異世界召喚された私は姫様の影武者として生かされ、そして復讐を誓う【12-2】
それから目を覚ました時、彼女は…
侍女は私の前から消えたのだ。
残った2人の侍女に尋ねてみれば。
「ご安心下さい。彼女は体調を崩してちょっとお休みしているだけです」
「少々なれない場所でのお世話なので、ちょっと疲れが出ただけなのです」
「数日中に復帰いたします」
…本当に?
その言葉を信じる事が出来ると思ってはいないと思う。
「大丈夫です。第3皇子妃様のお傍に彼女は必ず戻ってきます」
「信じてあげて下さいませ」
解りましたとしか、もう私が言える言葉は残っていなかったのだ。
同時にその日から私のお世話係の数が4人に増やされた。
いつもの侍女2人と、皇帝陛下の下から送り込まれた新たな侍女達だった。
一つの身の回りの変化を感じつつ…
それでも。
私はいつも通りの予定通りのスケジュールをこなしていくのだった。
同時に戦争の経過説明をする侍女は皇帝陛下の下から、
配属された侍女へと切り替わり戦争の経過を聞いていだけれど…
何時もの様に眠って…
起きたその瞬間…
解ってしまった。
気付いていたのだ。
気付いていて、それで…
また、体が動かなくなっていたのだ。
「皇子妃様…」
「手術は…どうなりましたか?」
「…はい。問題なく行われました…」
「そう、ですか」
「はい…」
3度目の手術を受けさせられていたのだった。
解ってる。
そうなる事が解っていたから侍女は無理にでも2重契約を望んだのだ。
呪いの量が強くなっている。
それは毒袋が大きくなるのが想定よりも早かったのだ。
王国の侵攻が順調に進んでいて…
その結果王都が包囲された状態で王妃が逃げられ無くなれば、
起死回生のチャンスとして、私の「呪い」を強化する事は考えられる事だった。
私が死ねば、少なくとも包囲作戦に参加している第3皇子は、帝都に…
私の下に戻ろうとする。
そのタイミングで王国が玉砕覚悟の最終決戦を挑むこと位、
私にだって予想が付く。
ここからは短いスパンで毒袋が膨らんでいく事になる。
私の最後の踏ん張りをする時が来たという事だった。
「教えてください…
帝国軍の侵攻状況を…」
「今はお休みくださいませ。
まだ術後1日も経っておりませんので…」
「いいえ。私は一刻も早く戦況を知らなければいけません。
王国の王妃は本気で私を呪い殺しに来ているのですから」
最終決戦前に私を何としてでも呪い殺すために、
王妃がどんな呪いを仕掛けてくるのか見当もつかなかった。
けれど、もはやどんな事はどうでも良かったのだ。
これは、
ここからは、
私の命を使った「戦争」なのだ。
帝国の一番「安全な所」にいても逃れる事が出来ない、
私が王国から仕掛けられた私の命を掛けた戦争。
王国は私を殺して第3皇子を撤退に追い込めば、
玉砕覚悟の最終攻撃を行って再起を図るために国内の、
未だ私達の知らない隠し砦の様な所へ王族はきっと逃げる。
その為にも王国は、今は王国民を王都に閉じ込めて籠城戦を行うのだ。
逃げる時に兵士の盾とする為の平民は1名だって多い方が良いのだから。
王国の存続を掛けた必死の逃走と言う訳だ。
けれど、それは、そんな事は、逃げる事を絶対に許さない。
だから…
私は私自身を「坑道のカナリア」とするのだ。
呪いをもう一度受ける事にする。
どのタイミングで王妃が私に殺害を促す強力な呪いを流し込むのか解らない。
けれど次の呪いを流された時が最後だ。
そのタイミングで手術をしてもらい、
私は毒袋の摘出を受けてその呪いから逃げ切る。
同時に伝令を皇子に届けてもらい、
私が亡くなったと言う欺瞞情報を流して貰うのだ。
それで、戦局は動く事になる。
睨み合いを長引かせるなんてさせない。
王国の王族が、しり込みして逃げる事だって許さない。
王妃が私に呪いを掛けたタイミングで、
第3皇子が前線を離れるぞぶりをすれば王国は、
隣国へと逃げるのではなくて国内のまだ残っている貴族領に向かって、
脱出を行うはずなのだ。
隣国で正当な王国の継承権を主張するだけの首輪付きの犬に成り下がる事を、
お王国の王族はきっと良しとしない。
ただ飼い殺しにあうよりか、
国内の軍を持つ有力貴族の下に逃げた方が再起をかけやすいから。
王国はいまだ諦めない。
理解不能な帝国に勝てると思える隠し玉を持っている様に見えて、
悪あがきを続けている様に見えて仕方なかったのだ。
長引かせて、また訳の解らない召喚魔法を使われたりしたらたまらない。
だから、王国領内側に逃げられると思わせて、帝国側に突っ込ませる、
そこで帝国軍が包囲殲滅作戦を実行する事が、
この戦争の最終戦戦争として相応しい。
暴発を促すのがこの戦争を早期に集結する方法だって思わずにはいられなかった。
前線の膠着状態を…
王国の都合の良い突撃なんて絶対にさせない。
そう思いながら私は戦況を聞いて…
そしてその意見を、考えを、皇子に伝える様に求めたのだ。
勿論周囲の侍女達は猛反対だった。
呪いの直撃を受けて私が生きていられるのかなんて解らないから。
それでも私は術後の震える左腕で手紙に自分の名前だけでも書くのだ。
皇子にこの作戦を実行してほしいと。
―貴方が戦場で敵と戦うのであれば私はベッドの上で戦います―
―作戦を実行して王国の王族を必ず捕縛して下さい―
代筆を頼んで…
読めるギリギリの文字で何とかお願いしたのだ。
それから数日後…
第3皇子から、
―それが君の願いなら―
―必ず成功させて見せる―
それだけ書かれた返信を見せて貰ったのだった。
王国はそれから直ぐに暴発した。
暴発して玉砕覚悟の突撃を王国方面に向かって行い始めたのだった。
結末の決まった最終戦争が始まったのだ。
私がその結果を知るのは…
目覚めるのは当分後になるのだった。
4度目の手術。
それは私にギリギリの綱渡り。
生存率の低い命がけの戦いを強いられる事になったのだ。
そしてその後には苦しい術後の生活を強いられる事になったのだった。
それでも。そうだったとしても戦争は終わった。
帝国の思惑通り。
王国の王族を全員生け捕りに出来たのだった。
今年もご愛読ありがとうございました。
お楽しみいただけていたら幸いです。
次回の更新も変わらず明日の20時に更新します。




