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短編集

ハロウィンは秋色おうちごはんでほっこりといきましょ

作者: 夢月みつき

〇登場人物紹介〇


秋桜麻梨奈-あきさくら・まりな-

二十歳の女性、このおうちごはんの機会に幼馴染の剛に告白しようとしている。


坂下剛-さかした・つよし-

二十歳の麻梨奈の幼馴染、麻梨奈の家でおうちパーティーをすることになった。

今日は、ハロウィン前日、10月30日。私、秋桜麻梨奈(あきさくらまりな)はハロウィンに作る料理の買い物から帰って来て、いそいそと冷蔵庫に食材をしまっている。

明日は、幼馴染の坂下剛(さかしたつよし)と、おうちパーティをすることになっていた。




ローストビーフのような少し、奮発した料理も考えてみたが、剛の好物の素朴で味わい深い料理にしようと決めている。

この二人は、これまで付き合った人がいないくらいのモテない歴=年齢の二人だが、その他にも訳があった。



麻梨奈は、焦げ茶色のボブカットで、小柄の見た目ゆるふわ系女子、剛は亜麻色(あまいろ)の短髪で、文系男子タイプ。

決して、モテない要素が全くない訳ではないのだ。

麻梨奈は実は、これまで男性に告白をされなかったのではなく、幼い頃からずっと、剛のことが好きでこの機会に告白しようと考えているのだ。


「明日のメニューは、秋色で安心できる物がいいよね。炊き込み御飯と南瓜のサラダと鶏の唐揚げにしてと、食後のスイーツは、渋皮付のモンブランにしたしね」

彼女は、洋菓子店サンドリヨン(シンデレラ)で買った、モンブランを嬉しそうに眺めて冷蔵庫の扉を閉めた。





****☆+☆+☆****


10月31日、ハロウィンの日。

麻梨奈は夕方に仕事から帰宅して、料理をしながら、剛が来る時間まで待っていた。

その日、彼女はお洒落(しゃれ)をして白のブラウスと紅葉色(もみじいろ)のロングスカートでコーディネートしていた。


そのうち、インターホンの電子音が鳴る。

「はいは~い」


麻梨奈は、玄関の除き穴から外を見ると、仕事帰りで紺のスーツ姿の剛が立っているのが見えた。

「いらっしゃい。さあ、入って」

麻梨奈はドアを開けて、剛を迎え入れた。


「お邪魔します、おっ、麻梨奈その服似合うな」

「ありがとう、嬉しいっ」


麻梨奈は頬を染めて喜んでいる。

剛は靴を脱いで、彼女と洋間に行った。


テーブルには、鶏の唐揚げ、南瓜(かぼちゃ)のサラダが並べられていた。

揚げたての唐揚げの良い匂いが部屋に漂う。

「おーっ、美味そうだなっ。さすが、麻梨奈」

「ありがとう、さっ、炊き込み御飯もあるから手を洗って来てね。」

「おう、楽しみだな」




剛が炊飯ジャーから、二人分の炊き込み御飯を御飯茶碗によそい、食卓に持ってきた。

既に麻梨奈が、即席の松茸のお吸い物を作っていて、お椀の中でほこほこと白いゆげを立てている。


「今日はありがとな、いただきます」

「こちらこそね、いただきます」

二人はそろって、手を合わせて食べ始める。


「炊き込み御飯美味い」

「うん、しめじと油揚げ、人参、鶏肉も少し入ってるよ」


熱々の炊き込みご飯を頬張りながら、唐揚げを頂く。

皮つきの唐揚げで、外はパリッと仕上がっており、噛むと中から肉汁が溢れる。

南瓜のサラダは、マヨネーズと、プレーンのヨーグルトで和えたサラダだ。


「なかなか、まろやかで美味しく出来たよ」

麻梨奈は、剛にサラダを器に取り分けながら、微笑む。

「ありがと」


サラダを箸で口に運ぶ、剛。

「本当だ、これも美味いっ」

麻梨奈と剛は、食事が終わると、モンブランを持って来て食べ始めた。


「くう~、この渋皮のモンブラン。食後なのにするっと入るなあ」

「でしょ~、ここのケーキ甘さ控えめだしね」





****☆+☆+☆****


スイーツも、食べ終わった麻梨奈と剛は、キッチンで一緒に片付けをして食器を洗っていた。


「なあ、麻梨奈……」

「なあに?」

「トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞ」


両手をあげて、にやにやする剛。

「ええっ、あれだけ食べてまだ、食べるの?(ぼう)ドラマの俳優みたい!」


麻梨奈はびっくりして、目を丸くした。

「もう駄目、太るし、お腹壊すよ!」

彼女が、渋い表情で苦笑すると、剛は悪戯(いたずら)っぽく笑い。


「じゃ、イタズラ決定!」

「えーっ、ひど~い」


麻梨奈が困りながら、食器を拭いて食器棚に片付け終わると剛は、麻梨奈の指に自分の長い指を絡めて来た。

「えっ、なになに」


心臓がとくんと甘い鼓動を打つ。長身の彼が、麻梨奈を壁に寄りかからせて、片手を壁に付ける。

甘い雰囲気の中、剛の顔が近づいてくる。ゆっくり、ゆっくりと…。



「―――麻梨奈、すきだ。幼い頃からずっと、俺と付き合ってくれ」

「それ…私が、言おうと思ってたのに、ズルい」

「先手必勝、じゃ、両想いってことで」



剛がにこっと微笑み、麻梨奈の額に口づけをする。

窓から差し込む、杏子色(あんずいろ)の夕陽の中で、剛と麻梨奈の唇が重なる。

そんな二人を見守るように、ハロウィンの南瓜頭(カボチャあたま)のお化け、ジャック・オ・ランタンの人形が、カタカタと揺れていた。



-終わり-

最後までお読み頂いてありがとうございます。

美味しそうに見えるように頑張ってみました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 甘ーいお話ですね♡ ほっこりしました。
2023/10/06 20:59 退会済み
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