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第3話 これはいくらなんでも厨二過ぎません!?

あの日から私の状況は一変した。


大学、バイトに加えてロボバト参加と

忙しいながら充実した日々を過ごしている。


「いつもごめんねー。みぅ」

「全然大丈夫。こんな楽しい事に参加出来るなんて

 逆にありがとうだよ!」


みぅが隣にずっといてくれる事が心強く、

そしてとても嬉しかった。


また、製作班は男しかおらず、採寸や計量の時に

みぅがいなかったらどうなっていたか……と

知奈は嫌な想像をしてしまう。


21世紀枠につき運営や大学からの資金提供があり、

更に内海経由で大企業の支援がついているので

予算的にも開発スタッフ、開発施設にも問題はない。


しかし、メインスタッフが他チームと比べて

少ないのは同好会の弱点だろう。


……

………


そうこうしているうちにも

製作班は各種データに合わせて

着々と設計や製作を進めていき、

知奈もみぅのサポートも受けながら

少しずつ操作方法の習得や訓練を始めていく。


「……んもー!」

イメージ通りに動かせない事に

思わず声を出してしまう知奈。


「大変そうだね。ねいねちゃん……」

「タイミングが全然わからないー。

 もーやってられないわー」


腕の操作方法が独特な上に、実体のない

コンピューターシミュレーターでは

感覚が掴みにくいのは仕方のない事かもしれない。


「でも、私頑張る! ほづみ君の前で

 カッコイイ所見せるんだから!」


知奈はシミュレーターを再起動させて。

改めて1から訓練を開始する。


「……やっぱりカッコいいな。ねいねちゃんは」

小さい声で呟くみぅ。


運動が得意で頑張り屋さん。更に小柄で可愛くて

私には無いモノをたくさん持っている。

憧れちゃうな。


……

………


それから2ヶ月後。

ロボットアニメ同好会に案内された

二人は久しぶりに開発室の前に立っていた。


目の前にある大きなシャッターの向こうに

組み上がったロボが立っている筈だ。


「いよいよロボとパイロットのご対面だ!

 くぅ~っ。燃えるねぇ!」

「ついに実機が見れるんですね! 超楽しみです!」

「あ、そう」


勝手に盛り上がってる会長とみぅとは対照的に

知奈は逆に冷め切ってた。


その原因は直前に渡されたマニュアルの中にある。


——————————

形式番号:FFB-01

名称:Expelled Angel “追放天使”

全高:2.3m

重量:270kg(バッテリー含む)

駆動時間:約20分(通常モード時)

——————————


最初に読んだ時、知奈は自分の目を疑い、

その後沸々と怒りが沸いてきた。


……は?

何よこの名前。追放天使!?

大体わかるわこれ店長の提案でしょ!


どうせ店名に合わせたんだろうけど、

いくらなんでもこれは厨二過ぎません!?


と、あれから脳内愚痴大会を繰り返していた。

もし店からの特別手当が無かったら間違いなく

ボイコットしてでも改名させてただろう。


……


数分後、満を持してウィィィン!と

シャッターがゆっくりと上がっていく。


足元から見えてくる白を基調として

黒と金色がワンポイントのロボット。

いや、FFB-01 フレキシブルフレームB型、

”追放天使”はまるで主人を待つかのように

静かに佇んでいるように見えた。


「こ、これが追放天使……!」

「フフン。恐れ入ったか!」


ロボを見つめながら呟くみぅに対して

自慢げに声を上げる戸坂会長。


そして、肝心の知奈は開口一番

「何で言うか“ちゃちい”ですね」と

口を滑らせてしまい焦った表情を見せたが、

それを聞いた会長はクククッと笑いながら

「そう見えるよなw」と返した。


実際、他のロボと比較したら

そう見えても仕方ないのだ。


ロボバトに出場するロボット達は

基本的に全高4m以上が当たり前であり、

最近は大型化が進みルール上限である

6.5mギリギリのロボすら現れてきている。


階級制限無しならヘビー級ボクサーが

一番強いという理屈と同じなのだろう。


更にバトルにおいてダウンは一発KO扱いだ。

そう考えたら大型化、重量増、低重心は当然の流れで

キャタピラや多脚にするのも理にかなっている。


それらに比べたら2.3mの追放天使は

子供でありしかも細身で完全な二足歩行型。

普通に考えたら勝ち目は無い。


しかし、だからこそ奴らには隙がある!と

同好会メンバーは口を揃えて言う。


「ま、大船に乗った気分で任せてちょーだいよ。

 君の高い身体能力と僕の持ち込んだ最先端技術で

 ひと暴れさせてもらうからw」


内海さんは満面の笑顔を見せて

心底楽しそうに私とみぅに話しかけてきた。


話を聞いてコンセプトはわかるけど、

それが机上の空論である可能性も十分ある。

もし目論見が外れた時、私はどうなるのだろう……


不安な表情を見せる知奈とは対照的に

戸坂会長と内海は絶対的な自信に溢れていた。



『それじゃ、いこうか!』



ー水道橋大学ロボットアニメ同好会の、

 そしてねいねの挑戦がここから始まるー

【次回予告】

【9月5日更新!】


舞台はバトロボ開会式へ!

観客の前についに姿を見せた

我らが“追放天使”


その時、ねいねが見た光景とは……!


次回 第4話

「ねいねを見ててね!ほづみ君!」

お楽しみに!

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