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S.S.  作者: 立風
高校編
3/5

第3話 休み明け

その後、会議が終了し、大まかに、すごく大まかにこれからについて決められた。情報が少なく、これからまた増える可能性もある。


1.学校襲撃の影響により6月17日(火)と6月18日(水)を休校とする。

2.以降は通学路、学校敷地内に警備を配置する。

3.現在この場にいる者以外に魔術に関して情報を共有する事を禁止する。

4.魔術に関して意図的に情報を流した者は退学処分とする。


 その後、保護者への引き渡しが行われ、そのまま2日の休校に入った。


(あれでよかったのか?先生たちも正直何が何だかわからないまま話してたと思うし、じゃなきゃあんな意見が通るわけないもんな。説明を減らせたのは良かったけど…まずは木曜にどんな反応されるかだな)


 足取りがいつもより重い。2日ぶりの登校。偶々教室に来るまで誰とも会わなかった。みんな今まで通り接してくるとは思えない。みんないいやつだってことは知ってる。それでも、だからこそあまり踏み込んでこないかもしれない。説明する暇がなかったのだから今どう思われているかもわからない。


(一歩引いた対応される覚悟も偏見の目で見られる覚悟も出来てる)


 教室の扉を開けた。


「あ…神奈君!」


 最初に後ろの扉から一番近い涼華(りょうか)が彼に気づいた。それを聞いた教室の全員が彼に目を向けた。


(…!!)


 覚悟を決めて来たつもりだったが、いざその時になると中々 心に…


「神奈君!」


「優斗!」


「お前!待ってたぞ!ほぼ説明なしに二日待たせやがって!」


「優斗凄かったな!!何だあの氷バーンとか!かっこよすぎだろ!!」


(……)


「あ…優斗君…あの…ありがとう! すごい…怖くて…」  


「…ああ…いや霞澄もよく声上げないで相手刺激しないでくれたよ」


「あ、いやそれは…」


「霞澄あの後すごい怯えてたんだよ!」


「まあ仕方ないよあれは怖いもん。あんな奴に対抗できるの桔梗ぐらいだよ」


「まいちゃん私のこと何だと思ってるの!?」


 想像していたより随分と明るく対応されたことに彼は困惑していた。呆気に取られる彼に構わずクラスメイトは二日考えていた質問や言いたいことを一気に投げかけた。


「おいおい!みんな優斗が質問投げられすぎて固まってるって!」


(焚き付けたのお前だけどな)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「今日優斗来るかな」


「まあ流石に来るだろ」


「……なあ」


「ん?」


「………………… よくね?」


「ははは まあその方がいっか」


「勝らしいな」


「はーいみんな聞いてー!!今日優斗が来たら

みんなで優斗のとこ集まって超明るく迎えよーぜ!!あいつが席辿り着けないくらい!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ちょ…!通して通して!俺席窓側だから!」


「でも英雄の凱旋だよ!」 


「ははっ そんなんじゃねえよ」


 やっとのことで席に辿り着いた。窓はこの二日で業者に取り替えられていた。自身の予想が完全に裏切られて、彼の顔には少し笑みが浮かんでいた。


「優斗ビビった?勝がみんなに明るく迎えてやろうって言ってたんだよ」


「薄々わかってたよ」


「え!それ言っちゃうのかよー!…まあ英雄には盛大な出迎えがないとな!」


「…ありがとう気遣ってくれて。勝は人の気持ち よくわかってるな」


 上坂勝はこの悲観的な考えを見抜いた上であの提案をしたと、小学生からの付き合いで出来上がって来た人物像が神奈優斗に思わせた。


「…ははっ 俺はそんな頭回んねえよ」


「ってかちゃんとみんなに俺のこと話さないとな」


「…てわけで、俺は魔術を使える理由がわかんないし、前の奴らの目的もわかんない。俺もわかってること割と少ないんだよ」


「それって500前の神の魔術そのものなの?」


「んー……わかんないけど多分」


「本当に16年間隠してきたんだな…」


「いや俺5歳より前のことなんも覚えてないから子供の時どうだったかわかんないけど」


 話していたらもうホームルームの時間だった。担任の先生も話をどこで切っていいものか迷っていた。


「あ、もうホームルーム始まるし、続きは後で話すよ」


 その後ホームルームではこれからの学校の対応について改めて話された。ホームルームが終わるとまた神奈優斗の話を聞こうと窓側に人が集まった。


「そういや魔術のこと漏らしたら退学なんだったな」


「そんな大事なの?」


「まあ、念のために」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「情報漏洩の罰金ですか!?しかも学生相手に!」


「流石に他の機関が黙ってないですよ!」


「いや、この話も口外したら芋づる式で僕のことがバレるので親御さんや他の機関にも伝えませんし、もし魔術の存在が知れ渡れば国も歴史も揺るがす事になります。」


「…概ね彼の見解は正しいと思いますが…もし現在戦争中のあの2国にでも知れ渡れば…彼が兵器として扱われる可能性もあります。生徒を無事人として成長させることが学校の役割であり、我々の役割です。情報は必ずここで食い止めなければなりません。ですが罰金とまでいくと情報漏洩防止ではなく生徒の不満や不安を強まるだけになるかと思います。」


「…そうですね…僕の考えが浅かったです」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(あの時は流石に考え無しすぎた)


「んー…そう言う話はいいわ、それよりさ!優斗ってどんな魔術つかえんの?」


「ほら、漫画とかでよく見る炎、水、雷、風、氷の属性魔法みたいな」


 その後、炎や雷など少し危険なものを除き、ちょっとした魔術をクラスメイトや教室の外に見物に来ていた生徒たちに見せた。

「すごい!目の色変わるのかっこいいね!」


「?…目の色変わる?」


「え?変わってるよ!水使う時は青とか風の時は緑とか」


「そうなんだ、気づいてなかったな」


 授業はほぼ通常通り進み、警官が騒ぐ様子もなかった。安全のために部活はしばらく禁止になり、なるべく集団で下校するように言われていた。


その夜


「大丈夫…これでいいはずだ」


 1年2部の5人の生徒にメールが届いた


「ん?」


「優斗から?」


「……」


「優斗君から…」


「メール?」


送信主:神奈優斗

"明後日の午前中にうちに来て欲しい"

 

 


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