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異世界召喚された私は姫様の影武者として生かされ、そして復讐を誓う【16-3】

戦争に王国は負けた。

中央突破に失敗して全員王族は捕らえられたと聞かされていたけれど、

あの独善的でやたらとプライドだけが高かった王族達が、

大人しく判決を聞き入れるのだろうかと。

受け入れるしかないのだけれどまだ逆転の一手を考えていて、

この場で暴れるんじゃないだろうかって。

けれどそれを思っている暇はなかったのだ。

定例会議から始まると今回の戦争の功労者が次々と表彰されていく。

今回の帝国が得た物は極めて少ない。

けれど受勲していく人々は多くて、皆とても誇らしい顔をしていた。

勿論第3皇子の近衛として付き従っていた者達も受勲していて、

私の護衛として傍にいる事が叶わなかった女性の護衛騎士も、

戦地に赴いて活躍していたみたいだった。

第3皇子妃の護衛として主を守る為という理由でその士気は高く、

第3皇子の指揮の下、圧倒的な強さで王国軍の精鋭をすり潰したと、

報告されてはいた。

皆が皆、受勲を受けた後に私の前で跪いて深く一礼をして、


「後日正式な報告をさせて頂きます」


と笑顔で話しかけてから、列に戻るのだ。

それは直営の帝室の人を主に仰ぐ騎士の特権であり、

名誉ある事なのだと皇子耳元で囁かれた。

それから皇子に促されて返答をしたのだ。


「楽しみにしています」

「っ!はい!」


私のその返事に騎士達は嬉しそうにな皆を流しなら列に戻って行く。

私のその返事に皇子も頷いてくれて、また小声で説明してくれた。

「「冒険者」達と同じだ。主に成功の報告を自分でする権利は、

主に認められた事と同じ。勲章を授与されるのと同じ意味を持つ」

「そんな大切な事なら、私が軽々しく決めてよかったのですか?」

「お前が「報告を受けたい」と思った事が重要なのだ。

お前の騎士達への返答は、間違ってなどいない」

「はい…」


いまだ私は自分の立ち位置の凄さに、理解が追い付いていない部分が、

まだまだあるのだと考えてしまっていた。

その中には、私の侍女達も勿論受勲する事になっていたみたいで。

勿論皇帝陛下から、直々に勲章を戴いていたのだった。

功績としては「私を呪いから命がけで守り抜いた」という事だった。

戦地に行かないでも、私を支え続けた功績は帝国にとって表彰されるほどの、

大きな功績と認めているみたいで、戦地へと赴いた兵士達よりも、

大きな勲章を撓まっていた。

その事でちょっと文句も出るんじゃないのかなとも思っていたのだけれど、

隣にいる第3皇子がまた私の耳元で囁くのだ。


「勲章の種類と貢献の具合が違うから問題ない。

それに彼女達の献身が無ければ、お前の命は無かったと考えれば、

その功績は限りなく大きい。

何せお前が死んでいたら俺が怒り狂う」


…そうだった。

皇太子妃様に言われた事を忘れていた。

―私達は死なないのではなく死ねないのです―

帝国の繁栄の為には、優秀な皇子達が憂いなく過ごせる必要があって…

その憂いを無くしてしまった「皇帝陛下」は狂ってデストピアを作ったのだ。

第3皇子が「狂って」しまったら帝国は色々な意味で荒れる。

それを防いだ事になったのだ。

その功績の大きさを「理解」出来てしまっている上層部は、

私を支えた功績を称えないではいられないのかもしれない。

皇帝陛下にしても皇后様の周りに頼もしい人がいてくれたら、

事態が変わっていたと思えば、その功績を称えようともするのかもしれない。


受勲が終われば、今回の戦争の結果による体制の変化の報告を行って、

帝国内部の昇進と組織の改編は終わった。

けれど、私にとってはここからが本番だった。

皇帝陛下の側近がまた宣言する。


「これを持って、

この度の王国との戦争の結果を反映した表彰は終了とする…

皇帝陛下、宜しいでしょうか?」

「うむ…」

「皇帝陛下、予定は滞りなく行われました」

「うむ」


その流れはあの戦争を始めた時と同じ形を取っていたのだった。

通常の予定は終わったのだけど、これからまた号令がかかる事は、

解っていた。


「本日で帝国対王国に関する事、全てにワシは、

決着を付けたいと思っているのだ。

何度も式典会場に第3皇子妃に参加させるのには、

ちと無理がありそうだからの」


その口調は穏やかでとても落ち着いて聞こえてくるのだ。

私の方を確認すると、ニコリと笑って下さったのだ。

けれど、直ぐに緊張した面持ちにお戻りになられて会話が続くのだ。


「さて「あの日」ワシが宣言した様に、

ワシの可愛い娘に「呪い」を掛け続けていた本人を連れてこい」


その宣言で、会場に入る扉が開かれると、

王国の王妃を先頭に、国王、そして王太子・王太子妃と続き、

最後尾に第2王子と、第3王子が魔封じの呪いを掛けられて、

後ろ手に手錠を掛けられて、首輪で繋がれて入城してきたのだ。

一国の国王と王妃として相応しい美しくし整えられた衣装こそ、

纏っているけれど全員が全員、目の下に大きな隈を作りながら、

とても疲れ果てていた表情を浮かべていた。

少なくとも、纏わされたその衣装とは裏腹に国王の歩みは可笑しなくらい。

ふらふらだったのだ。

2列になって歩かされた彼等は、一人に付き斜め後ろと真横から、

首元に剣を突き付けられ、その剣先は既に首に当てられ続けていて、

いつでも「殺せる」ようにされていたのだった。

仮に一人を殺せても、二人目を殺す間にその首に剣は突き立てられる。

そんな状態だから、さして遠くない扉から、皇帝陛下の前に来るまでの、

歩みも息苦しくなるほどに遅いのだった。

更に言うのであれば…


「い、いやだ、ゆゆるしてくれ…」

「ご、後生だ。た、頼む、頼むから…」

「辞めてくれ、まだ、まだ俺は…」

「嘘だ、こんな事は、ありえない。ありえて良いはずがない」

呟くようにしながら、剣を突き付ける兵士にこの行軍を辞めさせるように、

呟き続けているみたいだった。

国王と王子達は必死に歩みをゆっくりにして、

現実を受け入れないと言わんばかりに、ジリジリとしか動かなかった。

王妃はずっと俯いたままで、決して前を見ようとはしない。

フルフルと首を横に振って、「違う違う」とだけ呟き続けているみたいだった。

王太子妃は「いやぁ…いやぁ…」とつぶやき続けている。

全員が全員最後の最後まで判決を下されるのを一秒でも遅くしようと、

歩みを遅くしようとしていたのだった。

あれほど、私を使い捨てにして、


「王国に命を捧げさせてやる光栄を受け入れろ」


と言っていた連中が、自身がその王国の最後の為に命を捧げさせて貰えるのに、

栄光を受け入れないなんて、帝国の中心にまで着て、

まだ生き汚く足掻こうとするなんて、信じられなかった。

高貴なる者の務めを果たせばいいのに。

果たさせてもらえるのに。

皇帝陛下は、ちゃんと「帝国の式典」という場所で、栄誉ある裁きを、

下してくれるのに、どうしてあんなに嫌がっているのか?

私には、理解出来なかった。

と言うより、理解してやりたくなかったと言った方が正しいのかもしれない。

ただ、これが身の丈以上の実力があると信じた奴らの最後の抵抗なのかなと、

奴等の怯えようを見ていたら思ってしまったのだった。




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