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謝らんでいいよ

書いてる途中のやつを割って投稿したから、若干終わり方不自然かも…。

我が家感があんまない我が家の最たるもんって城やと思う。

開口一番に何を言うてんのやと思うかもしれへんけど、なんせ我が家は城なんで見ると毎回思うねん。許してな。

誰に向かって言うてんのか分からんことを思いながら、城の入り口の前で止まった馬車を降りる。

使用人たちが出迎えてくれる。


「おかえりなさいませ。」


深々と頭を下げた使用人。

それに私は少し手を上げて答えたる。

その使用人たちは、出迎えるとサッサと自分の仕事をこなそうと散り散りになっていく。

私の荷物を受け取りに来た侍女のヘレナが私の腕ん中に抱えられてる彼を見て、困惑したように聞いてくる。


「姫様。それが姫様の奴隷でしょうか。随分と不細工で……、しかも黒髪……。」


黒髪が何があかんのか分からん。

ヘレナの言葉に私は青筋浮かべて小言を言うと、ヘレナはすぐ謝ってきた。


「まぁええわ。ヘレナ。私の宮殿に空き部屋あったやろ。あの広い部屋や。すぐ片付けてきて。」

「はぁ。姫様、あの部屋を何に使うおつもりで?」


ヘレナが聞いてくる。

いや、文脈でわかるやろ。私が抱えてる大切なこの人の部屋やって。

それを言うと、ヘレナは全力で止めてきた。


「あんなに良い上質な部屋、奴隷などに使わせるなどもったいのうございます!」

「はぁ?とりあえず掃除してきぃ。あの宮殿は私のなんやから何に使おうと勝手やろ。」


イラっときたから、若干言葉が強うなった。

プリンセス生活が板に付いてしもた私は結構傲慢な気がする。

せやけど、そう言わんとヘレナって私の言うこと聞かんからなぁ。

多分舐めてるんやろ。私のこと。

なんせ私はお嬢様言葉やあらへんし、きちっと毎日ドレスなんか着いひんし、今だってズボンやし。

お姫様らしいなんて無縁やからな、私は。


「……かしこまりました。」


渋々な感じでヘレナは私の宮殿のデカい部屋を掃除しに行ったので、私もあの宮殿の自室に行くために、馬車を用意させた。



――――――――――――



私は自分の宮殿の中を歩く。

アホほど広いこの宮殿は自室に行くのにも面倒や。

所詮、見栄の塊やわ。

この宮殿のデカさに心ん中で毒を吐いてると、やっと自室に着いた。

ここで普通の姫様は侍女にドアを開けさせるけど、私は普通とはほど遠い姫なんで、足で開ける。なんせ彼を抱えてて両手塞がっとるからな。

今日ズボンで行ってよかったわー!

私は広ーい自室の広ーいベットに彼を寝かせる。

しばらく、私のベットで寝てはる彼の頭を撫でてると、ヘレナが部屋に入ってくる。


「姫様。お部屋の掃除ができました。」


報告を終えて、ヘレナは部屋を出たから私も彼を抱えて彼の部屋に移動する。

彼にあげる部屋は、この宮殿の中で私の部屋の次にデカい部屋や。しかも、私の部屋の次に豪華でベットとかの家具も精巧にできてる。こんだけ綺麗な部屋やから彼の部屋としては最適やろ。

そんなことを考えながら、彼の部屋の扉をやっぱり足で開ける。


ガチャ


流石の上流階級で生まれ育って身分の低い人たちを軽視するようなヘレナも、部屋の掃除で手を抜くような事は無いようや。

ホッとしつつ、彼をこの部屋のベットに寝かせる。

起きた時用に果実水が入った大きめのピッチャーとコップを使用人に用意させて、枕元に置いておいた。

彼が起きるまで暇やから、彼の顔をガン見しとく。

それにしても端正な顔立ちしてはんなぁ。見惚れるわ。

多分ストレスで混じってしもた白髪も彼の魅力の一部にしてまうぐらいや。

女の私より綺麗なんちゃう?

そうやって彼の顔を見てると、彼の瞼がピクピクの動いた。

そんで、薄く目が開く。


「おはよう。気分はどうや?」


そう言うと、彼は完全に覚醒したらしく、目がぱっちり開いた。

そんで、彼は上半身をバッと起こして、震えながら頭を下げはった。

途中、なんか言おうとしてるような息の掠れる音が聞こえたから、もしかしたら声でえへんのかもしれん。


「頭下げんでええよ。ほんで、アンタ声出てへんのやろ?一旦水飲みぃ。」


もう一度頭を下げた彼に果実水をあげる。

彼は恐る恐るコップに口をつける。

なんか入ってるかもって怖いんやろなぁ。

でも、彼はほんの少し飲んでくれた。

ほんならよほど美味しかったんか、グビグビと果実水を飲み始めた。

私は思わず声をかけてしまう。


「ええ飲みっぷりやなぁ。喉乾いてたん?」

「……ぁ……。」


ほんのちょっと声が出るようになったらしく、掠れた小さい声が聞こえた。

私がちょっと喜んでんのとは裏腹に、彼は怯えてまた深々と頭を下げた。


「…ぇ……ぁぃ。」


何を言うてんのかわからんが、まぁなんか謝ってる気がする。


「謝ってんの?」


そう聞いたら頷きが返ってきた。

酷く怯えてて可哀想になるぐらいや。

せやから、なるべく優しく聞こえるように喋る。


「謝らんでいいよ。喉乾いてたんやろ?アンタは悪いことしてへん。やから気楽にしぃ。」


そうゆうと、彼の口角がほんの少しだけ上がった気がした。

多分まだ声出てへんし、喉乾いたりしてるんやろなぁ。


「もっと飲むか?」


そう言うて、私は彼に果実水の入ったコップを差し出した。

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