1~5
「ただいま~~」
学校から帰って帰宅したのは俺、朝日一馬。高校2年生
そして、
「おかえも~」
を、言ってくれるのは俺の可愛い妹、朝日静奈。中学2年生
今日からテスト期間に入り、部活は休み、ちなみに部活はテニス部ね。
頭の悪い俺は人一倍勉強しなくちゃならない、だから寄り道せず家に帰って勉強しなくちゃならないんだ。
てなわけでマイルームにGO!
すでに鞄を開けて教科書を出しながら自分の部屋に入る。
するとだね、
「勇者様! きっと、きっと助けに来てくださると信じていました」
と、えらく高そうなドレスを着た巨〇の金髪おねーさんが居たわけですよ。
しかもよく見ると部屋の内装も広さも全然違うのさ、
だから俺、金髪おねーさんに言ってやったんだ。
「ごめん、貴女にもいろいろ事情はあると思う。でもこちらにもいろいろと事情があるのです。話なら後で聞くので、今は勉強するからちょっと机貸してください」
ってね。
ちなみに金髪おねーさんは気前よく豪華で立派な机を貸してくださったよ。
★★
「あの~ 勇者様?」
勉強中の俺に、金髪のおねーさんが話しかけて来る。
「ん? ゆうしゃ? 俺の事?」
今いるだっだ広い部屋には俺とこのおねーさんしかいない、どうやら俺を誰かと間違えている様だ。
俺は一馬であってゆうしゃさんではない、今やっている方程式を解いたらおねーさんの誤解も解いておこう。
「はい、勇者様はどうやってここまで来たのでしょうか?」
「え? そんな事気になる? 普通に階段を上って来たけど?」
「あ、すみません。何分静かだったもので、争うような音も全くしなかったもので…」
争う? 静奈とは確かに週3くらいで喧嘩してるな。
「今日は機嫌がよかったんだよ」
「機嫌!? さ、左様でございますか」
そんな、よく分からないやり取りをしていると。
「お兄ちゃん、ご飯出来たよ!」
と、階段の下から晩御飯のお知らせが来た。
「今行く! って事で机ありがと」
「あ、いえ、とんでもありません」
「ところでさ」
「はい」
「ごはん食べてかない?」
ここで(自分の家)知り合ったのも何かの縁、折角なのでおねーさんを晩御飯にお誘いしてみた。
「よ、よろしいのですか?」
「うん。俺ん家さ、両親共働きで海外に行ってて、家には俺と妹の静奈しか殆どいないんだよね。だからちょっと寂しくてさ。もちろんそっちの都合もあるだろうし、良かったらでいいんだけど」
「是非お供させてください!」
「お、おう…」
間髪入れずに凄い気迫で即答してきたな。我が家のおかずに多大な期待をしているのだろうか?
冷凍食品だったらどうしよう?
ま、いいか。
てなわけで俺と…
あ、名前知らないや、一応聞いとくか。
「おねーさん、名前何て言うの?」
「失礼しました勇者様。まだ名乗っていませんでしたね。私はエリザベスと申します」
「エリザベスさんね。俺は一馬。よろしく」
「はい、よろしくお願いします勇者様」
「……」
だから一馬だって… 後でそこんとこちゃんと説明しとかなきゃな。
とりあえず晩ご飯を食べに俺とエリザベスは台所に向かった。
台所に向かう途中、エリザベスは周りを超キョロキョロしながら見回していた。
THE洋風お姫様。
日本の建物というか、造りが余程珍しかったのだろうか。
「静奈~、ご飯、もう一人分用意できるか?」
「え、いいけど誰か来るの?」
「この人」
と、隣にいるエリザベスを紹介する。
「は、初めまして、エリザベスと申します」
「ブッ! ホッ!!」
静奈は飲みかけ中の牛乳を俺の顔面に吹きかけた。
俺は肉体的ダメージを1、精神的ダメージを3受けた。
「ちょっとお兄ちゃん! 牛乳がもったいないじゃない!」
「お前のセリフはごめんなさいだと思うんだが?」
「だってお兄ちゃんがいきなり女の人連れてくるんだもん。しかもこんな美人で、こんな外人さんで!」
「なんか最後のは悪口に聞こえなくもないぞ」
「あ、初めまして、私はこいつの妹で静奈って言います。お兄ちゃんとはどんな関係ですか?」
牛乳を吹き掛けた俺を無視して、静奈はエリザベスと話を始めた。
全くもって許せぬ行為だ。