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ダンガク

作者: 三四郎


「これなに?」

 訝しがるようにノッポの友人は言った。

「文字のようだが、何と書いてあるのか皆目見当がつかん」

 イケメンの友人が言った。

 私はただ沈黙し二人の友人を交互に見ている。炬燵の上にはミカンとお茶、そして謎の文字の記された一枚のメモ用紙がある。おそらく漢字であるのは間違いないようだが、いずれも解読できるものはいない。ちなみにメモ用紙にはこう記されている


「団欒」


「一文字目の読みはおそらく“ダン”で間違いないだろう」

 イケメンが一文字目の解読に成功する。私とノッポも異議は無かった。あった時点でそいつは十中八九外国人である。

 問題はもう一つの文字である。これの解読がすこぶる困難であった。

「何か良い知恵はないのか?」

 他力本願に私は友人二人を見た。お茶を飲みミカンを食いあさり、あたかも考えることを放棄したようであるが実はそうではない。彼らは必死で考えている。

 お茶を飲むノッポは考えに集中しすぎているせいか、口からお茶がこぼれていることに気づいていない。まことに汚らしい。

 ミカンを食いあさるイケメンは考えに集中しすぎているせいか、ミカンを次から次へと口に押し込んでいく。ミカンが尽きると剥いた皮も口に運び入れる。見るに堪えかねる景色だ。

 私とて文学を志す青年である。文字を読めぬとあっては沽券に関わる。無い知恵と乏しい経験をもとに思考力と想像力の限りを尽くした。

 そして一刻が経とうとするころ、三人の口から答えがでた。


「ダン……ガク…?」


 我々はお互いを見あって笑いあった。

 

よろしくどうぞ。

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