食欲の秋
おはよー!
早く起きないと朝ごはん食べられなくなっちゃうよー!
高校にもなって幼なじみ朝起こしに来る。
朝食を一緒に食べるのが日課だからだそうだ。
「おはよ、コーヒーとお茶どっちにする?」
毎朝決まって聞いてくる母親
「紅茶がいいんだけど・・・」
最近紅茶にハマってる俺に愚問すぎる。
そして出てくる黒い液体
「コーヒーじゃねぇか!」
「コーヒーとお茶を混ぜたからコー茶よ」
単純に薄いコーヒーを飲みつつテレビのニュースを見る。
この近所で最近起きた事件の事が取り上げられている。
あの事件は解明されてるんだけどなぁ?
もう!いつまで食べてるのよ!
ゆっくりしすぎで遅刻しちゃうよ!!
急かすくらいならうちに来ないでひとりではやく投稿すればいいのに。
そんなことがあったことは特に話さなかった。
通学の途中、季節外れの桜を見かける。
冬に咲く桜があるくらいだから狂ってるとまではいかないが考えがグルグル巡る。
一緒に登校するのが恥ずかしかったな・・・。
幼なじみにはこの桜は届かないのだろう。
早く行こうよーと急かしてくる。、明日があるとは限らないのにそんなに急ぐことも無いのにね。
学校では離れ離れだ。
僕の周りには楽しそうな人集り。
答えても増えていく言葉にうんざりして遠くを見つめて過ごす。
幼なじみがいたらどうしていただろう?
仏壇に備えてあった饅頭を半分こにしたりしてたかな
。
時間はすぎていく、お昼時間にお弁当を広げるにも。
すこしきどってたべたいものだか。
こういう時、屋上で食べられたら格別だろうなぁ・・・。
屋上ってどこも閉まってる。
昨日もマンションを4件くらい回って屋上開いてないか見てきたけど閉まってた。
帰りはどうしてたっけなぁ?
おはよー!
早く起きないと朝ごはん食べられなくなっちゃうよー!
今日もいつも通り
朝ごはんを食べながらテレビを見る
またやってる・・・。
早く終わらないかな、この事件はもう終わりだろ?
だいぶ涼しくはなったが、昼間は温かい。
さすがに食べるのは危ない気がしてきた。
そんなにたってもいないのに。
あの桜が咲いてるならもう少し歩ける。
そんな思いが通じたのか、まだ咲いていてくれてる。
救われるとしたらこの瞬間だけだ。
屋上は開いてないが・・・。
そんなに高くはないが、鍵の管理がイマイチなこのマンション。
みつけた。
やっと見つけた。
幼なじみとゆっくり話すためには必要な場所だから。
桜はいつから咲いていたのだろうか?
幼なじみが起こしに来なくなる前だろうか?
母親の作る朝食が懐かしく思うようになったからだろうか?
パーツのだいぶ欠けた人形に今日は挨拶をしない。
もう、朝食としても食べる必要は無い。
テレビのニュースでは仏壇代わりの写真とそっくりな情報提供を募る写真や当時の服装が映されている。
公開捜査というやつなのだろうか?
仏壇のつもりから一緒によく買い食いした饅頭をポケットに入れる。
近所の人からも心配される。
もちろん僕も心配だ。
幼なじみだもの・・・。
外に出て颯爽と向かう。
桜がまだ咲いてるか見ることは出来なかったけど。
そろそろじゃないかな?
「なんだよ、こんな甘いのよく食えるよな
女ってみんなそうなのか?
でも変わってるよな?
ケーキとかのが好きなんじゃないのか?
知らないのー?
和スイーツって言うんだよ?
それにヘルシーだからいっぱい食べても太らないの!
」
すごく甘い・・・。
時間や記憶に味があったなら、あの時はすごく甘くて胃もたれしたり胸焼けしてるレベルだな。
そして、ここの管理の甘さも相当だな。
頬張った饅頭をコー茶で飲み干し。
恥ずかしかった自分を捨てる勇気を出す!!
お茶目な母親と食べてしまったほど大好きな幼なじみに今度こそ気持ちを伝えよう感謝を言おう、ずっと一緒にいたかったんだと叫ぼう!
タベキレテサエイレバズットイッショダッタノニ