通りすがりの交通事故
「そういえばここで手を合わせてからだな。猫が家に来たのは」
例の猫神様の祠だ。
散歩で歩いてるうちにここに来ていた。
「楽しく猫と生活していますよ」と手を合わせる。
(猫ではなく、女の子と出会いたかったなぁ)と、思わないではないが猫神様にそこまでお願いするのもなぁ。
今でも十分楽しいし。
ん?青信号だ。
家に帰ろうと横断歩道に踏み出す。
とそこへトラックが突っ込んでくる。
あっ、運転手、居眠りしてるよ。
どうしようかなぁ~
前に走り出してもよけれそうにないし
後ろに方向転換も間に合わないなぁ。
と、止まった時の中でのんびり考えてる自分。
そんな中、高速で近づいてくる…猫?
あいつ、ここらまで縄張りなのか?
他が静止している中、猫だけが通常速度で迫ってくる。
そして俺を押し倒す。
そこで、時が動き出す。
倒れこむ俺の傍をトラックが抜けていく。
「ドっゴーン」
トラックは電柱にぶつかり止まった。
俺はというと、倒れた拍子に頭を打ったのか、頭が痛い。…というより重い。
また何か憑いたか?
これと言った外傷はないが念のため救急車で運ばれる。
レントゲンだ、CTだ、と検査を受けているうちに頭の重さは消えていた。
「異常なし」のお墨付きをいただき下宿に帰宅。
その日はもう、猫は現れなかった。
「ありがとう」を言いたかったが、なんとなく「もう現れないのでは?」という予感があった。
それでも、玄関先で「にゃあ」と待っているんじゃないかと思い帰宅する日々が2週間ほど続いた。