妖精ずんちゃのお仕置き
我儘を言うと現れる。
傲慢、自己中心的、無責任、嘘吐き…
そんな悪い輩にお仕置きをしにやってくる。
見た目は恐ろしい。
けれどもお茶目なソレの名はずんちゃ。
ふよふよ、ふよふよ…
ずんちゃは悪い子のもとへと舞い降りた…
ずんちゃは左手首から先しかない。
大きく見開かれた禍々しい蛇の様な瞳に、顎が外れ開きっぱなしの口には二本の八重歯が生え、だらりと涎を垂らしている。
ふわふわと飛んで来て、聞き分けのない餓鬼に仕置きをする。
腕に降り立ち、俊敏な動きで瞬く間に脇までやって来る。
そして、絶え間ない攻撃が始まる…。
脇や腰、足の付け根、ありとあらゆる処を擽ってくる。
容赦など無く執拗に、懇願しようともやめてはもらえない。
ヒィ…ヒィ……と、息も絶え絶えになり大粒の涙を流しながら謝罪し許しを請えば、ずんちゃは一つ問うてくる。
―モウ悪イ事ヲシナイカ―
この問いに躊躇わず「はい」と答えられれば、ずんちゃは踵を返し空へ消えてゆく。
万が一にも答えられねば、更なる苦しみへの扉を開くことになるだろう。
ずんちゃはいつだって悪い子を探している。
何処からか現れ、幼子を戒める。
ずんちゃ、ずんちゃ、ずんちゃ…
おどろおどろしい鳴き声が聞こえたならば、とにかく罪を認め謝るのが身の為だろう。