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通りすがりのモグラ
ある日、モグラ(まだ生きてる)を狩ってきた。
『ねぇねぇ、こんなの取ってきたのよ。でね、でね、こいつをねぇ、こうやってこうやってこう仕留めたのよ』
と目の前で実演を始めた。
「ハイハイ。廊下でやってね。」と廊下に放置してたら数分後
『モグラいなくなった。モグラいなくなった。』
と騒ぎ出した。
「どしたの?」
『ここでね、モグラで遊んでいたらね、モグラね。モグラね。いなくなったの。』
廊下をたどっていくと洗面台の下が腐って穴が開いていた
「あー、ここから逃げたんだね。」
『ねーねー逃げちゃったの?。逃げちゃったの?。ねーねー。』
少々うざいので、ちくわをあげると
『うまうま。ちくわうまうま』
とちくわに夢中になっていた。
やっぱりちょろい。
ある時お腹を撫でようとしたら、
『私、お腹を撫でられて喜ぶような安い女でなくってよ』
なんて澄ましてるもんで、スキを見て、ていやっ! とひっくり返し お腹を高速撫でしてあげると
『ああぁぁ。もっと。もっとなでてぇ~~~。』
それ以降、警戒はしているが、十中八九ひっくり返されて成すが儘となっている。
そんな生活がひと月以上続いた。