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異世界召喚された私は姫様の影武者として生かされ、そして復讐を誓う【13】

戦争は終わった。

手術が終わった私に告げられたのは、もちろん4度目の手術が終わった後だった。

王国は?王族の捕獲はどうなったのかと気になる所ではあったが、

それ以上に、その報告を告げでくれた人が私には嬉しかった。


「お喜び下さいませ。皇子妃様!」


報告を持って来てくれたのはあの姿はが見えなく立っていた私の侍女だった。

その元気そうな彼女を見て私はホッとした。

私に報告をする前に寝かされたベッドの上で私が小さく零した独り言…

「よかった…」

何が良かったかなんで言うまでもない。

遠い戦争の事を気になっている事を嘘とは言わないけれど、

それ以上にまたいつもの侍女の姿を見られる事は純粋に嬉しかったのだ。

他の侍女達に戻ってくると言われても、信じていなかった訳じゃないけれど、

それでも、実際に彼女の姿を見るまで最悪の事だって考えてしまっていた。

彼女に私の呟きが聞こえてしまったのか…

報告を中断して深々と頭を下げるのた。


「ご心配をおかけしまして申し訳ありません。

ですが、今日より、皇子妃様の下にまた戻ります」


その言葉だけを聞いて私は一つ「この世界」での私の日常が、

戻った気がして来て嬉しかったのだ。

けれど…

「坑道のカナリア」になった事は私の考えていた以上に、

私の体を傷つけていたみたいだった。

擦れた声しか話す事が出来ず、

それ以上呼吸を普通にしているだけで苦しいのだ…

嬉しさと共に襲ってくる弱りすぎた体に情けなさと言うより、

本当に体を戻せるのかも不安になってくる。

そして勝利の報告を聞いた私は。

それだけを聞いて、瞼を閉じてしまったのだった。


「皇子妃様!皇子妃様!」


叫ぶような侍女達の声が聞こえるのだけれど…

もう眠たすぎて起きている事が出来なかったのだった。

ひとつの山を越えて戦争の勝利と王族の全員捕縛が成功したって事は、

もうこれ以上私に降りかかる呪いは無くなったって事も、

体が悪化して毒袋が膨らまないで済むって事で…

もうこれ以上呪いに苦しむ事は無いと理解出来か事が、

命の危機から脱したと思った私はそれで緊張の糸も切れたのかもしれない。

呪いを引き受けていた侍女がまた元気な姿を見せてくれたことも、

私が気を緩める大きな要因だったのかもしれない。

戦争の終わりの一報が届いたとしても私の生活が劇的に変わる訳では無い。

けれど、場の雰囲気は明らかに緩んだのだった…

空間が温かくなったとでも言えば良いのだろうか。

周りの侍女達も不要な緊張感はなくなり、

皆穏やかな表情を見せる様になったのだ。

戦争に勝った事。

王国の王族を全員捕まえて今帝都に移送中だという事だけを教えられて、

「戦後処理」における、王国の「王族の責任」に関する決め事…

つまる所どう「処分」するのかを決定するのは帝都で行う事にしたらしかった。

もちろん王国が崩壊して無法地帯になるのか帝国の傘下になるのかは、

帝国にとって「どうでも良い事」なのである。

王国が隣接していた隣国や共和国だって数ヵ国ある訳だから、

その領地を抑えて、関税を取る事も考えない訳じゃなかったのだ。

けれど帝国にとって「王国」の領地はあまりうまみの無い地方の出来事なのだ。

王国があった場所は確かにその地方では交通の要所として重要な場所なのだが、

帝国の治める全体の土地と比べれば、無いのと同じで無くたって構わない。

「うまみ」のある場所でもない。

数十年かけて資金を投入して町を発展させれば、

奪い取るに値する場所となるかも知れない規模には、

成長出来そうではあったが、

今無理して確保しなくてはいけない場所ではなかったのだ。

隣国といざこざを起こし続けていた王国は帝国の町並み発展できず。

帝国に黒薔薇姫を差し出して周辺国といっしょに仮想敵国を、

帝国として、作り出して余裕が出来た防衛費を、

全て帝国侵攻の準備資金にしていたのだ。

帝国のある地方と比べたら発展が著しく遅れる形となっていた、

王国のある地方は帝国にとって本当に必要の無い土地だったのである。

それでも王国に隣接する国の情報を手にする事が出来るから友好関係だけは、

結んでいたのだ。

それを王国は帝国は怯んだと考えていたのだから何とも言えない。

複雑な利害関係を抱え込む事になる面倒な土地を抑えた所で、

見込まれる吸入は帝国にとって「お小遣い」程度の場所なのだ。

それでも黒薔薇姫をもらい受ける事を決めたから、

支援はするつもりではあった。

黒薔薇姫の為に。

けれど、支援なんてもうありえない。

王国は帝国の完全な敵とみなされてしまったのだから。


帝国の皇帝陛下にとっては、

「王国の全て」と「第3皇子妃・黒薔薇姫」を天秤に乗せたら、

黒薔薇姫の方に傾くのだ。

未来の帝国を支える第3皇子の妃の命は「王国の全て」なんかより、

重たいのだ。

もしも、その「黒薔薇姫」から…

私からご慈悲を与えてほしいとでも言葉があれば、

王国の運命も良い方向に変わったかもしれない。

けれど、そんな事はありえないのだ。


このまま放置すれば王国のある場所は隣国に攻め入られるだけなら、

まだ良い状態であって国と言う纏まり無くなれば、

その土地は隣国のいざこざを「解決」する為の、

バトルフィールドとなる結末も見えてくるのだ。

まとまりを失ったまだ生き残った貴族には隣国から武器が支給されて、

別の貴族の土地を切り取りに行くと言う内戦が勃発し、

また別の貴族も他の国から支援だけして貰って、

今の王国の国土を使った代理戦争をし続ける事になるのだ。

王国の貴族達は隣国に吸収合併を求めるだろうが、税収が落ちるだけ落ち続ける、

不毛の貴族領なんて隣国は欲しない。

支援だけを求め続ける事になるのが目に見えている貴族を吸収してやろうなんて、

考える隣国はいないのだ。

だから、武器と最低限の食糧だけ売りつけて、

王国内で戦い続けるのを周辺国は高みの見物をする事になる。

戦争が中盤に差し掛かる辺りから、帝国市民は帝国に避難してしまっているし、

もう隣国の商人達だって同じ。

だからいまの王国には王国以外に行く所のない人々しか残っていない。

領土欲の強い隣国は帝国軍が王都から去ってしまったら、

侵攻してくるのを跳ねのける戦力も王国にはない状態まで追いこまれている。


どう料理されるのかを待つだけの王国。

その王国を統治してきた王族を帝国がどう「処置」するかによって、

王国の未来は決まる事になるのだ。


けれどそんな事は「帝国」はもより「皇帝陛下」にはなんら関係のない事。

散々暴れ回り、王国国土のほとんどを不毛の地とする戦略を取ったのは、

言うまでもなく皇后様の事があったからに他ならない。

力があっても救えなかったと言う後悔と「同じ王族」と言う肩書を持つ、

奴等に皇后様を殺されたと言う現実は何時までだって、

皇帝陛下の後悔としてのこりつづけているのだから。

故に自身で侵攻作戦にも加わって戦力の一人とカウントされる事も許容する。

王族の逃走を見逃す訳もなく捕らえ挙げれば次にする事は簡単な事だった。

王都の王城で王族を縛り上げて王国内で処罰をするなんて、

皇帝陛下自身が考えていないのだ。

そんな王族として「栄誉」ある死に場所なんて与えるつもりなんて全くない。

王城について占領を完了した皇帝陛下が行った指示はただ一つ。

第3皇子妃の呪いの起点となった「物」と「人物」と呪いを掛けた「場所」を、

確定する事だったのだから。

王城は荒らされまくった。

人が住む事が出来ないほどに荒らして壊し尽される事になるのである。

貴重な蔵書と貴金属や宝石は全て帝国へと輸送され、

もぬけの殻となるまで帝国の探索は終わる事は無かったのだった。


王城の陥落後、すぐさま王妃の部屋から私の呪いの起点となっていた、

―折れたナイフ―

が、見つかったのだ。

禍々しいほどどす黒い呪いを纏ったそのナイフを見つけられた時、

王妃は


「な、何かの間違いです!自分の愛している可愛い娘を私がっ!

私が呪い殺そうとなんて考えるはずがないでしょう!」


なんて必死に弁明していたらしいのだ。

けれど…

皇帝陛下直轄の魔道部隊に迅速な「処置」を施される事になったのだった。

玉座がある広間で他の王族も見ている前で「答え合わせ」が行われたのだった。

その場で呪いを掛け続けていた人物が、

誰であるかの「確認」も行われたみたいだった。

確認は、とっても簡単な事で呪いの「起点」となった「物」を所持していても、

何も問題がない事を確認されるのだ。

高度で精密な呪いを掛ける場合その術を発動する事が出来るのは、

本人だけなのと同時に精密な「魔法」だから他者が所持していると、

その呪いの形が崩れる事になるのだ。

それは言い換えれば呪いを仕掛けた人物はその「起点」となった物を、

肌に離さず持ち続ける事が出来るって事と同時に、「呪いの起点となった物」

は、呪いを掛けた本人の一部となっている。

でないと自分が呪われてしまうからね。

だから単純にそのナイフは術者本人を傷つける事ができない。

なら話は簡単で術者の体の一部となっている「物」に苦痛を与えればいい。

そのナイフに雷の魔法を施してやれば…


「あがっぁぁあああぁぁぁぁああぁぁああ」


王妃はその場での大声を上げながら、苦しみ始めたのだ。

それはもう盛大に。

国王と王子に王太子妃それに第2第3王子にまで見られて、

そのナイフにしか、雷の魔法を掛けていないのに、

離れている王妃が苦しみまくる姿を見て、

王族全員がその風景に目を背けたのだった。


その場でのたうち回り続ける王妃は


「助けて!あがががっ!違う!私じゃないグゲゲゲゲぇ…」


口から泡を吐き気絶しそうになりながら明確に呪いとして繋がった物を、

突き付けられても、そのプライドが邪魔をするのか、絶対に王妃は、

呪いを認めようとはしなかったのだ。

それに合わせる様に国王も、愉快な言い訳をするのだ。


「こ、これは陰謀だ!陰謀なのだ!皇帝!考え直してくれ!」

「わ、わたくし達は嵌められたのです!」

「そうです!きっと隣国の陰謀があって!」


必死の弁明に皇帝陛下はウンウンと優しく頷いて答えたらしい。


「そうだのう。

娘を呪い殺そうとする親はいないの。

だから娘ではない娘なら、呪い殺しても胸は痛まないの」


その言葉に王族全員が凍り付いたのだった。

だって、影武者を代わりに送った事を、

皇帝陛下に気付かれていたって事なのだから。

ばつの悪そうな表情を隠しきれない王族全員。

解っていて生贄として放り出したのだから、何も言えなくなる。

けれど皇帝陛下はその状態に何も言い訳をさせず話し続けたらしい。


「帝国は間違いなく「黒薔薇姫」を貰い受けた。

その娘は第3皇子妃となったワシの可愛い娘でのぉ。

第3皇子も溺愛する愛らしい姫なのだよ…

今、帝都で呪いと戦っている姫がワシの娘なのだ。

隣国で楽しく騎士と暮らしている、

黒薔薇姫にそっくりな「偽物」がいるみたいだがの?

その偽物が、なにを言っても「本物」にはもうなれんよ」


全てを知っているぞと、言われた王国の王族は、もう何も言えなかったのだ。

その言葉を宣言した皇帝陛下の姿はとても凛々しくてカッコよかったと、

追加報告に来てくれた女騎士は力説してくれたのだった。

王国の王都で王族を全員戦犯者として馬車に乗せて王都内を走り回らせたらしい。

それからも毎日ランダムで人を選んでローテーションしながら数週間かけて、

連れ回して王族に恨みつらみを貯めた後、王族に迫ったそうだ。

このまま王都に残るか帝国で処罰されるかを。

王妃だけは帝国行きが決定していて、

その他の王族に対してだけ選択肢が与えられた訳だが、

国王以下全員、王都に残ると言う選択肢はもう無くて、

そのまま帝都に犯罪者として護送される事になったらしかった。

犯罪者に相応しい姿で、王都を出発した事だけは知らされた。


それを聞かされた時、私は「嬉しさ」が込み上げてきたのだった。

いや、一つの国を再起不能にまで追い込んだのに、

沢山の人が死んだと思うのに、そんな事はどうでも良くって…

ただひたすらに「ざまぁみろ」としか思えなかった。

けれど、そんあ私を侍女がぎゅっと抱きしめてくるのだ。


「皇子妃様、終わったんですよ」

「貴女は幸せなる為にここにいるのですよ」

「第3皇子に愛されて下さいませ…」


解っている。

何もかも。

第3皇子が私を愛してくれている事に気付いている。

それでも、幸せになる事よりも私の心を満たしていたのは、

王国にいる王族に復讐する事だったと、気付いてしまった私は…


ニコニコと、満面の笑みを浮かべながら涙を流していたのだ。

心が可笑しくなっていたのだと思う。

その事を理解してくれる侍女達は私を抱きしめ続けてくれたのだ。


「本来であれば、第3皇子がするべき事ですが…

私で我慢してくださいませ…」

「が、我慢なんて…」

「…そうですね。

ですが、よく耐えました。

後は幸せになるだけですよ…」

「あ、あぁぁぁああぁぁっぁあぁぁ…」


私はこの日、この世界に来て初めて「解放された」と思えたのかもしれない。

やっと、王国の呪縛から解放されて、帝国の人間として生きる「権利」を、

得た様な気がしたのだった。


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