第2章 魔法使いになる儀式
アカルはたくさんの目がアカルに注目している中森の中へ歩いて行った。森は薄暗かった。アカルは明かりの少しでもある所を探し、そこで「基本呪文と禁断の呪文」の目次を見た。
「明かりの呪文・・・・これだ」
アカルは21ページの「明かりの呪文」を開いた。
「テゥリータ 明るくなれ・・・・」
アカルは杖を何度も振った。
「うーん・・・初めてだからねぇ・・・・」
アカルはため息をついた。
「あ、言い方が違った!」
アカルはもう一度呪文をよく見た。アカルの陰でよく見えなかったが明らかに「テュリータ」の「テゥ」と「リータ」の間に「・」がある。
「テゥ・リータ! 明るくなれ!」
もう一度呪文を試した。今度はしっかりと「テゥ」と「リータ」の間に「・」を入れ、杖を本に書いてある通りに振った。すると、アカルの杖に明かりがつき、周りがとても明るくなった。アカルは自分が魔法を使えることに気付き、とても興奮していたが今自分は儀式の途中だということを思い出し再び歩き始めた。
30分位歩いた頃にシューっという蛇の威嚇する声が聞こえた。
「スサー サーメル スタッシ お前は、儀式の、途中だろう?」
いきなり蛇が喋り出したのでアカルはびっくりした。
「えーと、すみません。僕、蛇と話したことななんてありませんから・・・」
アカルはそう言ったが、蛇にも分からないらしい。アカルは呪文の本に何か載っていないか、調べてみた。
「あった。翻訳の呪文」
蛇はまだ同じ蛇語を話していた。アカルは杖を斜め(ななめ)に振り上げながら大きな声で唱えた。
「テゥー・レー・アーション! 翻訳せよ!」
アカルの声があまりにも大きかったので、周りの木に止まっていた鳥達が一気に飛んで行った。蛇は再び喋り出した。人間語で。
「お前は儀式の途中だろう?」
蛇の声は少しイライラしていた。
「はい。そうですが、まさかあなたを倒してから行け、だなんて言いませんよね?」
アカルは不安気に聞いた。
「そうだ。この小さな細いと思われる俺を倒してから行け」
アカルは一瞬こんな小さな蛇なら誰にでも倒せると思ったが、その考え方は違った。
「うわ!」
アカルは驚いて腰を抜かしそうになった。なんと小さくて細かった蛇が巨大化し、胴が太くなり、長さが2メートル程にもなった。
「さて、この俺を倒せるかな?」
蛇は黄色い目を細め、口元を横に伸ばしてニンマリとした。
「毒は・・・吐きませんよね?」
アカルは冷静な振りをして聞いた。蛇は、「もちろん吐きます」と言うように目をもっと細めた。アカルは急いで本をめくった。たまたま開いたページに敵が攻撃をできなくするという呪文があったので杖の振り方なんて見ずに唱えた。
「アターミ・ストー! 攻撃を封じよ!」
蛇はすでに毒を吐いてアカルに毒がつくとこだったが、何故かアカルに毒は効かなかった。蛇は毒が効かなかったので、アカルに巻きつこうとしてきたが、アカルに巻きつこうとすると、何故か蛇はピーンと胴を伸ばしてしまい、巻きつけなかった。
アカルは早くここを離れたいとおもい、本をパラパラとめくりいい呪文を探していた。その間蛇は何度もアカルに向かって毒を吐いていたが、アカルの服に毒が付くだけで何も起こらなかった。
アカルは睡眠呪文と失神呪文を見つけ、最初は睡眠呪文を使おうとしたが、もしかしたら起きてしまうかもしれないと思い、失神呪文を使うことにした。
「フェステゥーン 失神せよ」
アカルは杖をバツの形に振った。蛇は一番最初に見たときの姿に戻り、ぐったりと倒れた。
「少し罪悪感は感じるけど・・・」
アカルは独り言を言った。
アカルは自分の足の力が限界に近いのを感じていた。もう3時間以上は歩き続けていたのだ。
アカルはそこら辺にあった石に腰かけて、呪文の本をパラパラめくっていたが、目は木と木の間から見える空を見ていた。
アカルは10分程経ってから石から立ち上がった。すると、突然その石が動き出し、その10秒後にアカルに向かって上から大きな緑色の炎が噴き出してきた。
アカルは間一髪で炎を避けた。
アカルは何事か分からないまま上を向いた。なんと木を折ってドラゴンがアカルを睨んでいた。
「それはわしの尻尾じゃ。座らんでくれ」
驚いたことに翻訳呪文の効果はまだ続いていた。
「すいません・・・知らなくて・・・」
それでもドラゴンはアカルを睨み続けていた。そしてやっと何かを言おうと口を開いた。いや、違った勢いよくまた緑色の大きな炎をアカルに向かって吐いた。
「うわっ?」
アカルはまた運良く炎を避けたと思ったが、手に少し炎が触ったらしく赤くなっていて、とても痛かった。
アカルは始め、手を直すことを考えたが、ドラゴンを倒すことを優先だと考えた。
「アターミ・ストー! 攻撃を封じよ!」
アカルは落ち着いて唱えた。
ドラゴンは、まだ炎は吐くものの、炎は小さくゆっくりとアカルに向かって吐かれただけだった。
ドラゴンは大分炎を吐くことに力を使ったらしく、ぐったりして地面に座り込んだ。
とても緊張していたので、時間が何時間も過ぎたように感じられた。
「アー・・・ごめんね。僕、もう行かなくちゃ。君の尻尾に座っちゃったことは謝るよ。ごめんね」
アカルはドラゴンに謝ったが、ドラゴンは長い首を軽く地面にむかって下ろしただけだった。
また、30分程歩いた。疲れていた。足はフラフラしていて、額に汗がダラダラと流れ出てきた。
「・・・ウーン・・・・・・」
アカルはまともな言葉さえ出てこなかった。
――― もうだめだ。倒れそう。―――
そう思ったときに、「アカル!よくやったね!」と、聞き覚えのある声がした。
―――あぁ、ベルンが僕の方へ走ってくる。―――
アカルは周りがほとんどしっかり見えていなかった。だが、これだけは確かだった。ベルンの声がして、ベルンがアカルの方へ走ってきている。そこでアカルは何も見えなく、聞こえなくなりぐったりとして倒れた。
2章を読んでいただけて嬉しいです!!
実はこれ、編集を何度も繰り返していたんです。でも、これからは編集しなくても済むように、しっかりと面白い話を書けたらいいな、と、思っています。
―――じゃなくて、書きます!
是非とも、3章を読んでください!