異世界召喚された私は姫様の影武者として生かされ、そして復讐を誓う【16-2】
順調な回復を見せてくれる私の体だったけれど、
戦後3カ月もたてば、いい加減、王国の王族の処断を決定しなければ、
いけない時期に来ていた。
もちろん王国亡き後、王国の暫定統治は始まっている。
厳正な審議を重ねた結果、王国の亡き後の土地は帝国の若者達による、
統治の練習場となる事が決まったらしい。
既に王国の王族に統治権は取り上げられ、帝国にその全てを献上させた後で、
王国の国民を使って、帝国から派遣された新人統治者が、
どういう事をやったら国が乱れるのかを実際に「体験」しながら学習する、
大規模な「実験場」となる事は決まったらしく、
今後は国を5分割して、その国に統治者として帝国の若い文官と武官を置いて、
貴族達を指揮官にして「戦争」をさせ合う事にしたとの事だった。
「実戦で鍛えるのが一番効率が良いのだ」
皇帝陛下も納得された様子で、
言い換えれば帝国の為の巨大な「国家運営シミュレーション場」兼、
「バトルフィールド」とされてしまったみたいだった。
小規模な世界を作り出して、実際にその土地を若い文官と武官達が統治する。
もちろん統治個所の中心は帝国から派遣された「本物の兵士がフル装備」で、
常駐するから王国の兵士達は逆らえない。
そんな状態で派遣された文官が領主に指示を出して王国国民を統治するのだ。
全て帝国から派遣された文官と武官の指示に従う「呪い」をかけて。
傀儡となった貴族を「王」に見立てて、
1年間かけて統治の仕方を学びながら戦争を仕掛ける。
貴族が実際に命を失うまで続けられる帝国による代理戦争?
それ以上は聞かなかったけれど、
敗戦国の国民としては悲惨極まりない事になるだけでは済まされず、
所謂ゲームの駒として生かされる事になったと言う事なのでしょうね。
外交で解決すると言う手段は奪われて、戦って勝つか死ぬかの選択肢しかない。
「デストピア」と「戦争ゲームの駒」どちらが良いのか私には解らないけれど、
どっちだったとしても、碌な目には合わないでしょう。
けれど、意気揚々と帝国に対する戦争準備をしていた王国の国民には、
相応しい末路にも見えるのだ。
だって、王国は戦争がしたかったのでしょう?
だったら帝国に迷惑をかけない「楽しい戦争」を自分達だけで続ければいい。
毎年戦争が出来る様にしてくれるだなんて、皇帝陛下はとっても優しいと思う。
素敵な日々をきっと王国国民は過ごせるんだろうなぁ。
王国の今後の利用の仕方と、王族の処罰は全くの別物。
王国と切り離された王族は今は別に処罰を告げられるのを待っている状態だった。
もちろん帝国として、王族をしっかり「おもてなし」している様で、
王族たちは毎日楽しい日々を送っている時かされた。
まぁ、既に関係のない人達なのだ。
勝手に過ごしていてほしい。
リハビリが進んで自分で座っている様になれたら、
次は自分で立ってと体の回復を実感できる様になって来た頃、
私は特別に用意された一段と固くて苦しい矯正具が特別に用意されたのだった。
それはそろそろ王国との決着を付ける為に用意された物だったのだ。
まだ私は自分で立つ事は叶わない上にもちろんまともに動けない。
けれど、皇帝陛下たっての願いと言うか、
王国の王族への処罰には参加するべきという事で特別に用意された式典。
皇帝陛下が王国の王族に対してこの度の戦争に関しての賠償と責任を取らせる、
公開判決を行う所は、参加するべきという事で、
私の回復を待ってこの公開判決は行われる事になっていたのだった。
王国へ戦争を仕掛けた原因と言っては何だけれど、
当事者として私はその判決を聞く義務がある。
それは帝国へ嫁いて帝室に入った妃の義務でもある。
終戦から既に3カ月以上が過ぎていた。
とは言っても、無茶をして自分の体を囮に使った代償は大きくて、
まともに動けるようになったのは、つい先日。
それでもこれ以上期日を伸ばす訳にもいかないと帝国側も考えたみたいで、
ギリギリのタイミングで式典の開催と相成った訳なのである。
もう、どんな判決が出るかは決まっていて「皆」配置に付いているのだ。
けれど皇帝陛下から号令が掛からないから動けないだけになっている。
王族の処断の場には私は必要だから、引き延ばせるだけ引き延ばすと言うのが、
帝室の管理者の考えらしくって、なんとか私を人前に出しても大丈夫になる迄、
回復を待って矯正具で更に私が楽に立っていられる様に見える、
補強する装具を身に着けさせて参加させられる状態にまで帝国は処断を遅らせた。
私には王国の最後を見届ける必要があったのだ。
帝室に係る人間は理解しているけれど、私は王国から嫁いだ事になっている。
だから、少なからず疑念を抱かれているとも言えなくはなかった。
私の心情はともかく「王国から嫁いだ事」だけを見れば王国の家族には、
まだ情があって皇帝陛下に「ご慈悲」を乞う事が私には「許される」のだ。
だからこの式典への参加には、私の立ち位置が「王国の黒薔薇姫」ではなくて、
「帝国の第3皇子妃」であり「帝国の白薔薇姫」であることを周知する意味も、
ありそうだったのだ。
それに戦争の開始の理由は「皇帝陛下の愛娘を呪い殺そうとした国への報復」なのだ。
当事者の「愛娘」として参加しない方が可笑しいとすら言えるし、
戦争の結果を知る事は帝室の一員となった私の義務であり責任である。
と、納得はしている。
けれど、この戦争の根底はもっと根深い所にある。
もとは皇后さまと、同じ境遇に立たされた、
私を思って皇帝陛下が迅速に動いた事から物事が広がっていったのだから。
私の準備は侍女達の手によって順調に続けられていった。
矯正具の上から取り付ける私の体を固定して支える為の物は、
背骨に合わせて作られた太腿とお腹。それから胸と首を繋ぐ、
いわゆる固定具のような物で、力を入れて立っていられない私の代わりに、
美しいポーズを取らせてくれる便利?な物だった。
弱って自分を支えきれない私の筋肉の代わりをしてくれる物で、けれど、
極力薄く作り込まれた物は重たいけれど私をしっかりと支える物だった。
私の持つ少しの力でも体は動いてくれて極端な話力を抜いても、
ガクンと倒れないようしてくれる。長時間立っていられない今の私には、
絶対に必要な物だったのだ。
それを身に着けた上から前回の式典に参加した襟の高いドレスを、
身に着ける事になっったのだけれど、
そのドレスは今の私の髪の色に合わせて白を中心とした、
温かいイメージを与えてくれる、淡い色で統一された物が用意されていた。
それは、「王国」にいた時の私の身に着ける物とは別のイメージ。
「帝国の白薔薇姫」のイメージを体現した形を取らされていたのだ。
言い換えれば、私は既に「帝国人」なのたと周囲に、
無言で宣言して言っている様なものだったのだ。
実際「呪い」さえなければ私は「王国」を忘れて、第3皇子の為だけに、
生きていたと思う。
けれど、「王国」の王族は私を利用する事を最後まで辞めないで、
戦争を有利に進める為に最後まで解放してくれなかった。
式典用に新調されたドレスは帝国で私の立ち位置を周囲に教える、
絶好の機会となるべくより一層、第3皇子の色をふんだんに使って、
用意された装身具は統一されていたのだった。
久しぶりに着せられた式典用の重たいドレスは、
今の私にはまだ辛い物であったけれどそれ以上に皇子と合わせて作られた、
デザインを統一されたドレスは、皇子の隣にいるべき存在と、
無言で表現してくれる。
何時もの第3皇子に持って支えて貰うバスクを身に着ければ、
私は普通の健康な人に見える形を取らせて貰えた。
そのまま会場に連れて行かれれば背中に手を回して貰うか、
前回の様にアイスクリーム台に胸とお腹辺りをベルトで固定してもらえば、
今回も立ち続けられる形はとれた。
追加で身に着けた固定具がある分、前回よりも明らかに体は楽で、
ベルトを隠すためのマントやケープも一段と柔らかい物に変えられて、
私を包み込んでいた。
私はまた妃達が立つ場所にあるアイスクリーム台に固定されたのだけれど、
なんだか実感のわかない現実に浸っていた。




