8. ヒロイン登場御用心!!
読んでみて下さい!!
「来てしまったわ。入学の日…。」
聞き慣れたドアのノックの音。
「失礼します、お嬢様。制服にお着替え下さい。」
「分かったわ。」
侍女の’アナ’が制服を用意してくれる。
彼女は、唯一の私の専属側近で歳が近く頼れる存在なのだ。
ていうか、やっぱり王立学園の制服は可愛いわね。
ヒロインの可愛さが分かるわ。
「準備が出来たわ。」
「畏まりした。門までお供致します。」
「えぇ、宜しくね。」
髪型も、ハーフアップじゃなくて、ゲームと同じ両脇を編み込んでお下げにした。
この髪型、舞踏会でやってみて可愛かったのよね。
舞踏会…舞踏会…。
この前のことを思い出す。
恥ずかしくなってきわ。
思い出すのはやめましょう…。
「「おはよう、ティア。」」
何故かアドルフ王子も一緒に来ていた。
殿下…制服姿本当に格好良いわ!
拝みたいくらいよ!
じゃなくて…!
「…えっと…?何故、アドルフ様がいらっしゃるのですか…?」
ちょっと意味不なんだけど。
「駄目だったかな?」
おっと、彼は前世で流行っていた壁ドンならぬ腕ドンをしてきた。
殿下は笑顔で見守っている。
よし、ここは素直に言った方が良いわ。
「はい。嫌ですわ。」
「嫌でも行くよ。」
「そうですか。殿下は…殿下の連れて来た理由は?」
「いや、ここで駄目と言うと、面倒くさそうだったからだよ。」
うわぁ、はっきり言うわね…。
「とにかく行きましょう。」
「そうだな。」
…何故…何故?!
何故、私が2人に挟まれなくてはいけないの?!
「もう学園てすので…ここまでで大丈夫ですわ。」
「俺は付いて行くぞ…?」
「なら俺も行く。」
いや、来んなよ!!
…失礼。言葉遣いの間違いは我が西園寺家にあってはならないことだわ。
「きゃっ!」
ん?この鈴が転がるような綺麗な声。
振り返ると、黒目桃色の眼の美少女が立っている。
ヒ、ロイン…?!
そ、そんなワケは…!
ヒロインがバグを利用しない限り、そんな事出来ないはずよ。
バグを利用すれば出来る=ヒロインが入学しきてても可笑しくない…?
うわぁぁぁーーー!
そうだわ!確かに、転生者が私だけでは無い可能性があったわ。
完全に計算外…だったもの!
「あっ…!す、済みません…!!!」
「何か、御用かな?」
優しく問いかけ、スッとアドルフが前に行く。
「きょ、教室に行きたいのですが。」
「その制服…平民のようだね。ここから先は貴族の校舎だよ。」
「そ、そのぉ…特別に貴族の校舎で勉強する様に言われました。」
「本当の事かな?嘘をついていない?」
アドルフ様…、物凄く疑っているわね。
「待て、アドルフ。もしかして、特別奨学生の…フランリー・アリシア嬢…か?」
はい、そうです!ヒロインのアリシアですわ!殿下…!
「はい、間違いありません。」
ここで、私、ティアレーナが早速虐めるのよね。
「ちょっと宜しくて…?アリシアさん。」
「は、はい…!」
「私が教室まで案内して差し上げますわ!」
「ありがとうございます!!えっと、お名前は…」
「スミス侯爵令嬢、スミス・ティアレーナですわ。其方は,ルーカス様とアルフド様ですわ。」
「え…?王子様と、侯爵の御令嬢…。」
「本当に貴方は身の程知らずね。アリシアさん?」
「も、申し訳ありませんっ…!」
あれ?可笑しいわ。ヒロインは『済みません!』って言う筈だけど、令嬢言葉ね。
そして、2人の王子様方は、何を考えているか全くわかりませんわ。
殿下はいつも通り笑みを浮かべていますし、アルフド様は真顔になっているし、、、。
でも、殿下は分かりませんが私、アドルフ様の好感度を下げる事ができた気がしますわ!
宜しくお願いします!!