第1話 二ノ神神話・転
素人ですが気長にお付き合いいただけると嬉しいです。
結末は既に決まっています。
「優斗その力は人前では使うな。魔術を持っていることは出来るだけ周りに話してはいけない。」
「…? なんで?」
「…大切なものはあるか?」
「うーん…おかあさんとおとおさんとか…とういちろうくんとかきょうすけくんとか…」
「その人たちを守る為だ。そして自分を守る為だ。いつであっても迷わずに自分と大切なものの為に動きなさい。これは決して忘れるな。私との約束だ。」
「うん!わかった!」
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目覚ましが鳴った。止めて枕に顔を埋めたがすぐに起き上がり、高校へ行く支度を始めた。夢で誰かと話していたという記憶はあるが、彼はほとんど覚えていないらしい。
「お、優斗おはよー」
教室に入ってすぐ京介が声をかけてきた。
「おはよ。数学の課題やった?」
「ん?やってないけど」
「いや何でこっちがおかしいみたいなスタンスなんだよ!」
「あ、大丈夫大丈夫!俺もやってない!」
勝も会話に入ってきた。
「二人ともまじか」
「とういちは?数学やった?」
「あー答え合わせやってないわ。一時間目なんだっけ?」
「歴史じゃねぇっけ」
「まあ数学までには終わるよ。お前らと違って真面目だからな〜!」
「いや勝手に分解される式の気持ちにもなれよ」
「お前は因数分解を何だと思ってんだ」
学校が都会の外れにあり、周辺の中学からほとんどの生徒がこの高校に進むため、部活やクラブの付き合いもあり、高一の6月にしてかなりクラス全員の仲がいい。
「あ!桔梗〜 大会お疲れ!」
「ん?ありがと!」
「も〜桔梗とか霞澄とか勉強できて運動できてこんな可愛いの反則だよ!」
「いやいや…そんな事ないよ」
チャイムが鳴り、教室が静まり返った。
「えー、500年前のこの時期からウルルガット・デュークアムテイオスの影響で文明が急速に発展し始め…」
突然教室の扉が開いた。見覚えのない男が現れて全員が一瞬困惑した。
「動くな」
男はナイフを取り出し、そう言った。半分以上の生徒が立ち上がり、声をあげかけたが
「動くなぁ!!」
男は大声をあげ、すぐに扉から一番近い席の霞澄を人質にとった。
「神奈 優斗こっちに来い、こいつと交換だ」
全員が視線をこっちに向けた。聞きたい事が色々あるだろうけど…
(どうする!?…魔術を隠すとか言ってる場合じゃないよな、落ち着けまずは…)
最優先に風魔術で付近に仲間がいないか探知した。普段は黒い瞳が緑色に光った。
(!やべ)
南校舎の屋根に銃を構えた男がいた。この教室は北校舎三階、さらに窓側の席だったので一番狙いやすい位置だった。
パリン! パキパキ…
咄嗟に氷魔術で窓側に氷を生成したのが向かいの校舎の銃を持った男に撃たれたタイミングと同じだった。ガラスが割れ、押し寄せる波がそのまま凍ったかのような氷でギリギリで銃弾を防いだ。
(防がれた!?何だあれ反則だろ…!!)
狙撃手は狙い所を失った。教室は騒然とし、ナイフを持った男は唖然としていた。すぐに男に近づき、雷魔術でスタンガンくらいの電流を発生させ、男を押さえつけた。人質となっていた霞澄は声をあげずに素早く距離をとった。かなり怯えた表情をしていた。騒ぎを聞きつけた先生たちが駆けつけてきた。
「何があったんだ!?」
まずは生徒全員校庭にまとまるべきだと考えた。
「皆教室から出て一階に行ってくれ!他のクラスも避難をお願いします!!」
先生たちはすぐに緊急時だと察して行動してくれた。
「今の何!?神奈君がやったの!?」
「……取り敢えず皆避難しよう!他に仲間がいるかもしれないから慎重に行こう!」
最初に藤一郎が声を上げてくれた。
「皆先生についてきてくれ!焦らず、前の人を押すなよ!」
先生も大分困惑してるだろうに冷静に生徒をまとめてくれた。
「優斗…」
「後でちゃんと説明しろよ!」
「なんか出来る事ないか?」
「後で話すから一旦避難してくれ、すぐ行くから」
窓側に人がいなくなったのを確認して、炎で氷に穴を開け、氷の玉を風で撃ち出した。狙撃手に到達する直前に小さな氷のドームに変形し、狙撃手を閉じ込めた。
「な…!何だこれ!!」
(取り敢えず両方無力化したかな…)
男は電流で気絶していて、ようやく目を開けた。動こうにも頑丈な氷で手足が床と壁に拘束されており、何もできない。
「仲間は何人いる?この前帰る時に襲ってきたやつも仲間か?何で俺を狙うんだ?」
男はどうにも勝てないと思い、素直に喋り出した。
「……仲間じゃねぇがまだ人は来る。俺みたいに人質取ってやろうって輩がな。前に襲った奴は知らんが俺らと同じ依頼受けて来た奴だろ」
「!!」
即座に風魔術で探知を開始した。もう三人学校に近づく人影がある。
(奴らもまた人質を取ろうとしているなら学校の全員危険に晒したことになる)
「さぁ質問には答えた。これを解いてくれ。もう俺には勝てねぇのはわかっ…」
既に窓から氷の道を作り、外に出る寸前だった。
「おい!待て!!せめて…」
優斗は発言を全く無視して滑り降りて行った。
「ったく…」