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クレヴァと魔法使い  作者: アミューズィング・ナヴェリスト
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第4章ヴァレットモール

 アカルは朝、ベルンの目玉焼きを焼くジュージューおいしそうな音で起きた。

「おはよう・・・」

キッチンでアカルが目をこすりながら挨拶をするとベルンは元気よく挨拶して言った。

「おはよう!アカル。よく眠れた?今日はヴァレットモールに行くからね!そこで君に必要なものと食料を買うんだ。一緒に行こうね。」

ベルンが上手に皿に目玉焼きを乗っけると皿をテーブルに置いてコップを出し、何やら呪文を唱えると、コップの中に野菜ジュースが現れた。次にベルンは、パンを棚から出し皿に乗っけてアカルに「食べよう。」と言った。

 アカルは食卓に着くと、ある疑問が浮かんだ。

「ねえ、ベルン。魔法使いのお金って・・・・」

アカルが聞きかけるとベルンはアカルの話をさえぎって言った。

「アー、そうだったね・・・これを見て。」

ベルンはアカルに丸めてある羊皮紙ようひしわたした。羊皮紙にはこう書いてあった。

――――アカル・ハルト様――――

〈魔法使いのお金〉

・金貨はルウド

・銀貨はヴァル

 50ヴァルで1ルウド。

 この村に移住いじゅうしてきた魔法使いに1000ルウド。魔法使いではなかったが、魔法使いになってここに住む者に5000ルウドをプレゼントされる。


 お金は大事に使いなさい。

―――――ウィスト・ハストネス――――――


アカルは羊皮紙を丸めて、目玉焼きを食べ終わってから次の質問をした。

「でも、どこにお金がプレゼントされるか僕知らないよ。」

「そりゃあ、ディパンク・・・君の銀行の金庫に預けられるにきまってるだろう?」

ベルンが答えてくれたのでだいたいの事は分かった。

 朝食を食べ終え、歯磨きをするとすぐに家を出た。玄関には、ほうきが2本置いてあった。

「え?これで行くの?」

アカルは箒に乗ったことがなかったので、不安になって聞いた。

「そうだよ。大丈夫。僕も初めて乗った時、上手に飛べたから。さ、行こう。」

ベルンが箒にまたがってしまったので、しぶしぶ箒にまたがった。

「行くよ。1、2、3!」

ベルンの箒が地面を離れると、不思議なことにアカルの箒もベルンの箒の方へ向かって地面を離れた。

「アカルー!これ、着いてきサーテゥムールだった!良かったね!」

ベルンが飛びながら何か言ったのでアカルはあまりよく聞こえなかった。

「箒が何?」

アカルが大きな声で聞くとベルンも大きな声で答えた。

「着いてきサーテゥムール!後で説明する!」

アカルはベルンが何を言ったのかがやっと分かり、とにかく箒から落とされないようにしっかり箒につかまっていた。

 ベルンの箒が高い所に行くとアカルの箒も高い所へ行き、ベルンの箒が低い所へ行くと、アカルの箒も低い所に行った。向かい風が吹いてきた。冷たい向かい風がアカルの頬にぶつかって、まるで平手打ちを食らったように痛かった。でも、飛んでいる気持ち良さもあった。

 ヴァレットモールの箒置き場に着いた頃にはもうアカルとベルンの頬は真っ赤になっていた。箒置き場には、いろんな箒が浮いていた。

「アカル・・・着いたよ・・・」

ベルンはハアハアと荒い息をしていた。

「そのようだね・・・・・」

アカルもベルンと同じで荒い息をしていた。

「あ、さっきね、言おうとした事は・・・この箒は着いてきザーテゥムールなんだ。ええっと、着いてきザーテゥムールとは、二つセットで箒があって、この金色の梟のマークが付いた方がリーダー的な箒で、この銀色の梟のマークついた方がメンバー的な箒だよ。まあ、2本でセットなのもあれば、3本でセットもあるしね。えーっと、20本のセットが最大だよ。だから、リーダーとメンバーを間違えないようにしなくちゃいけないんだ。」

ベルンは一気に話したのでとても疲れた様子だった。

「へ、ぇ・・・すごいね!」

アカルが言うと、ベルンはニコッとして言った。

「そうだよね?すごいよね!あ、アカル、ディヴァンクに行かないと!」

ベルンは自分のと、アカルの箒を箒置き場に浮かせてからアカルの手を引いてスタスタと歩き始めた。

「ディバンクはここからまっすぐ・・・・ほら、あそこだよ。」

ベルンはモールをまっすぐ歩きながら200メートル程先を指差して言った。ベルンの指差した所には円形の大きな古そうな、でも丈夫そうな建物が建っていた。アカルはだまってうなずいてベルンと一緒に歩いた。3分程度歩くとすぐにディバンクに着いた。中に入ると、たくさんの魔法使いや魔女たちがテーブルで何やら書類書いたりお金の計算をしていた。ベルンは子供だが、堂々と歩いていた(ちょっとこけたが)。ベルンはアカルの手をしっかり握って奥の方へと進んでいた。一番奥へ来ると、長いひげをはやした魔法使いがテーブルで書類を書いている所に来た。とても怖そうな顔をしていて、どうやらここの一番偉えらい人のようだ。

「あの、ビン叔父さん、アカル・ハルトと僕の金庫を開けたいんだけど?」

ベルンが一番偉い人と思われる人物にれ馴れしく「ビン叔父さん」と言ったので驚いたが、ビンという叔父さんの声にも驚いた。

「あなたが、アカル・ハルトさんですね?」

その声はとても優しくて何をされてもあまり怒らなさそうな声だった。

「杖をお持ちですか?」

ビン叔父さんに聞かれてアカルは何故かビクッとなった。

「はい。」

アカルは自分のズボンのポケットから杖を出した。

「ほお・・・ええと、もしや、アカルは父親が「レイン・ハルト」という名前かね?」

アカルはビン叔父さんが自分の父親、「ライト・ハルト」と友達だということがすぐ分かった。

「はい。ビンさんは、僕の父親と友達なんですか?」

アカルが聞くと、ビン叔父さんは笑って言った。

「わたしのことはビン叔父さんでいい。そうだ。わたしは君の父親と友達だよ。いや、心友だ。」

ベルンはビン叔父さんの机をトントンと叩いた。

「ああ、そうだったね。着いてきなさい。アカル、君の金庫は146番金庫だ。さあ、行こう。」

ビン叔父さんはアカルの杖を持ったまま洞窟どうくつの中に入って行った。アカルとベルンも叔父さんに着いて行った。2分ほど歩くと、「146番金庫」と書いた金庫に着いた。金庫に着くとすぐに叔父さんは金庫の扉の前へ行き、何やら小さくて聞こえない声で短い呪文を唱えていた(「アカル・ハルト」とアカルの名前を言っているのは確かだった)。呪文を唱え終わると、ビン叔父さんはアカルの杖を星の形に振った。すると、アカルの金庫の扉がギィギィ、ギシギシと、音を立てながらゆっくりと、開いた。アカルはそっと自分の金庫の中を覗いてみた。中には沢山のルウドやヴァルが積み重ねてあった。

「アカル、この袋の中に必要な分だけ入れて持っていきなさい。」

ビン叔父さんに袋をもらうとすぐに金庫の中のルウドを一掴み袋の中に入れた。見た目はとても軽そうなコインだったが、実際一掴みを持ってみるとなると、流石に重かった。これだけでもう袋はパンパンになった。

「これでいいかね?」

ビン叔父さんがそう聞いたが、ベルンはどうなるのだろうと思い、聞いてみた。

「え?本当に一掴み僕にくれるの?」

ベルンは嬉しそうにきいた。アカルはコクンと頷いた。

「ありがとう。じゃあ、遠慮えんりょなく。」

ベルンも袋にルウドを一掴み入れたので、もうこれでいいです、と叔父さんに伝え、お礼を言ってからディヴァンク銀行を出た。外は銀行の中よりとても暑かった。何せ今は夏だからだ。アカルとベルンはオレンジ味のアイスキャンデーを買い、それを食べながらお店を見回っていた。

「アカル、あそこだよ。あそこが魔法使いのペット専門店なんだ!行こう!」

ベルンは今度は斜め前の「魔法使いのペット専門店」と書いてある小さな店を指さした。

「あの、すみませーん!」

ベルンがいきなり近くの女性に話しかけたのでアカルは少し驚いてしまった。しかも、その質問内容にも驚いてしまった。

「あの、「魔法使いのペット専門店」に行くにはどうすればいいですか?」

その質問に対して女性は普通に答えた。

「あぁ、あそこね?残念だけど、一度ディヴァンク銀行に戻って、反対側の道から行かなきゃだめよ。」

「ありがとうございました!」

ベルンも普通にお礼を言った。女性が行ってしまうと、ベルンはディヴァンクの方に向かって歩き出したが、アカルは道を横切った方が早いと思い、勝手に道を横切ろうとした。

「アカル!だめ!」

ベルンがアカルを連れ戻そうとしたが、もう遅かった。アカルはいなくなっていた。横切ろうとしていた道路は、瞬間移動モウントームロードだったのだ。

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