表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
404 File Not Found  作者: なな
5/11

LOG05 沈黙の夜

その夜、部屋の明かりを落としたまま、私の携帯電話が震えた。画面に表示された名前を見ただけで、胸の奥がひくりと鳴る。真央だ。嫌な予感は、だいたいいつも当たる。


「はな、パパから連絡ないの。真央のところに連絡ないの。もう何時間も待ってるのに、全然来ないの。」


通話口から飛び出してくる声は、息継ぎもままならないほど早口で、次第に金切り声に近づいていく。


問いかけの形をしているのに、答えなど最初から求めていない。

ただ不安を誰かに叩きつけたいだけだと、私は知っていた。


私は相槌も打たず、ただ耳に当てたまま黙っていた。真央には、言いたいだけ言わせたほうがいい。


下手に言葉を挟めば、火に油を注ぐだけだ。沈黙の向こうで、真央の呼吸が荒くなり、声が震え始める。


さて、どうする。頭の中で同じ言葉がぐるぐる回る。


三浦から連絡が来ているか、と言えば、それは少し違う。


彼は「連絡の向こう側」にいるのではなく、今まさに、私の目の前にいるから。


三浦は、私の様子を見てすべてを察したように、何も言わず近づいてきた。

そして子どもみたいに、静かに、でも逃げ場を塞ぐように、私に抱きつく。


腕の中で感じる体温と重さが、現実を否応なく突きつけてくる。


通話口からは、真央の声が割れたまま流れ続けている。パパはどこにいるの、どうして出ないの、何かあったんじゃないの。三浦はその声を聞きながら、私の肩に額を預け、動かない。


まるで、聞こえていないふりをすることで、この状況そのものを拒否しているかのようだった。


私は携帯電話を握りしめたまま、息を整える。沈黙は、もう少しだけ続けるつもりだった。真央にも、私にも、そして三浦にも、この夜をどう越えるのか考える時間が必要だったから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ