7. 初めての舞踏会②
前回の続き⭐︎
うぅ…睨まれていますわ。
まぁ、そりゃそうよね…。
私は第一王子ルーカス様と婚約者候補であるのに、第二王子であるアドルフ様とも親しくなったら、御令嬢達のお目が厳しくなるわけだわ。
「ティアレーナ様。少し此方に来て下さい。」
怒りのこもった声で呼び出された。
「分かったわ。」
この方は…誰かの取り巻きよね。
身分は…伯爵家くらいかしら。
じゃあ、呼び出した御令嬢は相当の身分な筈。
「…ミラ。つけろ。」
小さく呟く。
「仰せのままに。」
1人の青年は、何かを理解したように頭を下げた。
絶対に守るからね。ティア。
* * *
案内された場所は…地上の庭。
「ティアレーナ様。どういうつもりかしら。人の婚約者を誑かすなんて。」
「ダイアナ様。申し訳ありません。もう彼とは関わらないので「許して下さい、と?」
「はい。」
被さるように言った。
彼女、こんなに悪役っぽかったかしら。
ゲームの中では、第二のヒロイン的な存在だったのに。
パシッ!
「痛っ!」
音が響く。前、誰かにもこんな風に叩かれた気がするわ。
あぁ、前世の、’雅’の時か。
『雅さん…!いつになったら一人前になるの?私の子供の時は完璧に出来たのに。出来損ないなのね。」
頬を叩かれる。
『お母様…。すみません。』
『全く、お前は…心底うんざりだ!』
『お嬢様は本当に出来が悪いですね。』
侍女が嘲笑う。
『あんなのが娘なのか。愛人かなんかのの娘じゃないのか?』
お父様の知り合いが眉間に皺を寄せる。
お父様…!私は貴方の役に立ちたくて…!
お母様!お父様!待って…!置いていかないで下さい…!お願い…!!!
「ティア…!ティア!」
誰?私を呼ぶのは…。
「…で、んか?」
何でここにいるの…?
「どうしたんだ?頬が赤くなっているが。」
あ…これは、ダイアナ公女にとって相当まずい場面かしら…。
「殿下…!あの、これは––、」
焦るダイアナ公女。
…残念ですわ。ダイアナ公女。
殿下が来たら、歯が立ちませんわね。
クスリと笑みを漏らす。
「!」
わなわな、と震えている。
「ダイアナ嬢。何があったか、説明願いたい。」
こんな殿下の真剣な眼差し、初めて見たわ。
「ご、誤解ですわ!そ、その娘がいけないのですわ…!人の婚約者を誑かして…!」
「その件に付いては、俺も見ていた。無理矢理誘われていたぞ?」
「そ、そうだったのですねっ!!では、失礼しますわ。貴方達、行くわよ!!」
「ティア、大丈夫か?」
「えぇ、済みません。こんな事になってしまって…」
私、不敬罪で捕まるのではないかしら。
「その事じゃない。ティアが大丈夫か聞いているのだ。」
「え…?」
「無理をするな。」
「分かりましたわ。今日は帰ります。」
うぅ…美味しいスイーツ食べたかったな…。
「あぁ、それが良い。馬車はもう呼んである。」
…す、ストーカー…!!
「……殿下は私の事をどこまで知っているのですか…。」
「さぁな。」
殿下は、何が目的なのですか、と問いたい気持ちだった。
宜しくお願いします!!