デジリアルワールド
またもやこんばんは、誄歌です。
あぁ( ˙-˙ )
書くことが思い付かないから
本編どうぞ( ゜д゜)ノ
首がいたい
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セイバーの発表が終えると─反論はもう諦めた─いよいよ周りが殺気立ち始めた。三〇分前までは友人同士との雑談で賑わっていた体育館だがその面影はもうない。あるのは先程理事長が言ったことにより、全員が再度認識したであろう事実による戸惑いだ。それは生徒同士が殺しあうことも容認していると言うこと。簡潔に言えば、誰が誰を試験中に殺そうと別に構わないと言うことを意味していた。もちろん、みんなの覚悟は決まっている。命を懸けてでもこの高校に受かると言う覚悟。それがなければこの場には居ない。しかし、人間同士の殺しあいに対しての覚悟を持ち合わせているやつは少なかったのもまた事実だった。
「高校に受かれば、校外でもドライブを使っても罰せられなくなるからね」
「………ん?………君は?」
全員の動きを観察─正確には今朝のような人物を索敵─していたところ、何故か見知らぬ少女に話しかけられる。一応、記憶を辿るが、彼女と話した記憶はないし、顔を見た記憶すらなかった。やはり、完全に赤の他人だ。いや、こちらが知らないだけであっちは知っているのだろう。なんせ、理事長が必要以上に僕の個人情報をセイバー発表と同時に漏洩させたからだ。最も、初対面であることには変わりはないのだが………
「蓮玲奈。それが私の名前よ………覚えておきなさい。橘凜………『私の騎士』」
「上からだな、まぁ嫌いな感じではないけど」
髪をパサッと払い最後の一瞬、僕を睨んだ玲奈が、集中していないと聞こえないくらい小さな声で言った『私の騎士』と言う言葉。意味がわからないため、気にはなるがここはあえて触れないでおくつもりだ。何故なら、聞いたところでなんのことだとしらを切られれば、それで終わりだからだ。
「あら、嬉しいこと言うじゃない。流石は騎士、紳士なのね」
「そうか?……初めて言われたよ」
笑顔の花を咲かせる玲奈は本当に嬉しそうだ。個人的には、身長こそ僕より小さいが金髪美女だと思う(玲羅よりはあれだが)。それなりにモテそうだし、もてはやされてそうなものだ。雰囲気と言うかオーラそのものは高貴なお家柄………を醸し出しているようにも感じるため、近寄りがたさもあるが話した感じの雰囲気は悪くはない。
「みんな恥ずかしいだけじゃない?あなた、近寄りがたいもの……」
「自分から話しかけておいてそれはないだろ?」
「あははは、それもそうね。あ、そうそう、あなた私と一緒に試験をやってちょうだい。これは……命令よ?」
「命令なんてされなくても良いが、玲羅と大悟も一緒で構わないか?」
訂正しよう。上からな点は直した方がいい。命令と言われ苛つきを覚えるが見るからに玲奈は強そうだ。下手に戦闘を行えば負けるかもしれない。そのため、あくまで否定はしないがこちらも条件を提示した。回答次第では、少し離れている玲羅と大悟にも、伝える必要がある。もちろん、それに対しての玲奈の答えは─
「だめよ、私と二人っきりで。いやなら、無理にでも私に従いなさい」
ノー、否定だった。
その瞬間、玲奈の瞳の色が変わる。それはコードの内の技を使用した証拠だ。技は──
「…………エンペラー・アイ、か……残念だけど、玲奈、それじゃあ僕を操れないよ。そんなものじゃ」
本当に〇'二秒ほど体が硬直したが玲奈よりも僕のコードの優劣(力)が勝ったため、自ら解かずともその効果は打ち消された。
エンペラー・アイには複数の能力がある。その上、使えるのは王者(性別により読み方が変わる)と騎士のみで効果は様々だ。が、今は王者の目をあわせた人間を支配下に置く。と言う効果だったようだ。他にも、先読みや限定の範囲内の仲間の能力をあげるなどあるが一番怖いのは王者のみが使える視界に一度いれた武器は全て略奪/使用可能と言う能力だ。故に、王者には特定の武器が存在しないと言われている。が、エンペラー・アイは相手の方が強い場合、その効果を発揮できない。
「んー、やっぱりだめかぁー」
んー、と唸りながら何故か玲奈は何処かへ行く。支配できるとは最初から思っていなかったのだろうか。しかし、なら何のために話しかけてきたのかは─理解できなかった。それとも本当にただ2人っきりで試験をやってほしかったのだろうか?
「いったいなんだったんだろうな、あの女」
先程まで何処かへ行っていた大悟が合流するなり、玲奈の話を始める辺り。何処にいたのかは知らないが、素振りからして盗み聞きでもしていたようだ。別段、気にはしないが─玲羅との会話を盗み聞きした場合は殺す。そう心の中で誓った。
「さぁね、でも………」
「あん?何て言った?」
玲奈のことで一つだけ分かったためそれを伝えようと思ったのだが──運が悪い。試験の開始を知らせるベル音が、鼓膜を破らんばかりの音量で鳴り響いた。反射的に眼を目を瞑ってしまう。これだけうるさく鳴り響かれては声は通らない。話は─後回しにするべきだろう。
それに──あまりのうるささに目を瞑った瞬間。体が蒼みがかった光に包まれたかと思うと、今まで居た体育館ではなくどこか石が敷き詰められている薄気味の悪い場所に僕は居た。周りには誰一人として居ない。
「…………っ、転移魔法…………?」
まさか、高校のたかが試験。と言うとあれだが試験の初っぱなから魔力消費の激しい転移魔法(一〇〇がMaxだとしたら五は確実に減る後は距離と使用者次第)が使われるとは予想もしていなかった。
「あー、厄介だ。ねーちゃんと離れたし、大悟とも離れた」
愚痴をこぼしながらとりあえず、前へ進む。
ねーちゃんと離れたのは痛い。大悟は弱体化してるとはいえ直ぐには脱落しないだろうが、姉は別だ。今の姉は誰かを攻撃することも、防ぐこともできない。そんな姉がたった一人で、命を懸けたこの試験に身を任せたとしたら怪我の一つや二つは避けれないだろう。だが、僕は姉に怪我をされることは望んでいない。
「……………………………」
目を閉じ耳を澄ませる。この静寂の中、少し集中すれば音の一つは拾えるだろう。
しかし―
「………ずいぶんと静かだな。まるで、ここには僕しかいないかのような……ん?僕一人?……いや、そうじゃない。これは──」
一つも音が拾えない。あるのは自分の心音と声のみ。辺りは薄気味が悪いほど静まり返っていた。それに疑問を覚えた僕は額の前で拳を握る。予想が正しければ、これは転移魔法ではないそう、幻惑魔法だ。
「セイバー、ロード………ドライブ、コードの承認頼む」
声に反応してドライブが、起動。同時に半強制的にコードが浮かび上がる。
「『承認』」
「悪を絶ち斬れ─」
別段、声にする必要はない。ただ、気持ちの問題だ。幻惑や、幻術を解くには一番大事なのは解く人間の心持ち。どんな幻惑をかけられようと強い心を持っていなければ解くことはまず不可能だ。
目を閉じ、深呼吸をする。
「……………」
刀身が白みを帯びた黄色に光輝く。セイバーを構え腰を深く落とす。初めに一文字切り、次に回転しつつ二の太刀を全方向へ、そして、止まると同時に三撃目の突きを敷き詰められている石へ。本来は邪悪を祓う用途があるシャイニング・アンサー。高校生活上使うとは思いもよらなかった。
「魔力消費多いけどー、まぁ良い」
愚痴をこぼしていると目の前にセイバーの軌跡が走る。やはり、幻惑だったか。幻惑を構成する中には多少なりとも悪意が混じっている。悪意は邪悪の部類だ。だからこそ、斬ることができる。
「おめでとう、凜くん。流石ね」
どうやら、小さな黒い枠が作られていたようだ。それを割くと言う─もちろん、触れることは不可能、僕のように幻惑を解くことのできる技を使わなくてはいけない─形で出ていくと先程の理事長と、女子生徒が立っていた。
「あなたが、一番乗りです。さぁ、次へどうぞ。試験は始まっています」
「僕が一番?それはないな、姉が僕より先に解いてるはずだけど?」
確証はないが、玲羅なら自分より先に気づくと思った。ルーンコードの保有者は魔法に敏感だ。それに玲羅はその中でも格別だと思っている。それ故の自信だ。
「ふふふ、流石、貴方達姉弟は騙せないか。でも、残念。貴方のお姉さんは確かに貴方よりも早く解いたわ。けど、さらに先に解いた人が一名居るのよ………さぁ、お喋りはこの辺にして行きなさい」
「………そうしたいけど、大悟を僕は待ちたい。それは構わない?」
「まぁ、構わないけど─待つ必要はなさそうよ?」
理事長の言葉に隣を見る。そこには、先程僕も入っていたのであろう黒い小さな枠があり、全体に罅が入っていた。確かに、待つ必要はなさそうだ。
「アァァアアアアアアアアア!!!!!」
耳が痛くなるだけの咆哮。流石、バーサーカーコードの持ち主だ。弱っていても怪力には変わりはないのだろう。
いや、幻惑とは言え小さな結界を張ることで成立させているこの魔法を解くと言うことは何を意味するか。やはり、バーサーカーは侮れない。
「…はぁ……はぁ……あぁ~、お待たせ」
「………とくに待ってない。行くぞ」
大悟が出てきた瞬間、踵を返し二人を一別するとにやりと笑う理事長の顔が視界の端に写る。
「玲羅は、何分前に?」
「二分ほど前よ」
擦れ違い様に隣で一瞬、立ち止まり次の動作へ移る瞬間。短く問いを投げると、悩む様子もなく短く返された。多分、予想していたのだろう。
「………ありっと」
「えぇ、構いません─では、頑張ってくださいな」
「言ってらっしゃいませ………」
結局、隣に居る生徒はなんなのだろうかと言う心のどこかにある疑問は解消されることなく、試験をクリア出来たら聞きに行こう。そう思った。
道のりをしばらく進むと一体のデュエンデが現れた。もちろん、それは潔く倒したがそれを初めてとして五分に一回と言う頻度で戦闘が起こるようになった。
「…………だるい」
「それなー、だりぃーーーー」
今では数歩進めば必ず五体以上との戦闘がある。本当にだるい。それに、武器の継続的な具現には微力ながら魔力を消費し続ける。魔力の保有量には自信があるが、何処かで休憩したいものだ。
「………大悟、お前は戦闘に加わらなくて良いよ、回復に潔く努めてくれ」
右手のみに武器の手甲を装着して戦闘に加わっている大悟を見て先程から思っていたことを口にする。
「んー?あー、だって暇じゃん」
「暇って……魔力の消費を少なくしてほしいんだよ」
自分を知らなければとても覚めている目で見ているように思われるかもしれないが、これが精一杯の心配している目だ。
「そんなこと言われてもなぁー、んー」
唸る大悟。腕を組、頭を上下左右に振りながら唸ると言う典型的な考え込みを見せられ助け船を出すしかないのか。と僕も頭を悩ませた。
「………あー、僕が倒れたときの交代要員ってことで」
結局、出すことになった。
試験時間はざっと八時間程あったが現在一時間弱経っている。最初の合格者が出るとドライブにその事が送られてくるらしいので今のところまだ合格者は出ていないと見て良い。が、試験時間云々よりも玲羅に会えないことが何よりも心配だ。理事長の話では僕たちは玲羅の次の三組目に迷路へ入った。だと言うのに一向に会うことはない。耳を澄ませば戦闘音は聞こえるため先程のようなことはないだろう。が、ここまで会えないと言うのは不安でしかない。
「あー、わかった。なら、回復に勤めるぜ!」
「うん、なら─走るぞ」
親指をたてつつどやる大悟の答えに何処かほっとした。同時に、現れたデュエンデを睨み付け閃を発動させる。数は一〇。しかし、同時に倒せば数など関係ない。
「おう、了解した!!!」
「あぁ……」
地面を軽く蹴る。それだけで良い。閃の特性はただ超加速に限る。
「はえーな!」
「閃だからね」
デュエンデは斬ったところで剣に血が着くわけではないが気持ちの問題だ。血糊を取るつもりで剣を薙ぎいた。
「なぁ、大悟………っ、やべ」
索敵に何かが引っかかる。しかも、そこは大悟の真横だ。もう一度、閃を発動させる。が、大悟の真横に行った瞬間。僕等は何かに吹き飛ばされた。
「ウグッ!?」
「カハ…………」
大悟を庇う形で攻撃を受けた右半身をぶつけないよう着地し敵を見るとそこには迷宮の天井ギリギリまでの大きさと言う明らか。と言うよりも閃を使っていると言うのに攻撃が見れなかったことに少しだけ感動した。デュエンデであろうと何でも良い僕は僕より強い敵を倒して姉を守れると言うことを証明したいのだから。だが、感動した理由はそれだけではなかった。何故なら、デュエンデの姿は─
「う、すっげー!!ドラゴンだろあれ!」
「……うるさい大悟だまれ」
そう、ドラゴンだった。
しかし、歳的にもそんなことで声をあげてまで喜ぶわけにはいかない―と、考えていたのだが代わりに声をあげて喜ぶ大悟に八つ当たりじみたことを言った。少しだけ、そのように振る舞えることが羨ましかった。
「顔を赤く染めてる凜に言われたかねーぜ?……ドラゴンすげーな、初めてみたぜ」
「…………うるさい」
僕だって男の子だ。やはり、ファンタジーものには反応してしまう。ドラゴンは例外じゃない。逆にドストライクだ。
──やはり─前言撤回しても良いだろうか。
大悟バーサーカーは馬鹿なだけだ。
が、とても良いやつだ。
その時、僕の反応に対して笑顔を返してくる大悟に心からそう思った。
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一〇分程経過したところで僕らは名(固有名)も知らないデュエンデを倒した。
「しゃっ!」
「あぁ………お疲れさま」
勝利に喜ぶ大悟がこちらに拳を突き出してくる。多分、良くアニメで見るアレをやりたいのだろう。
突き出された拳を鬱陶しく見るが大悟は笑顔でそれを続ける。大悟がどんなにしたがろうと、個人的にはしたくない。
──先程の戦闘はかなりの苦戦を強いられた。大きいだけならまだしも、一撃は骨が折れるかと思うほど重いし、防御力と、言うかなんと言うかとりあえず、鱗が堅い。それが、セイバーとはとても相性が悪かった。
セイバーの特徴は高い機動力と汎用性。それにより繰り出される速さ《スピード》と火力が強みだと言うのに、狭いこの場所ではスピードはいかせないし、同様に火力も本来の半分も出せなかった。最も、回りに生徒が誰一人として居ないことがわかっていれば確実に一人で倒せたかと言うと自信はあるが、時間がかなりかかったであろう。
そのため、休んでくれと言った傍から大悟にも戦闘に参加してもらうと言うとても恥ずかしい(?)ことが起こった。
そのため、今この拳に拳を合わせて良いのかわからなくなっていた。
「………」
結局、軽く拳を合わせ、即方向転換した。先程の戦闘中に巻き込んだ─巻き込んだと言うか大悟が破壊した壁の向こうに居た─女の子の元へ向かう。
「怪我はない?」
「……大丈夫です…気を付けてください……って、君か」
「ん?会ったことあるっけ?」
初対面だと思ったのだがこれまた記憶を遡るはめになった。が─
「いや、理事長が君の個人情報をさらっと言ったから」
「なるほど」
もはや、それしか反応ができない。理事長のお陰で広く知れ渡ったものだな僕も──高校に入学できてすらいないのに。
「じゃあ、怪我もないみたいだし僕たちは行く──よ?」
あまり他者とコミュニケーションをとるのが苦手のため離れようと思ったのだが索敵に引っ掛かった殺意で矢らしきものが頭を狙って飛翔して来るのがわかる。振り向き様に顔を反らし避ける─と後ろに居る彼女にも当たるかもしれないので耳元で一応掴み、確認するついでに大悟を見ると矢を握りつぶす姿があった。
「なぁ、これは俺喧嘩売られたとしか思えないんだけど」
「………そうだな(喧嘩を売ったわけではないだろうけど)、ねぇ、き………名前は?」
金髪と呼ぶのは可哀想だ。かと言って名前は知らない。ここは一度聞くべきだろう。自分の名前は多分言う必要はない。
「………百合ほのり」
「よしわかった、ほのり………なんで狙われてる?」
「い、いや………狙われていると言うか……なんと言うか」
「ふむ………ん?ほのり?んー、どこかで聞いた名前だな………、ねぇ雑誌に載ったことあったりす───」
再度飛翔してきた矢に会話を遮られ腹が立ち今度は全て斬り落とす。
どちらかと言うと狙いは僕と大悟に集中している気がする…………仕方がない。
「大悟、頼んだ」
刹那を見極め、前に重心を預けつつ腰を深く落とし床を蹴る。一瞬で一〇メートル程駆けると、体を宙に浮かし矢を放ってきたであろうアーチャーを視認し、同時に左手に握った鞘で番えた矢を叩き落とし懐に入ると左足でブレーキを掛け体勢を立て直し剣の腹で横腹ではなく顔面を強打した。
「ぐぁ………!?」
「ちょ、武!?って……あっ」
「…………………何人居んだ。めんどくさい……全員出てこい」
少しだけ魔力を放出し今叩き伏せた武と言うアーチャーを跨ぎ前へ進む。魔力を放出させているわけはこの方が多分無駄な戦闘はしなくてすむだろうと考えたためだ。最も理事長が余計なことを言ってくれたお陰でみんなが僕を無駄に警戒しているからこそできることなのだが。要するに手品のようなものだ。布石がなくてはさほど効果はない。
案の定、降参の意味を示しながら出てきてくれた─が、僕は容赦なく全員を気絶させた。少なくとも試験ギリギリまでは意識を取り戻すことはないだろう。
「凜、お前ってやつは─」
「ひどい人ね」
「なに二人して呆れ顔してんの?」
ようやく訪れた静寂に安らぎを求めようと思っていたと言うのに何故だろう。何か、人としてどうなんだろうと言われて気が気でない。っと、普通の人間なら考えるようなことを僕が試験中に考えるわけもなく二人に言われても特に気には止めなかった。
「いや、別に…………っておい、凜、肩。肩怪我してんぞ?」
「ん?…………あぁ、ほんとだ。痛くなかったから気がつかなかったよ」
いつやられたのかは知らないが一応、服を引っ張り怪我の様子を見る。深さにして三センチほどだろうか。そこそこ深いと言うのに良く痛みを感じなかったものだ。
「血も出てないし、大丈夫でしょ。それより─」
「先を急ぐか?」
「うん、ほのりのことは歩きながら聞かせてもら─いや、やっぱり走るぞ」
「そんな、対したことしてないけどな……ほのり」
一人称は下の名前か。どうでも良いことを考えながら二人を促し玲羅が居るであろうゴールへ向かって走り出した。
「ゴールならここだよ」
ほのりの言葉に、彼らは絶句した。
もちろん、同じ試験参加者でありながら何故ゴールの位置を知っているのか問われたが先程、ほのりが居たところはゴールそのものだったのだと説明をすると何故か二人は納得し先程、大悟が壊した壁のところへ方向を転換し戻ったのだが、普通なら破壊不可能なオブジェクトだったらしく教師が配置されそこから入れなくなっていた─その時、バーサーカーが要らぬことを言ったために何故か私を含めた三人で軽い説教を受けた──ので正規のルートをもう一度私は二人を案内する形で歩いていた。
「凜ー、やべぇ、俺魔力切れそう~」
「はぁ?さっき温存…………悪かったな」
「しゃーねーよ、凜一人だったらまだ時間かかったろうしな」
先程のドラゴンのことを言っているのか。確かに、あの狭い通路ではセイバーの凜には辛いだろうが倒せないことは無かっただろう。試験でなければ、の話だが。
「次、右に曲がって」
前を歩く凜に伝えると凜は「ん……」と、だけ小さく応え曲がると同時に剣を腰から抜いた。多分、デュエンデが現れたのだろう。
私たちは今、凜、私、大悟の順で列を組んでいた。理由としては、今私から魔力が一切感じれないからだ。道を案内する上で案内人が一番前になるのは普通なのだがそこでデュエンデならまだしも、生徒。それも人を攻撃することを躊躇わない人だった場合。私に攻撃を仕掛けてきて守れるか不安だかららしい。それと、年下─飛び級して試験を受けていることを伝えた─に前を歩かせるのは何処と無く不安だと言う二人の意見がごり押しされた結果にある。っと言っても私から魔力が感じられないのには理由があるし私より疲れはてたいる大悟が後ろを守ると言うのには気が気でなかった。
「後、この道を真っ直ぐ歩けば………って、あれ?」
凜の戦闘が終わったのと同時に私も曲がりつつ言うと─
そこには大きな壁が聳えていた。
「んー、壁あるじゃんー、道間違えたんじゃね?」
「ま、間違ってないよっ!?確かにこの道…………」
後ろから怠そうな声を発する大悟に着いた私は反論を返した。
………なんでだろう。えーっと、んー…………。
「大悟、試験の内容忘れたのか?道が入れ替わるって書いてたぞ」
「………………そうだっけ?」
「そうだよ」
困っていると凜は一人涼しげな顔をして歩きながら大悟を見つつ説明をしてくれた。
そう言えば、私に出会う前から凜は戦闘を繰り返していると聞いた。だと言うのに凜の顔には何一つ疲れの色はない─めんどくさいと言う顔は浮かべている。それどころか凜は感じられる魔力はまだ限界が見えなかった。普通なら四時間弱の、戦闘を続けて魔力が尽きないにしても最大の魔力量からかなり遠ざかっているはずなのに……凜のそれはまだ見えそうになかった。最大値は確かに知らないが明らかに最大値が高すぎる気がした。そう、簡単に言えば凜自身の魔力にもう一人分プラスされているような─
「…………壁破壊するのって本当は駄目なんだよね?」
「んぁ?あー、そう言ってたけどまぁ、俺は壊してしまったけどな」
「つまり、壊せなくはないってことだ………よし、面倒だから──」
壁から視線を外すことなく握り続けていた剣を構えると刀身を紅く染めた。
「………………!!」
とても小さな声─聞き取れなかった─で技の名前を呟くと息を吐き出し一拍。凜の体から魔力が溢れた。同時にコードに刻まれている技を発動させそれを壁へ刻み込む。
「………そんな、薄い刀身じゃつけられる傷なんて無理があるよ」
「んにゃ、凜ならいけるだろ」
次々に繰り出される斬撃は壁に小さな傷を刻んでいく。しかし、それは次の斬撃が刻まれる頃には消えている。それでは駄目だ。明らかに壁の回復力の方が早い。しかし─
「………え?」
無言で刻まれていく斬撃は次第に大きさを増していった。刀身から弾ける魔力の粒子は綺麗で紅いためか私は花火を連想した。しかし、本物を間近で見たことがなかったため、想像はさほど広がらなかったが、こう言うものなのかと心が気持ちよくなった。
「…………っ!」
だが、私の頬をちらりと照らした粒子は少しだけ髪を焦がした。それが、何だかとても懐かしい気がしないでもない。
「すごい……………」
「はぁぁぁぁあああああ!!」
自然と出た私の感想は凜の叫び声が重なったため、多分私にしか聞こえていないだろう。
ドゴォオン!!!!!
一分越えた連撃の最後の一撃は突きだった。コードが違うとは言え今の技は見たことがなかった。私に反逆者ルーインとしての傾向が現れたときに専門の機関を通ったがその時一通り他のコードの技や特性も教え込まれた。が、その見たことのある技全てにあれは似ていなかった。
「…………よし、行こうか」
穴の開いた壁を腰に手を当て満足そう見つめている凜の背中を私はとても大きく感じた。もとの年齢の差はある、身長の差も。しかし、それとは別の物を──
「ん?ほのり、行かないのか?」
「……行きますよー、だ」
感じていたのかもしれない。
どうでしたか?
一応誤字やらは訂正しつつ投稿してはいます
できてなかったらコメントなりTwitterダイレクトなりくれると助かりますm(_ _)m
では、次の投稿でm(_ _)m




