第2話 対処
ほとんどの生徒が校庭に避難済みだった。
「これ何があったの?」
「なんか不審者?みたいな」
「教室入って人質取ったらしいけど」
「何それ!?本当にあるの!?漫画でもあんま見ないよそんなの!」
「優斗…」
「…待つしかないよ、後で説明するって言ってたから」
「……そうだな…」
「38 39 40 よし全員いるな あんま騒ぐなよ!」
教師たちは並んだ生徒の人数を数え、生徒たちは初めての本当の避難に戸惑い、喧騒が続いている。
「警察への連絡は?」
「済んでます。」
「しかし何故こんなメリットのないことをす…」
チャキッ バン!!
校舎側にいつの間にか男が三人いた。それぞれ銃を持ち、一発撃ったことで全員が視線を向けた。
「騒ぐな!!」
しかし生徒たちは鎮まらなかった。男たちの後ろに、もっと驚くべき事が起きていた。
「何あれ!?」
「氷!?滑り台!?」
「騒ぐなと言った!!お前らは全員人質だ!!妙な動きをするんじゃ…」
銃を持った男のすぐ背後に既に。。。は氷の道を滑り降り、迫っていた。一人に蹴りを入れ、もう二人の銃を水魔術で濡らし、凍りつかせた。男の手も濡れて凍りつき始めた。
「ああああぁぁあぁあ!!」
「冷てぇ!!何だこれ?!」
蹴られた男はよろめきながらも銃を手にし、優斗に向けた。しかし、優斗は氷魔術と水魔術で銃を凍らせ、炎魔術で男のすぐ目の前を燃やした。男は座ったまま情けない声を上げて後ろに引き、もう二人の男はどんどんと凍りつく腕をなんとか止めようと必死になっている。
(…もう来ないな)
校庭のほとんどの人がこれは夢ではないかと思った。現実にこんな事があるはずが無い、歴史上では数百年前まで実在したと語られているが、それはあくまで伝説でしかない、昔の人が発展した科学を魔術と見間違えただけだと一般的には言われている。
「警察です!被疑者は何処にいま…すか……」
目の前の光景に警察官も唖然としていた。
「もう二人いるので連れて来ますね」
そう言って直接教室の窓まで上って行った。足を上げるとそこに足より少し大きい程度の氷が作られて、それを駆け足で上がり、上りきった段は消えていく、神秘的な光景。
「あの…一体何が…」
警官が最初に沈黙を破り、教師に話しかけた。
「……いえ…我々も…何が起こったのか…」
「あの三人が突然発砲して…それで…」
警官はまず息の上がっている三人に手錠をかけた。
「ひとまずこの後すぐに会議を開かなければ …」
「しかし生徒はどうしますか」
「このままここで待機が一番かと。応援を呼び、会議中に警備してもらえれば…生徒には少し酷ですが」
南校舎の窓から氷の道を作り人が三人降りて来た。そのうち二人は手を縛られていた。
「ぉぉぉぉおああああ!!」
「ぉぃぉいおいおいおい!!」
ドガッ
「何だ!?」
二人の男が高速で滑り降り、木に思いっきりぶつかった。
「おい!扱い荒すぎだろ!!」
「いってえぇ!急に放り込むなよ!!」
「人質取った奴と銃撃った奴が何言ってんだ」
静かに着地して言った。
「…コホン神奈君、この後の会議に出てもらえますか?」
「…はい、警官の方も同席していただけますか?」
「あ…あの…田中先生たちは…」
「…あ」
1年2部の教室に4人の男性教師が向かっていた
「バリケード張り終えました」
「さすまた持って来ました」
「よし…行きましょう!」
「犯人を刺激しないように慎重に!」
「はい!」
学校に乗り込むような犯罪者を相手するのは当然初めてなので4人とも少し足が震え、動きにぎこちなさがあった。
ガラッ
教室には窓から外に飛び出た大きな氷があるだけだった。……4人同時に顔を見合わせた。
侵入した五人の男は応援で駆けつけた警官たちに連行されて行った。警官は全員もれなくこの状況に対する疑問を呟いていた。緊急につき、警備員が全員の安全を確認できるようにグラウンドで話し合いをする。
「いやー…勇気出したんですけど…」
「緊張しました…めっちゃ緊張しました…」
「えーまず事の説明を1年2部神奈優斗さんからご説明いただきます。神奈君焦らなくていい、一つずつ話してください。」
「…はい。まず僕は魔術を使えます。これは生まれつきのものです。理由は…わかりません。さっきの連中が僕を狙う理由もはっきりわかりませんが…それを依頼する人物がいると聞きました。」
「…? 誰から聞いたんですか?」
「教室に入ってきた男からです」
少しの間沈黙が走った。
「ご説明ありがとうございます。 …えー、学校としては生徒の安全のため、一時休校を考えていましたが、これについて意見のある方はいらっしゃいますか?」
「それは…その依頼人が捕まるまでですか?」
「現時点ではそう考えています」
「しかし…! それでは生徒の将来にかなり影響します!期間が定まらなければ…」
「ですが今はこれが最善かと思います。」
「意見いいですか?」
教師の議論に優斗が割って入った。
「僕が警官の方をここに引き留めたのは学校と駅や通学路の警備を配属してもらいたかったからです。僕たちが一番忌避すべきは魔術が実在すると世に知れ渡ることです。できれば親御さんにも隠しておきたい…僕の意見はあくまで念の為の警備という口実で学校をいつも通り運営していく事です」
「!!」
誰もが通常の生活がこれから一変すると思いながら議論していた中に16歳からこの意見が投げられ、どうするか迷っていた。
「それはあまりに危険すぎる!!例え警備があったとしても…」
教頭先生は反対してきた。
「いえ、私は彼の意見を尊重します」
「北村先生!?ですが!」
「…私も賛成です」
「私も」
「な…!」
「確かに我々が尊重すべきは生徒です。この場合に限ってはそれぞれ家にいるよりも警備の目があった方が安全と判断したまでです。生徒の将来についても出来る限り保証できる、反対の方はいますか!?」
手は上がらなかった
「……わかりました。ではこの案を中心に展開していきましょう。」
「……あ、一つ言ってない事がありました。」
「はい、神奈君」
「…いえ、すみません勘違いでした。」
(これは言わない方がいいよな。本人は自覚ないだろうけど…魔術師が学校に
俺以外に五人いるなんて)
後半はみんな頭があんま回ってません。