5. 悪夢の予感は婚約破棄を思わせていますわ。
読んでみてください!!
『スミス・ティアレーナ…!!今この時をもって、貴様との婚約の破棄を宣言する!!』
目が眩しい程キラキラしているシャンデリア。
ここは…どこ…?
『何ですって…?!』
何でか口が勝手に動くわ。
『貴様があんな事をしなければ側室に留めておいたものの…!アリシアに危害を加えたのだから、当たり前だ…!』
『殿下…!私は何も––、』
一瞬で、私の綺麗な紫色のドレスが赤色に染まった。
『鬱陶しい。さっさと消えるなら消えろ。』
何でですの?私を何故選んでくださらないの…?
あの娘がいるから?
そうよ––、あの娘さえいなければ…いなければ…!!
そう思ってたのに。
殿下は、私ではいけないの…?
もし…私が彼女と同じ髪色で、瞳の色で…周りの人を気にせず、自由気ままに生きれいたならば…反対の立場だったのかしら。
私が彼女に優しく接していたら…殿下は、私の事を選んでくれた?結果は違ったの…?
いや、私はこのゲームに抗えないようになっているからだわ。
そう、シナリオには、誰も抗えない…でも、私はこれだけ殿下を愛しているのに…!
私の事を見て…お願い––!
お願い!!お願い…!!!!
「ううぁぁぁーーっっ!!!!」
「お嬢様っ!どうか致しましたか…?!」
「いえ…少し悪夢を見ただけよ。」
「そうですか…ではお休みなさいませ。」
「えぇ、お休みなさい。」
..
間違いなく、アレはティアレーナ自体の記憶だわ。
私はもう間違わない。
もう二度とティアレーナにこんな思いはさせないわ。
「ティア。」
陽の光の下で、私の横で、殿下が私の名前を呼ぶ。笑っている。
殿下と毎朝会えるのはヒロインが登場するまでね。
私はきっと乗り越えてみせるわ。
殿下とも婚約はしないわ。
どうせ、 ヒロインに勝てないのだから。
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