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クレヴァと魔法使い  作者: アミューズィング・ナヴェリスト
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第8章 3日ぶりの再会

 パッドと再開したのはいいけど、朝食を食べながらニュースを見ていると、信じられない、あまり信じたくない事実を知る・・・

 アカルにとって、この3日間は、まるで3週間が過ぎたように長く感じられた。

「アカル、掃除が終わったよ!あと、スフレオムレツを作っておくね!僕にとってはお客様でしょ?」

ベルンがボーっとしているアカルに話しかけた。

「あぁ、うん。君にとってはお客さんだ・・・」

アカルはボーっとしながら答えた。

「うん、そうだろうね!僕、今までで最高に美味しいオムレツを作るよ!」

ベルンはさっそく冷蔵庫れいぞうこを開いてたまごを探していた。

「うーん、僕もやること見つけなきゃね・・・」

アカルは、ベルンが冷蔵庫からやっと卵を見つけ出し、取り出そうとしたときに卵をうっかり床に落としてしまったのを見て、すぐに駆け付けた。

「大丈夫?何かできることは無い?」

ベルンは真っ青な顔をしていた。

「どうしたの?」

アカルは聞いた。

「卵、これが最後だ。どうしよう・・・魔法でも卵を出すことはなぜかむずかしいんだ」

ベルンが行った。

「えっ・・・買いに行かない?」

アカルはふと窓を見た。真っ暗だった。アカルは今夜中の3時であることを思い出した。

「あー、そっか・・・えーと、どうしようか・・・」

アカルも困ってしまった。

「ドスッ」

いきなり何かが落ちる音がしたので、アカル達は飛び上がってしまった。

「何・・・・今のは?」

ベルンが顔を真っ青にしたまま聞いた。

「な、なんだろう・・・?」

ベルンは怖がってアカルと一緒には行きたがらなかったが、アカルは音がした寝室しんしつに行ってみた。ベルンはこっそりアカルの声だけを聞くことにした。

「う、ヮー!どうやったんだ!」

ベルンはアカルの言った言葉を聞いて驚いた。何があったのかと。

「ア、アカル?どうしたの?」

ベルンは恐る恐る聞いた。

「こっちだよ、ほら、来てよ。友達のベルンを紹介するよ」

アカルの興奮した声がベルンの耳の中に入ってきた。

「アカルー?」

ベルンはしかたなく寝室に向かった。

「初めまして」

ベルンはぎこちなく、さっきの「ドスッ」という音の犯人はんにん挨拶あいさつをした。

「やあ、君がベルンだね!僕はパッドだ。アカルの兄のパッド!よろしくね」

そこに立っていたのはアカルの兄のパッドだった。

「ベルン、卵が無くても大丈夫だよ。パッドが持ってきたようだから」

アカルは戸惑とまどっているベルンに向かって、ほがらかに言った。


 アカルはスフレオムレツを作る時、卵を割って、黄身と白身を分け、別々に混ぜてから最後に一緒に混ぜるという、まぁ、混ぜる作業をした。

「アカル、その混ぜたやつ、こっちにまわして」

パッドがガス焜炉こんろの方から手を出して言った。

「アカル、次のは僕に」

ベルンもパッドの横で手を出して言った。

「あぁ、うん、わかったよ!二人に渡せばいいんだろ?」

アカルはイライラしながらパッドとベルンに黄身と白身を混ぜた、ふんわりしたものを入れたうつわをサッと渡した。

「ありがとう。さぁーてと、ベルン、先に一気に焼いてくれたまえ」

パッドはいきなり真面目まじめな顔になった。

「分かりました。パッド先輩!」

ベルンもパッドと同じように真面目な顔になった。しかも、ベルンはパッドのことを「先輩」と呼んだ・・・もしかしたら、今日この一日でベルンはパッドに料理を教えてもらうようになるかもしれない。アカルは変なことを考えていた。

 ジュ~

美味しそうな音がして、やっとアカルはベルンがパッドに料理を教わったらまずい料理になるだろうから、止めてほしい、という変な想像からはっと、我に返った。

「アチッ!ベルン、水!アチッ!」

「わかった!待って、アチッ!」

パッドとベルンは、飛び跳ねて襲いかかって来る油に悪戦苦闘していた。

「できたよ!」

フェルトがフライパンからスフレオムレツを白い皿に乗っけながら言った。

「こっちもだ」

パッドもベルンと同じように言った。

「あぁ、ありがとう」

アカルは、卵を混ぜただけの自分が、恥ずかしくなってきた。

「アカル、リビングのテレビつけて。ニュースが見たい」

パッドがなぜか、悲しそうな顔をしながら言った。

「あぁ、わかった」

アカルはもたもたしてテレビをつけた。

 アカルは、スフレオムレツをチマチマ食べながら、ニュースを聞いていた。

「さて、次は魔界への拉致(らち)問題(もんだい)についてです」

アカルはなんとなく、このニュースに興味を持った。

「拉致されるのは、ほとんど人間界にいた魔女や魔法使いです」

アカルはその言葉がなぜか頭にはっきりと残った。

「拉致された人の中でも、一番元気にして、希望を持って、助けを待っているのは――――――」

アカルは、次の言葉に耳を疑った。

「レイン・ハルトさん、35歳と、エアン・ハルトさん32歳です」

アカルは思わずオムレツを取り落としてしまった。

「アカル・・・」

ベルンが慰めるように、声をかけた。

「やっぱり!」パッドが叫んだ。

「え?知ってたの?両親は病気で死んだはずじゃ―――?」

「誤魔化してただけなんだ・・・」

パッドが申し訳なさそうに、アカルをちらりと見ながら言った。

「ねぇ、アカル。まさか、自分から助けに行ったりしないよねぇ?」

パッドが言いにくそうに行った。

「勿論」

「よかった!」

パッドやベルンが安心

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