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異世界召喚された私は姫様の影武者として生かされ、そして復讐を誓う【11-1】

皇帝陛下の用意した「安全な所」に移ってからの私の一日は変わらない。

変な表現だけれど極力私に変化を感じさせない様に配慮が行われていた。

どいうのも用意された安全な所から、出る事は許されないからでもあるけれど。

日の光は入らず時間でスケジュールをこなす私には、

昼と夜の感覚が薄れて来ていた。

それでも、時間によって壁に掛けられる絵を定期的に交換されて、

疑似的にだけれど表現された窓枠の景色で外を感じる事しか許されない。

まぁ、結局体は動かないからと高をくくっていたのだけれど、

体を元に戻すリハビリは、遅れざるを得なかった。

なにせ、今の私がドレスの上から付けられた鎧を脱ぐことは叶わない。

付け心地も悪ければ、体の動きを考えていない鎧は、

「鎧」と言うより、アクセサリーの様な出来栄えなのだ。

複雑な魔術刻印を内包して、更にその上から刻印が傷つかない様に作られたそれ。

第3皇子殿下に私の容態をリアルタイムで伝え続ける物なのだ。

外したら一瞬にして誤解を招く事になるので所定の時間でないと脱ぐことも、

ままならない。

まぁ、湯あみの時以外に私が鎧を脱ぐ必要はこの「安全な所」に、

いる限りありえないし、ありえてしまった場合大騒ぎになる。

更に脱いでから、再度身に着けるまでの制限時間も決められているのだから、

仕方がない。

時間以内に元の様に鎧を装着した状態にならないと、

それだけで誘拐の可能性なども考慮されてしまうのだから。

私は、予定通りの行動を取る事を望まれているのだった。

流れ込む呪いの量もこの安全な所では少なく出来るのだけれど、

それは「減らす」のではなくて「せき止める」だけになってしまうから。

ある一定値「溜まって」しまうと、結界を突き抜けて私の体に、

思い切りダメージを与える事になる。

これがジクジク痛む体がある日手荒く粗塩を塗り込まれる様な形となったのだ。

気怠い7日間を続けるのではなくて、6日の少しの楽を得た代りに1日ずっと、

粗塩を傷口に塗り込まれる様なサイクルのとなってしまったのが、

ちょっと苦しい生活となってしまった。

なだらかなスロープが、いきなり階段になったみたいな感じだろうか。

1年間かけて緩やかに悪化していた去年の呪いとの戦い方とは違う、

新しい戦い方を耐え方をする事になってしまっていた。

保護具の強さもそれによって調整されて、

歯がゆい日々が更に焦れったく感じられてしまうのだった。

一周間に一回体が悪化していくと解りきったサイクルで生活するのは、

結構体力的によりも精神的に来ることが大きかった。

体を動かすリハビリを再開する事を許可されても、

全体的に貧弱になっていた体では、いきなりの歩行訓練には勿論?耐えられない。

その事がちょっとショックだったのだ。

どうしても去年と比べてしまう。

去年は、安静にしている期間が過ぎれば直ぐにでもリハビリを始められた。

動く事を許してくれたのだ。

ベッド脇に用意された持ち手を掴んで体を持ち上げる…

全身に気怠い感覚こそあったのだけれど、

それでも脇の下に体を預ける歩行用の補助器具さえあれば、

直ぐにでも私は「立って」全身に力を入れる事が許された。

動かそうと力を入れれば体が反応してくれたのだ。

けれど今はそれすら感じられない。

力が入るべき筋肉が抜け落ちてしまっているかのような…

神経の先に動かすべき必要な物がなくなってしまったという事を、

実感せざるをえなかったのだ。

それを理解してしまうと、今年はその段階までも回復出来ていない事を、

自覚せざるをえなくて歯がゆくなってくるのだった。

去年より遅れているって思うと次の手術までに体力を戻し切れるかが、

不安になってくる。

それは確実に去年より難易度の低いリハビリから始める事になってしまったと、

自覚せざるをえなかったのだ。

…まずは「普通の椅子」に一人で座っている事が目標となって、

私は大丈夫。

絶対私の体力は持つ。

体は治っているって思いながら…

必死に椅子に座るだけという訓練を続けるのだ。

ベッドに繋げる形で椅子を用意してもらってベッドの端から、

ほんの少し椅子の上に体をずらして貰うのだ。

体の各所に取り付けられた保護具とドレス。

それから鎧を着る事が前提となっているベッドは、予想以上にふかふかに、

作られているから信じられない位私の体は沈み込む。

その所為か…

ベッドの端に腰を置くと包まれた体は私を支えて楽なのだ。

そこから固い椅子に移動した瞬間、体から包まれた感覚が無くなって、

一気にお腹周りと胸周りが辛くなる。

正に保護具と固いバスクに体が乗る様な形になる。

器に体が満たされているみたいな感覚に襲われると言えばいいのだろうか…

骨で支えているのではなくて人工物の外骨格で体を支えていると、

自覚してしまう。


矯正具と保護具で固めた体で椅子に座り続けるだけなのに…

去年はその位は直ぐに出来てたはずなのに…

今年は出来ない。

できていないっ!

一気に息苦しくなりその自分の重さに耐えられなくなっていた。


「っく…ふぅ…」

「皇子妃様…あまり無理をなさっては…」

「で、でも前回は、このくらい出来ていたんです!」

「お気持ちは解ります。ですが…ですが今日はこれ以上はお止めください」

「…だめ、ですか?」

「はい。お体が赤くなってしまっています。

これ以上は…」

「はい…」


保護具を使ってだけれど、普通の椅子に座って要られた去年とは雲梯の差。

楽に椅子に腰かけていた状態が嘘のような現実。

それが「今」は死ぬほど苦しい。

その事が信じられなかった。

いいえ、信じたくなかったのだ。

だって、ただ「座る」だけなのだ。

背凭れから背中を放して、椅子に腰かけているだけ。

しかも、腰にはコルセットと嵌る台座があって、

矯正具が腰を支えて、胸と首を支えるバスクまでちゃんとつけているのに…

鎧を身に着けている事を差し引いても体をただ真っすぐにして、

バランスを取る事が出来なくなっていた。

リセットされた体の状態を考えながら私は悩むしかなかった。

そして気付きたくなかったけれど気付かなくちゃいけなかった。

そう。

違う意味で私の体は去年より劣化していると。

増えた全身装具を身に着けていなくちゃいけないという事を差し引いても、

体力が落ちている事を差し引いても私は…

体中に痛みを覚えていたのだ。

呼吸がし辛いとかそう言った言い訳はさておき、

痛むのだ体中が、全身から噴き出すのだ汗が…

ただ座っているだけだと言うのに…

楽な姿勢。

寝そべり続けなくてはいけないと言う現実が私の現状だったのだ。

それは手を貸しても貰う事が増えるという事。

3人の侍女達に私は介助されている。

けれどそれだって3人がフルに付きっ切りになって介助される訳じゃなかった。

あくまで起こして貰うにしても一人ずつ3人が代わり代わりに、

私の傍について私の世話をするのだ。

それが更に動けなくなった事で、一人の介助が二人になるって事だった…

そう。

座る事さえ出来れば、お食事は一人で動く左手を使って食べる環境を、

作ってくれていたのだ。

けれど今はそれも許されない。


新しい保護具が運び込まれ、それに頼る生活を余儀なくされるという事だった。

それは私を支えるクレーンが用意されてしまったのだ。

流石にこれ以上、腰まわりやバスクを装着しても体を支えられない。

倒れないようにするには肩の上に付けられた金具で、上から吊り下げられる。

腰とお腹の筋力の衰えから慣れるまで倒れない様にする為の、

バランスを補助する為の物が用意されてしまったのだった。

それがまた精神的にくる…

生きる為。生活するために必要な物が増える事が…

体が更にボロボロになったと嫌でも自覚しなくちゃいけない。


「大丈夫ですよ。ちゃんとお体は回復に向かっていますから」

「ええ!皇子妃様の努力は報われております」


励ましてくれる侍女達の笑顔がまた諦めてはいけないと思わせてくれるのだ。

信じるしかない。

信じて回復しているって思うしかなかったのだ。

毎夜毎夜迎える為に、自分の努力を振り返って…

戻らない体の状態に絶望しそうになりながら眠るのだ。

悲しくて…

そしてその状態なのに。

第3皇子の傍にいられないことが悲しくて仕方がなかった…


次回の更新は明日の20時です。

完結まで毎日更新します。

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