通りすがりの猫祠
ふと、交差点で足が止まった。
ここは先日、交通事故があった所だ。
轢かれたのは女子高生だったらしいが軽傷で命に係わる事態にはならなかったらしい。
こういった事故の起こる場所は、『何か』があるらしく、道祖神 お地蔵様 祠…
ここでは、小さな祠に猫神様? が祀られていた。
「招き猫のご神体なんて珍しい」
石でできているが、招き猫だ。
そうだ、ポケットにおつまみ煮干が入っていたな。
これをお供えして、手を合わせる。
「この辻をお守りください。」
ズン!
お供えしただけで、祟られる覚えなんかないぞ。
急に肩が重くなった。
自分は霊感が強いのか、たまにこんな感覚に出会う。
今回のように肩に重みを感じたり、背筋がゾーと冷えたり。
大抵はその場から離れるとなくなるので、単なる気のせいとも言えなくもないのだが、今回は下宿先に着くまで重かった。
俺の名前は、古根小太郎。
R大学の2年生だ。
1年の時は市内のアパートに住んでいたのだが、耐震問題で取り壊しになり、講義で仲良くなった大蔵先輩の紹介で、この下宿に移り住んだ。
今は、先輩から教えてもらった大学への近道を通う毎日だ。
今日は自転車がパンク。さらに修理材も切らしており、街に買いに出た帰りだった。
坂上がるの、しんでぇー。
下宿に着くと不意に肩が軽くなった。
今回ばかりは辛かった。