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異世界召喚された私は姫様の影武者として生かされ、そして復讐を誓う【1-2】


「解りました。では直ちに離宮に戻り嫁ぐ準備を致します」

「その必要はない。「黒薔薇姫」の嫁ぐ準備は私達がする。

もちろん可愛い黒薔薇姫の為に素晴らしい花嫁衣裳も準備できている。

後は帝国から迎えが来る日までこの城で待つだけで良い。

最後の親子の語らいをしたいのでな」

「…解りました。国王陛下の仰る通りに致します」

「うむ」


満足そうに頷く国王陛下以下一同の顔を見ながら…

私はその謁見の間を後にする。

もちろん離宮に住まわせて私と顔を合せない様にしていた私を、

帝国の迎えが来るまで城に滞在させるのは私を逃がさないため。

帝国に引き渡すまで城に監禁することくらい想像が出来た。

けれどだからと言って私が出来る事やれることはもうない。

離宮ならまだ可能性があった。

隠していた宝石や道具を持って…

隠し通路を使って逃げ出せる可能性だってあった。

けれど王宮の抜け道なんて知らない。

そしてその抜け道の先に何があるなんて事も解らない。

結局私が考えていた脱出計画も王宮に滞在する事になった瞬間全てが吹き飛んだ。


一年間の努力は吹き飛び私には帝国に連れて行かれるという、

結末だけが残ったのである。


そしてどうせ殺されるのなら…

派手に死んでやろうと考えた。

帰る方法は思いつかず、

進んだ先帝国には処刑台が用意されている。

だったら…

だったらもう全てを巻き込んでそして派手にやらかそう。


自暴自棄になった私が考えたのがそんな事だけだった。


目の前が真っ赤に染まるそんな光景を目に浮かべながら、

私はその地獄の業火で焼かれる王宮の姿を望まずにはいられなかった。


国王陛下率いるロイヤルファミリーは理解していない。

私が嫁いだ先で必死に姫を演じて命を永らえようとすると考えているのだろう。

けれどそんな事をする意味が私にあるの?

元の世界に帰れない。

この一年間の仕打ちを考えれば、

この世界で生きたいとさえ思えないのだ。

それで帝国に行って、王国の為に自分の為と思って戦うと思っているのなら、

おめでたい連中だ。

私一人の命でこの王国を滅ぼせるのなら私の全てを使って滅ぼそう。

それが私の決意であり私の願いとなった瞬間だった。



それから王宮内で用意された一応姫の部屋として相応しい、

部屋を宛がわれた私は専属のメイド3名を宛がわれる。

もちろん私を逃がさない様にする為と私の体を磨き上げる為だ。


毎日の様に湯あみをさせられ体を少しでも磨いていく。

ただそんな事するだけ無駄なのだ。

命を狙われ続けた私の体は刺し傷に切り傷と無数に刃物の後が付いている。

魔法で応急処置的にしか回復させられていなかった。

私は何度も刺された時、大量に出る血を止める為に痛みに堪えながら、

ドレスの上から止血の為に熱い鉄を押し当てた。

その時の傷だって深く残っている。

お腹周辺には綺麗な部分は、ほとんどなく、

ただただ、その生き延びた体をメイド達の晒す事になった。

それを表情も隠そうとせず汚い部分に触りたくないのか、

表情を歪ませながらも仕事として私の体を洗っていく。


「こんな体で嫁ぐなんて。

帝国の王子もおかわいそうに」


アンタらが私の意見を聞かず暗殺者に好き勝手やらせた成果でしょうに。

そう言ってやりたかった。


がもう私はこの王国からいなくなるのだ。

嫌みを言うのも辞めにする。

帝国の迎えが来たのは、それから一カ月後の事だった。

私はもうその頃には何を言われても無反応を貫き通す事にしていた。

先ぶれの馬が到着すると王宮は準備に明け暮れる。

皆が儀礼的に挨拶を私にして私は少しだけ頷く。

その行為に何の意味も感じてはいなかった。

むしろ王妃のお小言。

嫁ぎ先で失礼のない様にと朝から晩まで付きっ切りで教育を施そうとしてくる。

仲良しを演出しようと頑張っていた。

私はその行為を、


「はい」

「そうですね」

「さすがお王妃様のお考えは素敵で」

「その様にしたいと考えています」

「ええ。私は王妃様のお言葉に、心が震えています」

「よく理解出来ました」


等々、私は聞きながし続けた。

素直な私に満足したのか…


「そのね悪いとは思っているのよ。

けれど国の為に我慢してね?」

「はい。そうですね」


私は何も考えずに返事をした。

正直どうでも良いのだ。

ここで私が言う王国の為の肯定の返事なんて、

信じる方が狂っていると思う。


私を迎えに来た馬車が到着する前日となれば、

護衛は倍に増やされた。

最後だし逃げるとでも思われていたのだろう。

けれど私は逃げない。


説得出来たと思っている王妃と、

私に死ねと命令して実の娘を逃がした国王。

そして何も言わない王太子と王太子妃。

目を逸らす第2王子と第3王子。

全員私の敵である。

素晴らしい王国を築くと良いだろう。

1人の小娘と思って送り出したその先で、

私が何をしでかすか…さぁ?


私の恨みを思い知れ。

次回の更新は明日の20時です。

完結まで毎日更新します。

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