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404 File Not Found  作者:
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log10 サービス終了

退院して三日目の午後、三浦はパソコンの前に座っていた。

そこが彼の席で、机の上にはいつものマグカップと読みかけの書類が置いてある。


メールボックスを開くと、最上段に「【重要】サービス終了のお知らせ」があった。

「ボイスリング」――かつて夜を削って守った場所の名前だ。


突然のお知らせとなり申し訳ございません。

ボイスリングは、◯年◯月◯日をもちましてサービスを終了いたします。

長きにわたり支えてくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。


三浦は一度だけ画面をスクロールし、それ以上は読まなかった。

もう説明文を最後まで読む習慣もなくなっていた。


「はなー。ボイスリング、終わるって」



返事はすぐに返ってくる。


「いつまでー?」

「今週末で終わり」

「ふーん。じゃあ週末、ゴミ出し忘れないでね」


それは、仕事の終わりよりも現実的な話題だった。

二人の会話は、いつのまにかそういう順番になっていた。


三浦は椅子を少し回して、背中越しに声をかける。


「お茶、ある?」

「大丈夫この間、買い足しておいた。」


はなはキッチンで湯を沸かし始める。

三浦は音だけを聞きながら、再び画面を見る。


「ボイスリングが終わる」という事実は、

洗剤の詰め替えが切れたとか、牛乳を買い忘れたとか、

そういう話題と同じ棚に並んでしまっていた。


共有の夫婦の湯飲みが、並んで用意される。


「どうぞ。そっちもってく?」


返事をしようとして、三浦は少し息を吸った。

だが声は出なかった。


肩から力が抜け、視線が画面に落ちる。

サービス終了の文面が、まだそこにある。


湯の沸く音が止まる。

カップを置く音が、台所で鳴る。


はなが部屋に戻る頃、

三浦はすでにパソコンの前で動かなくなっていた。


お茶は、冷める。


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