9. シナリオの運命。
「でもっ、ルーカス様ぁ、庭園まででも送ってくれませんか?」
何て、はしたない..!
「あら..アリシアさん、話はまだ終わっていませんわ。」
「だから、何か?貴方が侯爵の御令嬢だから、私を下に見ているのですか?貴方だって、婚約者候補でしょう?!」
アリシアの声は頭が痛くなるわ。
「最後まで話を聞いて頂戴。」
「......。」
「この方は、王太子ですわ。無理矢理、王太子妃の座を奪おう、とだ何て....、思っていないませんわよね?」
「そんなこと、私が思っている訳ないじゃないですか。」
こういうとこにティアはムカついていたのね。
「とりあえず、アドルフ。庭園までアリシア嬢を送っておいてくれないか。」
「「!」」
私とアリシアは、はっと顔を見合わせる。
何故、、?
考える事は同じ。
本来なら、殿下からティアは先に行ってろと言い、ヒロインと二人きりになるシーンだからだ。
「分かった、ティアとルークは先に。」
「はい…。」
アリシアは、それを呆然と見つめている。
私と殿下は先にクラスへと向かった。
「殿下は宜しかったのですか?」
完璧な笑顔で、立ち向かう。
「何故そんなことを思うんだ?」
…少し、不機嫌ね。
殿下は読めないから、よく分からないわ。
「アリシアさんはあぁでも、成績優秀、そして聖女候補ではありませんか。」
「それはティアもだよ。」
「あら、そうでしたわ。」
ティアは、自分が聖女候補なのを良いことに、威張っていたのよね....。
彼女のそういう所、嫌いだわ。
あぁ、聖女というのは毎月、《聖なる祈り》で国に結界を張る。その他はポーションを作ったり治癒魔法ーヒールの活用、魔法の浄化など。
お決まりの、ヒロインが聖女なのよね。
ティアは全く聖女の素質なかったし。
「そうだ、シェリア嬢も同じクラスだそうだだ。」
「そうですか、、、。頑張って仲良くしますわ。」
「シェリア嬢の事は嫌いか?」
「いえ、滅相もないですわ。」
「そうか。」
面倒くさいわねぇ....。
あと、ヒロインも気を付けないと。
今回は私がシナリオを変えてしまった。
もう、変えるわけにはいけない。
私と殿下が結ばれたら..バッドエンドになってしまうから。
下手に動いて、王太子妃になんてならないようにしなきゃ..!