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プロローグ はじまりの日
四月七日、中村剛はこの日を誰よりも心待ちにしていた。
空は雲ひとつない快晴で、昨日までの土砂降りの雨が嘘のようだった。
天気さえも今日という日を待ち望んでいたような、そんな錯覚すら剛に感じさせる。
日焼けした、やや褐色気味の肌に彫りの深い顔立ちが特徴的で、眉毛は剛の意思を示すように濃く、太い。
「剛、いよいよこの日がきたなぁ」
同じクラスの佐渡谷直人が校門で剛に話しかけた。
佐渡谷は身長185センチの長身で細身の体格、サラサラとした髪の毛を真ん中で分けている。
「まぁ今日は入学式だけだから本番は明日からだけどね」
そう答える剛だが、胸の高まりは抑えきれない。
そんな剛をみて佐渡谷がニヤリと笑った。
そう、剛の高校生活は今日から二週間にかかっているのだった。