(登場人物や略図など)
【登場人物】(◎は主人公、〇は主要登場人物)
◎簔山清之助 東京から京都へ来た旅行者
◎お桐 祇園の芸子。京都での清之助の案内役
芸子、舞子たち、フナ売り、風船売りなど、道中で出会う人々
清之助が宿泊する宿の女中たち
〇三千歳 十六歳の舞子
〇岸勇 十三歳の舞子。三千歳の妹
〇爺様 清水寺念仏堂の住職
お桐の旦那、操(お桐の赤ん坊)、軍人など、会話中で言及される人々
【予備知識】
・楊柳
柳のこと。
・京都の「芸子(芸妓)」と「舞子(舞妓)」
関東の風俗と比較すれば、それぞれ「芸者(芸妓)」と「半玉(見習いの芸者)」にあたる。
・おばけ
京都の節分の伝統行事。おもに芸子や舞子が普段と異なる姿に仮装してお座敷に出る。また、仮装姿のままで社寺参拝を行う。現在も「節分おばけ」として、やや様子を変えて行われている。
・身八ツ口、振り
女性の着物のわきと、袖の身頃側に空いたスリット。
・賽の河原
死んだ子供が石を積む冥土の河原のことだが、本編で言及されるのは、神奈川県の箱根町元箱根にある史跡。多数の仏塔や石仏が並ぶ地蔵信仰の霊地で、明治時代には廃仏毀釈運動のために、すでにかなりの部分が破壊されていた。
・鳥刺し
小鳥を捕まえる猟師。さおの先端にトリモチをつけた道具で愛玩用の鳥を狙い、トリモチにくっつけて捕獲する。作中では、弱い女を金の力で囲い者にする老人がこれにたとえられる。
・十五節後半で登場する、三千歳、岸勇姉妹の姿は、雑誌掲載時の鏑木清方による口絵に描かれている(「鏑木清方 楊柳歌」で検索)。
・小姓
貴人の家や寺などで、主人の身近な雑用を務める役。多くは少年を用い、男色の対象にもなった(日本国語大辞典)。稚児とも呼ばれる。
江戸前期までは、元服前の小姓は振袖を着る風俗があった(つまり女装をして生活をしていた)。
作中で語られる明暦の大火、俗に言う振袖火事には、お菊という少女が美しい小姓に恋こがれて、その情念が振袖に移って火もとになったという伝説がある。この話は仮名草紙や講談などで繰り返し語られている。
また、清水坂で出会う三千歳は、この小姓の仮装をしている(つまり彼女は、女装の男子に扮装している)。
・立女形
歌舞伎(あるいは新派)の芝居で女性を演じる男の俳優を女形というが、一座のなかでも最も位の高い女形を立女形という。
ちなみに「女形」だけでは「おやま」とは読まない。立女形や若女形など、接頭語と結びついた場合のみ、おやまと訓ずるのが本則。
【後半十五節以降に登場する土地・施設の位置関係】
真葛ヶ原(現・円山公園)
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↑
東南東
音羽山(地理上の清水山)
□阿弥陀堂
清 □音羽の瀧
______
| 本堂 | 清水の舞台
水 | ___|_ _|
|| 回廊
||
寺 □経堂 □手水鉢
□西門
_____□ □仁王門_____
||石段
||清
||水
||坂
産寧坂======||
(三年坂) || ↖
|| ↖
|| 五条坂
↓
松原通
↓
――鴨川――――――→