ミラクルパレット
いくつも描いて来た。奇跡を。
出会うはずのない書き手と、異世界の存在の交わした奇跡を。
いくつも紡いできた。物語を。
どうあっても画面いっぱい鮮血を描けない不思議な絵の具で。
その数はざっと50。
作品と言う冊子を並べたこの画廊。
いつのまにやら寄せ書きノートの文字は増えていた。いつのまにやら常連の数は増えていた。
大きな町の小さな画廊。おのが奇跡と軌跡を描くは、時流を外れた我道流。
隅にたたずむこの店に、多くの客が来たことは、これまた一つの輝く奇跡。
そんな客らに感謝をしながら、画材の不足を棚に上げつつ、これからも俺は描くだろう。
スコープの先に重なる奇跡を、自分の描ける手法で。