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異世界召喚された私は姫様の影武者として生かされ、そして復讐を誓う【7-2】

それから数日間は、ベッドの上から起き上がれない状態だった。

特にお腹周りのナイフが刺さっていた場所は「かろうじて周囲を残せた」らしい。

呪いの起点は予想通り根深くて、取り除かなければいけない毒袋化している場所が、

あまりにも大きかったらしく、切除する傍らでありったけの回復魔法と、

再生処置を行って毒袋を体から切り離していったらしい。

私が耐える事が出来るギリギリの大きさまで、

お腹の中を削ってしまったとの事だった。

もう少し毒袋が成長していたら取り除けないような塊に固着して、

見つからない様に毒袋が擬態を始めている成長をしていたらしい。

まるで意志を持っているかのように成長して体に潜りこむ最悪の呪い。

見れば見るほどえげつなくて術を行使し続けている奴は、

性格がねじ曲がっているとまで医師と魔法使いに言われるほど、

悪くなりかけていたらしかった。

気が付かなければ私は健康的に過ごす事が出来たけれど、

ある日突然、体内から体が原因不明で壊れ始める所だったと。

呪いは見立て通りの性質のものだったと断定されたのだ。


「呪い自体が擬態してただの腫瘍にしか見えませんから・・・

そう言った意味では第3皇子の愛を注がれて良かったですね。

皇子の愛が危険な異物が体の中に残っている事を教えてくれたのですから」


聞いていて恥ずかしくはなるけれどそこは、ね。うん。


誰にも気づかれず、気付いた時には処置出来ないほど進行していたって事に、

なる前に対処は出来たのだけれど、この呪いを仕掛けた人物は最後の最後まで、

私を帝国に対する生贄にするつもりだったってことなのでしょう。


再構築したお腹は、文字通り今の所、「私」の体ではないらしくて、

何日もかけて体に馴染ませて整えられるって事だった。

思ったよりも大掛かりにお腹を「再構築」してしまったらしく、

一段とキツイ保護具を術後からお腹に巻かれる事になったらしい。

保護具と矯正具は侍女とメイド達の手によって、全て取り扱われて、

私が触る事は許されなかった。

もちろんお腹の中が「壊されたのだから」私は思いっきり、

食事制限を掛けられる事になったのは言うまでもない。

病人用の食事だけれど、専属に着いた魔法使いによる「魔法食」と呼ばれる、

味気ない食事を「お腹」が安定するまで食べ続ける事になった。

それがまた、おかゆの様なすり潰されて混ぜられた「何か」で、

それしか食べさせてもらえない日々が続くのだった。

せめて味にレパートリーを増やしてほしいと思ったのだけれど、

強力な改変魔法と再構築魔法を使って作られたそのおかゆ?は、

味を付けると効果が変わってしまうから付けられたいと言われてしまって。

毎日毎食私に必要な量をしっかりと食べさせられるのだ。

それも結構量が多い上にお腹が矯正具と保護具で絞められているから、

食が思い切り細くなっていた私には、その食事を取ること自体が、

辛い事になってしまっていたのだ。

けれど侍女達は私が食べ終わるまで自分達の食事を取ろうとしない。

私が寝かせられているベッドが設置されている隣の部屋には、

侍女やメイド達の為の多目的スペースがあるのだけれど、

そこに侍女達の食事も運び込まれて来るのだ。

そして交代交代で私の傍にいて一日中誰かが私の傍にいる様に、

ローテーションが組まれているのだけれどそのローテーションを、

ワザと調整しているのか私に圧力を掛けてくるのだ。


「第3皇子妃様がお食べならないのに私達がお食事を戴く訳には参りません」


・・・なんて言って食べてくれないのだ。

少なくとも私に食べさせる侍女は私が食べ終わらないと私の傍から離れない。

私が食べきらずに食事を残すと泣きそうな顔をして、

その日その侍女は私から絶対に離れなくなるのだ。

食事を食べて来てほしいと言っても、休憩していいと言っても絶対に、

離れず「お許しください」と言いながら私のお腹を触り続けるのだ。

他の侍女も休憩が終わり次代私に張り付いて、絶対に私から目を放さない日となる。

次の食事の時間にちゃんと適量を食べるまで彼女達は絶対に安心しないのだ。

心配する理由も解っている。

私が食べる魔法食は、

お腹を再構築した場所を維持するエネルギーを含んているから。

そのエネルギーが足りなくなればお腹がおかしな事になる。

だから食べないと危ないのは私も理解している。

大掛かりな再構築になってしまったから、

その分量も多くなったことも理解してるのだ。

けれどそうだとしても食べられる量には限界はある。

数日間の調整の後は魔法食も私が食べきれる程度の量に減らしても大丈夫と、

容態確認の医師と魔法使いにお墨付きを戴けるまでは、

侍女達は私に適量を食べさせようとあの手この手を使って、

お願いしてくるから辛かった。

無茶苦茶な量を食べる様に言われたのは、ちょとね。大変でね…

でも、結局リハビリを始めるまでは薬的な側面もあるから、

味のないお粥の魔法食は、一カ月は食べさせられ続ける事になってしまっていた。


侍女達の保護具や矯正具の扱いは妙に慎重で、

お腹の状態のチェックの時なんかは体を支えられて私の解らない所で、

留め金が外されるのだ。決してその留め金がどうなっているのか…

どうやって外すのか解らない様にしながら丁寧に保護具や矯正具は管理される。

何日も慎重に術後の経過は観察されてチェックの度に、

保護具がちゃんと機能してるか。

矯正具がちゃんと絞められているかを確認されて過ごす日々は、

ストレスでしかなかった。

矯正具も保護具も、付け御事は悪くないよく考えられていて、

生活には問題ないレベルのしっかりとした物なのだ。


そして、侍女やメイド達が絶対に私に保護具や矯正具の外し方を、

教えなかった理由が解ってしまう…。


術後何日もたったある日の午後だった。

お昼ご飯を食べさせられた私は――――

体の状態の確認を念入りにされたあと、

安楽椅子に乗せられて午後のお昼寝タイムの時間となった。

いわゆる、日向ぼっこなのだが…

ベッドに寝たきりの生活だから変化と言う刺激の為か…

厚いガウンをゆったりと着せられてほとんど寝ている状態にで、

窓際で眠っていたのだ。

いつもその時間は誰もいなくなる。

いや、いなくなるわけじゃないのだけれど、

侍女達も護衛の女性騎士達でさえ、私から見えない位置に移動して…

鏡越しに私を確認する状態になるのだ。

いわゆる見られていない状態を疑似的に作ってくれるのだけれど、

その日は、何の気なしに前で重ね合わされたガウンの間に、

動く左腕の手を入れてしまった。

ザワッとして感じる強烈な違和感…

そして衝動的に襲ってくる強烈な欲求。


固い矯正具を外したい。自分のお腹に触りたい。

その日のお昼寝タイムは、私にとって最悪の時間となったのだった。

今保護具を外す事は出来ないし、

自分の命を守る為に絶対してはいけない事と解っているのに、

左腕が止まらないの。

お腹の矯正具を弄って関係ないって解っている矯正具の飾りのリボンを、

グシグシと引っ張るのだ。これを引っ張ればお腹の矯正具が外れるって、

無意識に思って手が勝手に動きづつけているのだ。

矯正具を外したい外したいって勝手に思って。

体が止まらなかったのだ。

そのお昼寝に当てられて時間、休むことなく左腕は、

関係ない矯正具の飾りの紐を引っ張り続けていたのだ。


もちろんベッドに戻される時に開けたガウンの間を見られる事になって、

引っ張り続けた矯正具の紐が見え隠れする。

何か言われるって思ったのだけれど、たぶん私のこの行動も侍女には、

織り込み済みで、時間になるまで好きにやらせていたって事だったの。

本当に止めなくちゃいけないんなら、きっと直ぐに侍女は来るのだ。


「解っています。苦しくて外したいのですよね?

けれど我慢して装着していて下さいませ。

第3皇子妃様のその行動は体が治ろうとしている証拠なのです。

正しく治すためには苦しくても矯正具は外せません」

「もうしばらくの御辛抱をしてくださいませ」


侍女達のわたしへの願いが続くのだ。

そう保護具の外し方が解ってしまっていたらきっと私は、

体の具合なんて関係なく保護具と矯正具を外してしまう。

そうさせないために私には外し方を教えない様にしていたのだ。

理解ではなくて気持ちで体が動いているって証拠だった。

少しでも状態が良く治る様に侍女やメイド達は私に手間をかける事を、

惜しまないで私を正しく「管理」するって事だった。

そんな無意識の体との格闘がひと段落した頃、

手術から一カ月くらいが経過していた。


お腹が満たされた感覚が戻ってきた私は、

ベッド生活から解放される事になったのだけれど、

それは新しい戦いの幕開けでしかなかった。


起き上がれるようになった私に待っていたのは、

苦しい矯正具を身に着けての生活だったのだ。

寝ていれば大丈夫。

けれど起きて座っている事が難しくなっていたのだ。

お腹の2か所の異物摘出の所為で著しく筋肉を削ぎ落された私は、

どうしてもスッとまっすぐ座る事が出来なくなっていて傾いてしまう。

その体の傾きに耐える力が今の私にはなかったのだ。

けれどそれも織り込み済みで保護具の上から、

おなかの形を整えて上半身を支えるコルセットを絞めて、

ドレスを身に着けると皇帝陛下から届けられた保護具の中にあった、

体前面に当てる固いバスクを身に着けてバランスを取る事となっていた。

スカートの中には私のコルセットが嵌る台座が仕込まれて、

椅子に腰かけるとその台座がコルセットをしっかりと支え、

私が傾くのを阻止するのだ。

そしてその上から身に着けた固いバスクが胸と両脇を支え、

背中側から両肩に乗せた装飾品の宝石、ネックレスとチョーカーに見せた、

保護具を宛がって首を定位置に維持するの。

そして、中途半端に広がったネックレスを隠す様に、

フリルがふんだんに縫い付けられた柔らかそうに見えるけれど、

中に芯の仕込まれた専用のエプロンを取り付けられれば普通のドレスに、

エプロンを付けているだけ。

重ね着して細くなった体は、

エプロンの大量のフリルで誤魔化して痩せた様にも見えない。

病人とはいえない姿になれたのだ…

1人で椅子に腰かけて両手を重ねてずれ落ちそうになる右手を、

膝の上で支える形を取れば私の姿は普通の第3皇子妃だった。

自然と保護具やコルセットとバスクは馴染んで私を楽にしてくれる。

そして第3皇子の隣を歩く時もバスクに仕込まれたベルトを持ってもらえば、

不自由な足なのが嘘のように並んで歩けるのだ。

重度の病人と私が認識できない様にデザインされた事も相まって、

周囲の事情を知らない人々には、健康に見えていると思う。


次回の更新は明日の20時です。

完結まで毎日更新します。

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