやらしい笑みを向ける
やっと、忌々しいこの女に一杯食わせてやれる
そう思うと心が躍った
「あの女は、俺たちが連れ去ったよ」@スーダン
「なにっ!」@嵐
心を乱した嵐の姿を見て、少年兵はさらに大きく笑った
嵐は創を睨み付ける
その目を見て、ごまかしは聞かなさそうだと観念する
「フン。嘘は認める。彼女は警察が必ず奪還する。この小僧を連行して来てくれたことには感謝する。君はもう帰りたまへ」@創
上から目線
そういう男
「帰れ?」@嵐
嵐の問いかけに、警察のエリートは出口を指さすのみ
「お断りだ!」@嵐
鬼の風紀委員は激情のやり場を求めて壁を殴りつけた
そして少年兵の首を締め上げる
「八重葉はどこだ」@嵐
「俺も知らない。捨て駒だからな。俺とミサイル10発の人員合計で4人か?4人と引き換えに世界電波塔を取り戻せるなら安い」@スーダン
「世界電波塔…だと?」@嵐
初めて聞くその名詞。いや…たしかSNSのFAKE NEWSでたしかそのような…
「あの女はきっと殺される。我々にとって必要なのは電波塔。女は不要だ!ざまぁみろ!クソ女」@スーダン
更に嵐を煽る
バキッ
創が少年兵を殴りつけて気絶させた。それ以上を喋れないように
そして野獣系のマリコより背が高い、セーラー服の少女に向き直る
「これ以上は係るな。このFAKE NEWSに深入りすると、命がいくつあっても足りない。真実を知るな」@創
八重葉をこよなく愛する鬼の風紀委員は鼻息を荒げかけ、鉄の意志でそれを自分を制した
気は強いが自分をコントロール出来ている。この若さで
創はその様子に感心した
「お前は生きているではないか、そのFAKE NEWSの中で」@嵐
「警察に任せるのだ。滅多なことは考えるな」@創
だが、嵐の心は揺るがずに決まっている
「わたしが八重葉を助ける」@嵐
鬼の風紀委員は走り去っていった
「うがっ」
皆のやり取りをただ見ていたマリコ
猛獣の様な彼女が只うつむいている
彼女は死角空間を感知し、重機を操る。それなのにディープの侵入と横暴を許した自分を恥じているのだ
創が彼女の頭を抱く
「マリコ。お前に非はないよ。むしろ十分以上によくやってくれている。警察の体制が不十分なのだ。お前ひとりに頼りっぱなしのな」@創
武装警官4人が部屋にやってきて、少年兵を連行していった
創は腕の中に入るマリコを見やる
「永久橋は半壊。カミオカンデを動かせれば…」@創
「動かす方法、あるじゃないか、」@中埜鐘
廊下から見知らぬ声が聞こえてきた
武装警官がアサルトライフルの銃口を向けた
両手を上に上げて部屋の中に入ってきたのは一人の怪しい男
中埜鐘だ
嬉野牡丹を誘ったあのうさん臭いオッサン
「だれだ」@創
創の上から目線
超高層ビル45階の窓から、道行く人を見て「蟻の様だ」という、あの言い方
オッサンはへらへらと笑っている
「いや、うちの方が…やっぱり人員的な問題で準備が遅れていてね、警察に頑張ってもらわないと困るんだなぁ」@中埜鐘
「お前は何者だ?カミオカンデを知っているのか?」@創
「俺についてはいくらでも調べればいい。すぐに分かる…まぁまぁ真っ当な人間だってね。俺の身の上話を聞く時間があったら、1秒でも早くカミオカンデを動かしたらどうだね?」@中埜鐘
廊下に立つ怪しい男はそう言って隣の部屋を指差した
八重葉の隣の病室
一人の少年が、ベッドに寝たきりになっている
彼は首から下を動かすことができないし、声を発することもできない
一年近く前の不幸な事故で、不自由な体になってしまった
彼はいつ死んでも未練はないと思っていたので、爆発の轟音と振動の中、穏やかに成り行きを受け入れていた
少年は、天井を眺めている
今日は雨で、ジムに遊びに行っただけでヒマだったので、次の3話用のイラスト描いた
IT屋の幸子にした
女ばかり3人続いたので、4話は男描こうかと思ってます
一応本作はロボットのバトルものなのだが、本格的にロボット出てくるのが5話ですな
操縦席が外部にある召喚型のロボットというアイディアをむかーし思いついたのだが、使い出がなかった
遠隔操作だと、ロボットとパイロットが運命を共にする感覚が希薄になって燃えないでしょ?
今回、うまいSFを思いついて日の目を見た感じです




