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異世界召喚された私は姫様の影武者として生かされ、そして復讐を誓う【8-3】

今日の式典の会場は皇帝陛下の居住エリアにある式典場で、

私と第3皇子の結婚式も開かれたこの城で一番多きな会場だった。

けれど、その式典は2重のパーテーションが設置されて、

いわゆる帝室の人間が入るエリアがあり皇子達と妃達が、

立つ場所が整えられていた。

そのパーテーションの外側に当たる部分には、

何人いるのか解らないほどの騎士達が並んでいる。

彼等は儀礼用の装備として立派な鎧を着ている人もいるけれど、

それ以上に私が気になったのは、「本物の」武装をしているって事だった。

儀礼剣を持っているのは理解できるのだけれど、

それ以外に戦闘用の剣を持っているのだ。

この場にそぐわない武骨な剣。

もちろん人によっては実用的な槍や斧まで持っている様に見えた。

けれど私が気に出来たのはそれだけ。

歩みを止める事はしないで一刻も早く定位置に移動する必要があったのだ。

万が一にも顔を見られる訳にはいかないからね。

会場全体から皇帝陛下の座る場所は高い場所に設けられて、

会場全てからお顔を拝見する事が出来る様になっていた。

もちろんその近くにいる私達の立つ場所にも視線は集中する。

けれど作られていたパーテーションの中にいる妃達の姿は、

決して外からは見えない様になっていた。

もちろん私がその会場のパーテーションに入る時には、

周囲を第3皇子の近衛から選抜された騎士達に護衛をされた上に、

私の近くには大きな盾を持った女性騎士が控える。

彼女達の持つ盾のお陰で一部の要人以外が私の姿を確認する事は、

出来ない様になっていたのだった。

それを考えれば不特定多数に顔を見られない様にする為に、

高い襟付きのドレスを着せられても不思議じゃないなって思えて…

会場の所定の位置には秘密の保護具も設置されていた。

もちろん移動しない以上、皇子と妃は多少離れた位置で立つ。

それは勿論私が第3皇子に支えて貰えなくなくなる事を、

意味しているのだけれどその配慮として私は松葉杖様な物を、

脇の下に入れてバスクを支える形を取る事になったのだ。

ソフトクリームのコーンスタンドを大きくした物のフレームを背中に

宛がわれれば、あとは太いベルトでその腰と胸を固定するだけ。

それでは保護具を付けているのがもろバレになる為に、

ケープを身に着けてそのベルトを隠して、

支えるフレームをマントで見えなくしたのだった。

手術後まだ一カ月程度で呪いの具合と取り出された毒袋を調べて、

保護具の調整をされている私はまだリハビリをやらせてもらえない。

体力的には一番苦しい時期ではあったから普通なら出席しなくても良いと、

言われる所なのだけれど今日の「式典」だけは皇帝陛下の命で出る様にと、

お達しが出ていたのだ。

そんな訳でケープとマントのお陰で病人に見えない姿に仕上げて貰った、

私は第3皇子と一緒に式典の開始を待っていた。

もちろん式典会場への入場には順番がある。

第3皇子・第2皇子・皇太子と続いて、皇帝陛下がお目見えする事になるのだ。

そんな中で私の隣に並んだ第2皇子妃も皇太子妃も私と揃えた様に、

マントとケープを身に着けていたのだった。

それが妃達の普通と表現するように私達の姿は揃えられていた。

もちろんと言っては失礼だけれど足の動かない皇太子妃は私と同じ様な、

秘密の保護具を使っていた。

時間になり皇帝陛下が式典会場にしてくると場は静まり返る。

皇帝陛下の足音だけが鳴り響き皇帝陛下が歩き、

その会場の中心として整えられた玉座に腰かける事になる。

そうすれば一部の例外の人物を除いて皆頭を下げるのだ。

その例外が許されるのは妃だけ。

パーテーションで隠されているから妃達が礼をしなくともバレはしないのと…

妃達の「重たい事情」を知らない人がその姿を見る事は無いし、

誰も妃にケチは付けないから許されているだけなのだけれど。

そして側近が家臣達に使える事。発表する事。表彰することが行われて、

その日も定例の式典の様に順調に進んていく。

けれど…


「皇帝陛下。予定は滞りなく行われました」

「うむ…」


側近のしなければいけない事伝えなければいけない事が終われば、

最後に皇帝陛下が式典の終了を告げで…

皇帝陛下は式典会場を後にする。

それが「普通の予定」なのだけれど…

その日は違った。

ワザワザ私が呼び出されて無理をしてでも出席するようにと伝えられた理由を、

私は知る事になったのだ。


「今日の式典には…

王国から使者が着ている。

ワシの可愛い娘の為に王国には「お願い」をしておったのだ…

その返事が今日聞けるとの事でな…

済まぬがこの王国からの使者との対談をこの場で行いたいのだ」

「皇帝陛下のお望みのままに」

「うむ…」


そう私の知らない所で王国から使者が送られて来ていた。

一応私の「母国」という事になっているのだ。

それは出席しない訳にはいかないだろう。

そうか術後の苦しい時だけけれど王国には「元気」と言わなければいけない。

私が無理して出席する理由は十分にあったって事でしょう。


そしてその会場に入場してくる王国の人間。

1人は王国の使者としての格好をしていて…

けれど私の方を向こうともしない。

まぁ、他国に嫁いだと言っても私は黒薔薇姫であり、

王国にとっては殺したいほど憎い不浄の塊なのだ。

皇帝陛下に媚び諂う様にしながら恭しく頭を下げたのだった。

その後ろには鎖で繋がれた枷を嵌められた男の姿。

一応、王国貴族の礼服を身に纏ってはいるけれどボロボロだった。

そして、口枷が嵌められていて苦しいのか、うーうーと唸り声を上げて、

必死に何かを伝えようとしている。

鎖に繋がれた男は入城してからずっと唸り続けているのだけど。

そんな事は気にせずその使者は話し始めたのだった。


「皇帝陛下におかれましては御機嫌麗しゅうございます。

本日は帝国から戴いた驚愕の事実と、その結果をお伝えしに参りました」

「うむ」

「さ、先の疑惑として伝えられた、我が帝国の第3皇子妃に「ちょっかい」を、

掛けている者が王国内にいるとの事でしたが…

まことに申し訳ありません…

第3皇子妃様に呪いを掛けようとしていた者がおりまして…

王国貴族の一部が暴走していたようです。

第3皇子妃に手を出した不埒な輩は即刻捕まえて処断いたしました。

そしてこの場に、その証拠として捕らえた貴族を連れて来たのです。

どうかこの者をこの場で処断して頂ければ、

もう、第3皇子妃様が憂う事は無くなるでしょう」

「そうか。そうか。

ではその者が死ねば第3皇子妃の憂いは「全て」無くなるのだな?」

「その通りでございます」

「そうか。では試してみるとしようか…」


皇帝陛下の御機嫌と言うのであれば明らかに悪化していた。

クイクイと手でサインを送って皇帝陛下は側近の人に何かの合図を送った。

その合図で皇帝陛下の側近が声を上げる。



「では殿下達は妃達に「処置」をお願いします」



殿下達の動きは素早かった。

私が、え?な何?と思ったのもつかの間。

私の襟の裏側にあった固い生地が引き延ばされると、

私の眼前で重ね合わされて、パチンと何かを嵌めて止めてしまった。

その上から縫い付けられていた生地が翻されて、

私の顔をパサリと覆ってしまったのだ。

突然の事で驚く私だったけれど、

その私に第3皇子殿下が囁き掛けるのだ。


「ここから先、妃は見てはいけない」


そう言われながら襟を中心に頭を覆い隠す生地が垂らされて、

その生地は首元でシュルシュルと何かを結ばれてしまったみたいだった。

その事に驚いて動かせる左腕を使って、顔の生地をずらそうとしたのだけれど、

頭を覆う襟にしっかりと縫い付けられていた生地は厚く「何も」見えない。

翻った生地の下襟に取り付けられていた、何かがくるりと顔の前面に、

宛がわれると、反対側の襟の部分に取り付けられていた、

何かに通されたのかパチンパチンと何かが嵌る音がしたのだ。

その上から胸周りに何かがカパリと押し当てられてまた留め置かれる。

頭頂だけ白い布で作られたその顔を覆う生地は明さこそ感じるのだけれど、

強烈な香り付けがなされているこの生地は顔を覆われた瞬間に、

外の空気が遮断されたためか周囲の匂いさえ解らなくしてしまった。


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