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LOG02 真央
ある夜、三浦が何でもない調子で言った。
「通話に、一人入れるね」
理由を聞く間もなく、私は「うん」と返事をしていた。
断る選択肢なんて、最初からなかったように思う。
数秒後、ヘッドセットの向こうから、弾むような声がした。
真央と名乗る、十代の女の子だった。
明るくて、軽くて、画面のこちら側まで跳ねてきそうな声。
かわいい、という言葉がいちばん近いのだろう。
でもそのきゃぴきゃぴした調子は、長く聞くと少しだけ耳に残った。
三浦は、当然のことのように私に言った。
「仲良くしてあげてよ」
まるで、もう話は決まっているみたいに。
私は曖昧に笑って、「よろしくね」と口にした。
真央は嬉しそうに、また少し高い声で返事をする。
――まぁ、仕事以外で話すことはないだろう。
そのときは、そう思っていた。
ただ、通話が終わったあとも、
彼女の声の高さだけが、妙に頭に残っていた。
消えそうで消えない、軽いノイズみたいに。




