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9話目



「うわぁん!」

 汗をかいて風邪をひくといけないので、朝シャンをするまおになんかないように待機していると、アキトさん、お話があるんだが……とケルベロスに話しかけられたような気がした。


「どうしたの? ケルベロス」

「うわぁん! わぁん!」

 魔王様に期待させて違って悲しい思いをさせたくなくて言えなかったのだが、ネコマタの記憶を受け継いだであろう、ネコマタの心当たりがあるのだ……と言っている気がする。

 確かに、明確には悲しいとは言わなそうだけど、顔には悲しいですと書いてありそうだな。まおは表情豊かだから、考えていることがバレバレだからね。


「その子はどこにいるかはわかるの?」

「うわぁん!わぁん!」

 そのネコマタとは、兄弟として育ったのだ。私は育児放棄されてな、偶然見ていたその猫の親に拾われてそのネコマタとであった。彼とは一番馬が合ってな、親離れしてからも一緒に行動していた。その時に住処にしていた魔王様の魔力を、私たちは拾ったのだ。あそこにはなぜか魔王様の魔力が集まっていてそれぞれ二度吸収し、ケルベロスとしての自我が芽生えた。だから、魔王様が言っていたネコマタとは確実に彼ではあると思う。その数日後、あの保護団体に見つかってしまってな。彼とは二手に別れたからどうなったかはわからないが……、捕まっていなければあの山にいるのではないだろうか。それが確実ではないため、魔王様には言えなかったのだ……と言っている気がする。


 うーん、ネコマタであることは確実だけど、いる場所が保護団体か住処にしていた山なのかがわからないから、まおに伝えられなかったのか。


「なら、ケルベロスを保護した団体に聞いてみればいいんじゃない?」

「うわぁん!」

 それをどう聞くんだ!? アキトさん、まさかケルベロスから保護した現場に猫がいたと聞いたというのではないだろうな?! と焦っている。

 まさか。そんなことするわけないじゃない! おかしな人だと思われてしまいますよ。


「ケルベロスが誰かを探しているそぶりを見せるんですが、心当たりはありませんか? って聞くだけだよ。それなら、おかしなことじゃないでしょ? その場に保護猫団体がいたなら、その子のいる保護猫団体がわかるし、いなかったら恐らくその子は住処の山にいるんだってことになるんだから、保護できる可能性が上がるでしょ?」

「うわぁん……」

 それならおかしくはないが……、と腑に落ちていなそうなケルベロス。

 まあ、まおのネコマタとケルベロスが兄弟みたいな存在だったのは、良い情報だ。回収は必要とはいえ、ネコマタとケルベロスの相性が良くないのは二匹が可哀想だからね。まおが朝シャンしているうちに電話をかけてしまおう。


「あ、もしもし。〇〇保護犬団体さんですか? 私、先日ケルベロスのトライアルを終えた者ですが……」

『はい、そうです! な、なにかボスとの関係に問題がありましたでしょうか……?』

 ケルベロス……、出戻りをここまで怖がらせるなんて、ここの保護犬団体さんに対して何をしたんだ……と呆れた視線を向け、うわぁん(な、なにもしてないが……?)としか、返事が返ってこなかった。

 ……なにかしたんだな、こいつ。


「まおとケルベロスの関係は至って良好ですよ。まるで、生まれてからずっと一緒にいましたよ~ばりに馴染んでます。今回は出戻りの相談ではないんです。実はですね、ケルベロスについて気になることがありまして。うちに来てから、ケルベロスが誰かを探しているような素振りを見せるんですね。もしかしたら、ケルベロスは別の子と一緒に行動していたんじゃないかと思って、連絡したんですよ。もし、そうなのであれば、その子もうちの子にと思って、連絡したのですが……、心当たりはありませんか?」

 電波系なことは言ってないよな……。大丈夫だよな……、とひやひやしながら保護犬団体さんの回答を待つ。


『それはよかったです!! えっと、ケルベロスちゃんの保護現場に別の動物がいたかどうかですよね。えっーとぉ、『電話変わる。ケルベロスの現場を担当していた者です。よくお判りになりましたね。確かに、ケルベロスは白いオス猫と行動していました。……ケルベロスが身を挺して、その子を守り、取り逃がしてしまったんですよ。我々も気になってはいましてね、この街の団体さんが保護場所に行くときにその子らしき子を保護したら連絡してもらえるようにしてはいたんですよ。連絡はきていないので、いまだにその子は保護出来ていないと思います。まおくん家で飼っていただけるのであれば、我々の方で探すことも可能ですが、保護することは難しそうなんですよね』

 言っているような気がする……と感じていたことが、本当にケルベロスが言っていたことだと明確になった瞬間だった。本当に、ケルベロスが仲良くしていた、猫が存在していたんだ。

 ……それにしても、どうしてその子を保護することが難しいんだろう?


『今、どうして保護するのが難しいんだろう? と思いましたね? その子は捕獲機を、捕まえるものだと理解しているようで、どんなに餌で誘い出しても食べることだけではなく、捕獲機にすら近づかないんですよ。そんな賢くて、警戒心の高い子を捕まえる術はいまのところありません』

 なるほど、まおのネコマタの記憶が、捕獲機について教えているから、捕まえることを難しくしているのか。なら、場所さえ教えてくれればなんとかなるかもしれないな。ケルベロスもいるし、なんならまおが説得すればいい。


「ケルベロスがいれば、警戒心を解いてくれるかもしれません。保護団体さんがいると、警戒心を持たれてしまうかもしれないので、我々だけで行きます。保護した場所だけ教えてもらえますか? 私有地なら、義兄さんに頼んで持ち主さんに許可をもらうので安心してください」


 はぁ……と息を吐いた音が聞こえた後、

『……わかりました。捕獲機でも保護が難しいなら、傍にいたケルベロスが呼び出すのが一番保護に繋がるか。ケルベロスの成長報告のラインに、保護した場所の地図を送ります。必ず、持ち主に保護する許可をとってくださいね』

 呆れたように返答が返ってきた。……やったね! ケルベロスの傍にネコマタがいたという根拠と、地図ゲットだぜ! あとは義兄さんの力で、所有地に入る許可を得るだけ!


「任せてください! しっかり、義兄さんが許可取りますので!」

『ケルベロスの飼い主さんといえば、あそこらへんの元地主さんだから許可はとれるとは思いますが……、くれぐれもお願いしますよ。それでは失礼します』

 よし! これで、まおと同じ世界の記憶を持つ存在を、傍においてあげられるぞ~。それに、ケルベロスも家族みたいな傍にいて安心できるだろう。


「よかったね。ケルベロスが保護されたところに、君の家族はいるそうだ。保護するときにはケルベロスの呼びかけが重要だよ。よろしくね」

 そういって、わしゃわしゃと撫でれば、きゅ~ん(生きているようで良かったのだ。私ができることなら、頑張るぞ)と言っている。これぐらい存在が明確なら、まおに伝えてもいいだろうと考えていると……。


「そろそろ出てもよいだろうか……?」

 扉の隙間から顔を覗かせ、こちらをうかがっているまおがいた。風邪ひいちゃうから、出てきていたなら遠慮なく声をかけてくれたら良かったのにと考えながら、指先をチョイチョイと動かし、呼ぶ。出てきたまおをバスタオルで包み込み、拭いていると……。


「さっき、ついしんをしていたようだが、どこにしていたのだ?」

「ケルベロスからネコマタらしきものの情報をもらってね、存在を確実にするために、保護犬団体さんに電話をかけて確認していたんだよ。まお、よかったね。ケルベロスの説得がうまくいけば、ネコマタとも一緒に暮らせそうだよ。義兄さんは、前々からまおが責任をもってお世話できれば、何匹飼ってもいいっていってたし」

 そう教えれば、まおの目がキラキラ輝いた。かわいい。

 まおができるお世話はすべてこなしている実績があるし、ネコマタが増えることを義兄さんは反対しないだろう。……姉さんはわからないが、反対してもまあ、僕が説得すれば最終的にオーケーを出すから大丈夫でしょう。


「いつ迎えにいくのだ?!」

 ワクワクしているまおが一向に着替えようとしないので、苦笑いをしながら、

「裸んぼうのままの人には、教えられません。着替えてからね」

 と、着替えをうながすのだった。




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