デジリアルワールド
深夜一時に投稿するように設定したので急ぎ分割してます()
では、本編どうぞ( ゜д゜)ノ
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道中、少し厄介事に弟が首を突っ込んだが大事に至ることなく二キロほどの長い通学路を二人で肩を並べ歩いた。
「ね……玲羅、ここでなにするんだっけ?」
「ここで、ドライブの登録をするのよ」
入学式は正確には明日。
今日、ここに来た理由は………………そう。ドライブ内に登録されているフォームライセンスを登録のためにやって来たのだ。理由は先程のようなことをしても、法律を犯したことにならないようにするため。
未成年のコード保持者は高校生になるまで都市圏内でのコード使用が法律で認められていない。主な理由としては力の制御などが出来ないから。もちろん、中にはできるものも居る。あたりまえのことだが、強い人よりも弱い人たちが多すぎるためそのような制度が儲けられている。それともう1つ、建造物を誤って破壊してしまった場合、修繕費が払えないからだ。
しかし、高校に入学。つまり、所属してしまえば、建造物を破壊してしまった場合国が全額負担してくれるようになる。
そのあとが、これまたむずかしいことなのだがその高校。つまり自分達はここ、【デジタル仮想高校】に所属する。そう言う形で都市内(または依頼)で起こる事件をクリアしその報酬の3分の1を高校に納める。と、言うシステムになっている。絶対条件と言うわけではないのだが。
コードを登録しない理由はコードとドライブが対のものであるのと言うことと、凜のコードか特別なコードだからだ。それは人類が喉から手が出るほどほしい想像上の幻だった、「幻想コード」の完成形。そんなことがばれてしまえば凜は死ぬまで実験体に使われてしまうだろう。それはなにがなんでも避けたい。
「セイバーどこかな~?そこかな~?」
私がそんなことを考えていると露知らず。陽気な声で凜が隣で歌い始める。珍しく機嫌が良いようだ。
正確には自分のフォームライセンス登録場所を探しているのだがどうも、他から見るとふざけてるようにしか聞こえないかもしれない。その証拠に少々回りがざわついてるにも関わらずに周囲にいる多数の生徒に睨まれる。視線がどこか場違いなものを見るような目をしているから居心地は悪い。
「凜、静かに………ね?」
左手の人差し指を唇に添えて片目を瞑る。
「ん、わっかま~」
「はぁ、普通に「わかりました」って言いなさいよ」
ため息混じりの言葉を吐く。落胆しつつ、いつもながら元気な弟を見ていると微笑ましく思った。
因みに、「わっかま」は「わかりました」の凜なりの略だ。
と、そこに──
「お前、…………セイバーなのか?」
人混みの中から多分凜に対してだろう声が聞こえる。
声がした方を見ると両手に真っ赤な指ぬきグローブをはめ、ブレザーを、一応は着てはいるが前のボタンを閉めずシャツの裾をズボンから出して、格好からするとあまり関わらない方が良いでしょう風な不良っぽい雰囲気の男子生徒が一人、人混みの中から出てきた。
近づいてくる度に聞こえてくる金属が擦れる音はズボンにチェーンをつけているためだろう。シャツでちょうど隠れているが多分間違いない。
それはバーサーカーコードを保有している人の中で流行りのファッションアイテムだろう。私が彼をバーサーカークラスだと決めつけているのは手にはめている物がただのグローブではなく、なにもカスタマイズされていない旧型のドライブだとわかるからだ。
「…………そうだけど、何か?」
この一言に周りがざわつく。確かに聞く人にしてみれば挑発的なイントネーションだが、これが凜の素だ。仕方ない。だが、そんなことを知るよしもない生徒らがざわつくのは仕方がないことかも知れない。
「あ、あぁ。わり、喧嘩しよって訳じゃないんだ」
やはり、目の前の彼もそう受け取ったらしい。頭をかきながら軽く謝罪をする。
そして、一拍置いてから両手を差し伸べてきた。
右手を凜へ、左手を私に。
「俺は薊大悟。コードは見ての通り、バーサーカー。よろしく」
「は、はぁ……よ、よろしくお願いします?」
「………………」
差し伸べられた自分より一回り大きな左手を握り握手を交わす私に対し、凛は大悟の手を握ろうとしない。目を合わせるのが怖い程の威圧を放ちながら、無言で無視を貫く。
「凜?どう──」
─したの?
どうしたの?っと言いたかったのだがそれよりも先に凜が口を動かしたため黙る。
「名乗られたから名乗り返す。セイバー、橘凜。そして隣は姉の玲羅」
そう言って大悟の手をとる。何事も起きなくてよかった。そう思った矢先──
「え!?姉って。ま、え、身長差………」
頭にいくつかの?マークが浮かんでいるであろう大悟の困惑した声が聞こえる。
確かに私は凜の姉でありながらなんと、凜との身長差四〇センチも低い。だから、それなりに事情を説明するのがかなりめんどくさい。
「うん、玲羅は自分の姉だよ。………あ、そうそう」
突然、言葉を区切った凜が屈託のない、無邪気な笑顔で爆弾を投下した。
「玲羅に手を出したら、命がなくなると思え」
「物騒なこと言うなー。っておま、それ、シスコン発言だろ」
シスターコンプレックス、略してシスコン。その言葉を聞いたのはもうら何回目だろうか。少なくとも3年前には言われていた気がする。多分、もう一〇〇回程は聞いているのではないだろうか。
「あ、背は凜……弟の方が大きいのだけど、私が…………姉です」
あえてシスコンの所には触れず、握手を解きながら言う。
「あ、そうなんですか!………なんか、あまり世の中に興味なさそうなのに可愛い奴ですね!」
突然、しゃがみ口を手で凜に見せないようにして私の耳元で大悟が言う。少し、余計なことを言われたがまぁ良いだろう。
「ふふ、そう言ってくれると助かるわ」
大体、この説明をするとどこか不気味がるのだが目の前のバーサーカーはあっさり信じてくれたようだ。ここまでの身長差があると親が再婚してできた義理の姉弟だと思い近寄られなくなるのが今までだったのだが、彼はちょっと違った思考を持っているようだ。
「まぁ、この可愛い弟を虐めず、仲良くしてやってください」
社交辞令だと思われる言葉を言いながら鞄を持っている手も前で重ね、まるで礼儀作法の見本のような一切のぶれがないお辞儀をする。
「あ、はい!よ、よろしくお願いします!!」
ばっばっ!、と音をたてながら慌ててお辞儀を返してくる。
会ったばかりのため彼の事は分からないがピシッと両手を太ももに当てながらお辞儀する様は何故か納得がいった。もしかして彼が──そう走りかけた思考を途中でやめた。彼に話しかけられたから。
「所で変なことを聞いても良いですか?」
「えっと、どっちに?」
一応、先程の会話からして敬語で話すときは私に向けて話しているようだから、多分私に向けてであろうがここは一応聞いておこう。
「あ、姉御です!」
「え、姉御?姉御って…………私!?」
驚きが隠せない最中、凜の一言でさらに場が荒れる。
「ん?誰の許可を得てそんなことを言ってるのかな??」
「ちょ、凜!」
「えぇー、許可貰わないと駄目なのかよ」
「うん」
「ねぇ、ねぇって!」
「誰に」
「僕に」
「……………」
「シスコン」
「聞きなれたよ、僕の名前は凜だ。そう呼べ」
「上からだな、俺は大悟で良いぞ」
「そのつもりだ」
「で、許可は?」
「………良いよ」
何故か蚊帳の外に出された私は喧嘩沙汰にならないかヒヤヒヤしながら二人の会話を聞く。その視線を感じとったらしい。凜が大悟に向かって手のひらを差し出す。いや、違う何かに意識を向けただけのようだ。そして、先に玲羅への質問をどうぞ。そう言った。
「あ、あぁ。すません!つい………あ、で質問です」
改まって姿勢を正し敬語を使ってきたためなにかと思う。
先に話しかけてきたのは大悟の方だったと思ったのだが記憶違いだろうか。
「あ、姉御はブラコンですか?」
「へ?そんなこと?そんなことを聞くために?」
あまりにも真剣なその大悟の眼差しにもっと何か聞かなくてはならないものなのかと思っていたのだが。 拍子抜けだった。と、その時──
「…………玲羅、ごめん」
「え?」
突然、ぼそっと私にだけ聞こえる音量で凜が言う。
「………じゃあ、そろそろ登録に行ってくるよ、玲羅、待っててね~。
あ、大悟もそろそろ登録に行けよ」
突然、思い出したかのように一言だけ添えてから走りゆく凜の背中に向けて手を伸ばすがもう、届かない。
仕方ないので叫んだ。
「一人で大丈夫なの~!!凜!」
「大、丈、夫、!!」
テンポ良く返ってくる言葉はある種の不安を抱かせるが、我弟を信じることにしよう。
「全く、うちの弟は元気なんだから」
そう呟いて見えなくなるまで凜の背中を見続けた。
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いや~。
困ったな、参ったなー。
そう、思いながら僕は体育館を背に廊下を突き進んでいく。
多分、僕が声に出していたら全然困ってないように聞こえるだろうが、本当にいつもよりは焦っていた。
先程、登録場本部の中で怪しい気配が自分のコードに含まれているスキル(常時発動の索敵)に引っ掛かったため、目を向けるとちょうど黒ずくめの大人が出ていくのを見た。がやがやしているため気づいた人間はそうは居ないだろう。気づいていたとしても学校関係者だと思っていたはずだ。
そのため何かしらの言い訳を言ってから追っている最中なのだが…………。
登録場、つまりは体育館と反対方向にある関係者以外立ち入り禁止の廊下まで歩いていた大人が突然、消えたのだ。
正確には僕の目の前で現れたデュエンデに喰われた。
が、しかし。襲われたようにはとても見えなかった。
何故なら、立ち止まったかと思うと空中に何かしらの文字─多分、ルーンコードの文字を描いたと思った。と、同時にゲートが開き、喰われたからだ。
それも、長身の大人を丸呑みできるだけの大きな口を持ったデュエンデに。
「建物内に…………中型のデュエンデが出るって………それ事態がおかしい」
頭を傾げつつ左手を顎の辺りに当て、いかにも考えてる人。風なポージングをとる。
嘴だけだったため、確証はない。だが、間違いなく中型が現れたのだ。それだけは言い切れる。
確か、名前は…………
「──ッ。あ、れ?な、何だったかな…………」
名前を口にしようとした途端、脳に激痛が走る。同時に白黒の砂嵐が自分の何かの記憶を隠す。砂嵐がひどすぎてその記憶がなんなのかはわからない。しかし、わかるのは一つ。その記憶では人が殺されている…………のか?
「………とりあえず、視るしかないか」
原因不明な痛みに耐えながら自分に流れている本当のコードの縛りをちょっとばかし緩め、スキルを使う。
「んー、後で玲羅に怒られるかな……」
そんなことを考えていたその瞬間、目の前の空間が歪んだ。
ほぼ、反射的に床を蹴り後ろへ飛び退く。止まるために両足を大きく広げ靴底と左手で床を擦る。が、急に勢いを殺したためか、もちろん静止はするがキュっとかなり大きな音が鳴ってしまった。
突然だったためやむ終えないと言えばそうなのだが、できれば避けたかった。
しかし、今の音で誰かが来てしまう。などと考える余裕も無かった。
右手には既にフォームライセンスにアクセスしロードし終えた武器を握っている。本来、流れているコードの影響なのか、いつものロード時間より遥かに早い。
──いける。
そう思ったのも束の間。
まだ、鞘が付いていることに気がつく。
「…………鞘と別々に召喚するの忘れてた」
当然、この状態からは攻撃ができない。
「あぁ、やばいかも…………」
今更ながらあることを思い出す。
まだ、登録してなかったんだ…………。
登録していないため、本日二度目の違反行為だ。
反射的に、出してしまった。とは言え、違反は違反だ。
そう、考えながらもコードよりもたらされるスキルの一つを使う。
「インデクス(全てを視る眼)」
瞳孔が緑色に輝く。
同時に眼から見える景色が、より鮮明に。より鮮やかになる。
「あぁ、やばい??」
見えるようになった景色にはもちろん普段は見えない向こう側が見える。
そこには、自分を明らかに睨んでいる影があった。しかも、自分に攻撃する体勢で、それも超至近距離で。
「キュルルルルルッ!!!」
鼓膜が破れてもおかしくない程の音が届く。それと同時にゲートが開いた。
「ファングル…………!!」
ファングル。狼型のデュエンデ。ランクはD。
攻撃力は大したことはないが群れで行動する習性あり。動きが速く囲まれるとまず、逃げ切れない。
「出させない……!」
自分以外に、誰も気づいていないも思われるこの状況。逃げるわけにもいかない。
いや、実際、姉だけを守れれば後はどうでも良い。だが、“万が一”が起こる可能性もある。
どのみち、ここで退治した方が良いだろう。
「ん………にゃろ」
まだ、鞘から抜いていないため攻撃できない。故に、ツーハンドブロックとか言う、柄と刀身部分を掴んで防御や抑え込みにしようする技を使っているのだが。この状態でずっといるわけにもいかない。
左手を離し両手で柄を握る。
「承認しろ。コマンド、ワールド・クラッシュ(絶夜の悪夢)」
コンマ〇`二秒遅れてセイバーから【承認】と、返ってきた。
同時に鞘の中の刀身と鞘が緑色のライトエフェクトに、包まれる。
そして、ファングルを一瞬突き放し横斬りをお見舞いする。いや、今は鞘に入っているため斬ではなく、打か。
どうでも良いことを考えている傍ら左手を離す。
次に繋がる一撃のために。
横殴り直後の体勢で静止しているとライトエフェクトが緑から赤に変わる。
それを合図に右腕を跳ねるように上げ背中にピタリと付ける。
「ふっ!」
声と同時に上から叩き落とす。
ファングルの、頭を狙ったワールド・クラッシュ最後の一撃は見事にヒット。
ファングルが悲鳴を上げ、仰け反る。
「いっま…………!」
この隙に剣を抜き、縦横無尽に斬り付ける。
「キュル…………」
叫びを残して、ファングルはポリゴン片になり、散った。
そして、その破片を回収しつつゲートを斬る。
閉まり始めたゲートの奥にはまだ数匹のファングルが居たが出てこようとする気配はない。もしかしたら、今のがお頭だったのかもしれない。少し、困っているのが伝わってきた。
数秒後──
「閉まった?」
インデクスで視ながら確かめる。
ゲートは一度開くと数日間発生しない。
だから、多分。大丈夫だろう。
つまり──
「終わったね」
先程とは一転。声音をいつもと同様にする。
インデクスを解除。瞳孔の色が元に戻る。
結局、なんだったのかなーあの男、と言いデュエンデも。
とかとか、一人で悩むが結局は答えはでない。当たり前だ、情報が少なすぎる。
とりあえず、一旦その事は棚上げし頭の片隅にでも置いておくとしよう。
──さて、戻るとしますか。
ため息を吐き、その場から離れようとする。
その際に何となく時間の確認をして………僕は驚愕した。
「あ………。時間がヤバイことに。急がなきゃ」
叫びながら数分前に通った道に向かって回れ右をする。
「ん?そう言えば、何だったんだろうか」
走りつついつの間にか感じなくなった痛みの原因が何だったのか、頭を捻るがなにも出てこない。
「ま、いっかどうでもー」
そう思い、とりあえず走る。
まずは、登録場まで戻り何事もなかったかのように登録し終えることが先決だ。
「ねーちゃんに怒られるよねー絶対」
陽気な声を出しながら体育館へ向けて全力で走った。
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約一分で戻った体育館にはまだ沢山の生徒の活気で溢れていて、少しほっとする。どうやら自分が思っていたほど時間はまだあるらしい。いや、コードを発動させた直後だったから運動能力が活性化されていたのか、いつもよりは確かに速かった気もしなくもない。
「…………ん?え、何か視線集まって………ない?」
いや、確かにドアを勢い良く開けて入った身だがこんなにも視線が集まるはずはない。勢い良くと言ってもさほどの音は立てないよう配慮した、つもりだ。
そのため、理由は良くわからない。
いつも隣に姉が居るためついつい空いているはずの隣に話しかけてしまう。
「あ、今居ないんだ」
「居るわよ?ずっーと前から」
「………………ぁ」
自分でも顔が青ざめていくのが分かった。もちろん、青ざめる原因は隣から伝わってくる、自分に対してのある種の【視線】……だ。
別段、怒っている訳ではない。かと言って優しい視線でもない。その、なんとも言えない視線に僕は大量の冷や汗を流した。
「あ、今──」で被された声の主は間違いなく姉である。………自慢じゃないが姉の事に関しては絶対に間違うことはない。と自負しているつもりだ。
それに声の発生源は真隣。だから絶対に姉でしかない。
その理由もまた凜のセイバーコードによる常時発動スキル、索敵に引っ掛かることなく近づけるのも姉たった1人でしかないのだ。
……大切な人の“笑顔”ほど怖いものはないな…………。
そう、実感する。
だが、弱気にはなれない。
だって、みんなを守った訳だし(結果的に)。
「あ、あれ?い、いつから居たの?ね、ねーちゃん」
真横に居る姉にあえて明るい声で話しかける。確かに怒られる原因・・を作ったのは僕だが結果よければ全て良し、だと思う。
「はぁ…………」
──案の定、姉から伝わってきていた視線は霧散した。
だが、玲羅はまだ負に落ちないらしい。
「それで?どーしてセイバーを使ったのよ………それ含め、あなたの“幻想マルチコード”の一部解放した理由も聞かせてもらおうかしらね。そして──」
「わ、わっかま~」
続けて述べられてくる言葉を遮るようにして発言し、やっぱりそこかぁー!っと思った。
目を見るのが躊躇われる。そのためそっぽを向きあたかも口笛を吹いているかのように口を尖らせた。
「………まぁ良いわ。さぁ、早く行きなさい?大悟君、探してたわよ。り・ん・の・こ・と」
最初、軽く睨まれたがとりあえず学校では怒るつもりはないらしい。それに語尾は少しだけ色っぽく言うところ、大丈夫だろう。と言うか、録音したかった。
「まじか…………捕まったら登録する時間無くなっちゃう」
体の向きを変える。
セイバーの登録場所は少し離れて体育館の上に位置している【視聴覚室】だ。
また同じ道をちょっとばかし戻らなくてはいけないらしい。
──めんどくさいな………はぁ。
と、言う考えに陥りかけたため頭を振り──
「行ってきます……」
そう言って大悟に見つからないためにもそうそうに切り上げ視聴覚室へ向かった。
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時は戻り凜が戻ってくる一〇分前。
「……………むぅ」
凜が登録へ行く。と言う名目で居なくなってからはや五分。
何か、様子がおかしい。と、気づいていたがあえてストレートに聞かなかった先ほどの言葉に対しての解答。
「「大、丈、夫!!」」
安心させるためにふざけた言い方をしていたが、やはり大丈夫な訳が無かったか。
凜が──弟が。自分に流れている【幻想コード】の縛りを少し緩め、力の解放。その上セイバーロードを行ったのだ。
…………離れているとは言え、私と凜にはお互いの状況がわかる【結び】が存在しているため、手に取るようにわかってしまうのだ。
「(ちょっと力を力を貸してあげましょか………)」
軽い落胆をしつつそんなことを考える。
「……………どうした?」
「えっ………!?」
突然話しかけられ悲鳴めいた声をあげてしまった。
「えぇ!?じゃましましたぁ!?」
「い、いや!大丈夫!!こっちの事情だから!」
軽く焦りながらも話しかけてきた大悟へ慌てて訂正をいれる。もちろん、両手を振るもの忘れない。
「事情………?あ、凜が遅いってことっすか?」
「…………そ、そうなの~!!凜がなかなか、戻ってこないなぁ~って!」
一瞬、返答に困ったが確か大悟は私のことをブラコンだと思っていることを思い出し、そのセリフに便乗する。
………実際、ブラコンであるかどうかは自分ですら良くわかってないのだが。
「確かに遅いっすね。俺、探してきます」
「あ、うん。お願いするわ」
「じゃあ、後で」
凜が向かっていった方と真逆の方へ走り去って行く大悟の背中を見送り、意識を凜へ向ける。
「あら?でも、もう戻ってくるところじゃない」
そう言ってドアの前まで行く。
そして、凜がドアを開けたときに死角になるであろう立ち位置へと身を潜めた。
こんなことをしても凜は、同じく私を感じることが出来るため意味がないのだが、凜は何かしらのリアクションをとるため、潜める。
ただ、リアクションは真に迫っているから、もしかしたら。私と違い、感情や思考面は読み取ることはできず場所までが限界なのかもしれない。
そして──
「ゴォォォゴトッ!!」
ドアが勢い良く開くと同時に風を纏った影が入ってくる。
「 …………ん?え、何か視線集まって………ない? 」
と、入ってくるなりぼやくのは凜だ。
その顔を見て無事に終わったんだなっと思いホッとし、軽くお説教モードに、入りつつ凜に話しかけた。
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何だかんだで登録も終わり一時下校中の僕こと凜、玲羅。そして、何故か大悟…………の、三人。
何故、大悟が居るのかと言うと。
「なぁ、近くのショッピングモールのカフェに、行かねーか?」
っと僕に提案してきたためだ。もちろん、僕は断るつもりだったのだが玲羅がそれに賛同したためこうなっている。
まぁ、僕は姉が良いのなら特に言うことも無いし、と言う考えの上に先程散々捜させたそうなのでその罪滅ぼしに一杯くらい奢ろう。的な意味も含め僕も了承したのが決定打なのだが。
「さぁ、飲むぞ~!」
学校から三〇分程度離れた所に位置するモール内にあるカフェ【フラワークレープ】の一番奥にあるボックス席を陣取るなりおっさん臭いことを言う大悟を尻目に姉の隣を陣取りつつあえて違う席に座る。
「おい、そう言うのやめてくれよ凜。
てか、姉貴も乗らないでください!」
店に入るなり背もたれに寄りかかりだらけた格好で占領したボックス席は店内の一番奥で何かしらの取引とか、売買を行うのにもってこいの場所だ。
「まさか………、ただ本当にお茶に誘った訳じゃ無いよね?わざわざ奥に入るくらいなんだし」
何となく思った問いを問いかける。
「んー?それ鋭すぎない?」
「いやいや、場所とか、立地考えろよ」
「かぁー!勘弁してくれよ」
そう言うのと、同時に跳ね起きる大悟。
その勢いでテーブルにぶつかるが、まだメニューを開いていただけなので水が溢れる。と言う被害はなかった。
「実はな?今晩行われるクラス分けの試験の話をしたいんだが…………」
「が?」
席へ移りながら先を促す。
しかし、妙なところで間を置くため訝しげに問い返す。
その僕の様子に何故か大悟はニカっと笑顔になりながら。
「まず、注文しようぜ?先から店員さんが困ったようにチラチラ見てるからさ」
と、言った。
その言葉にきょとんとしてしまう。
いや、大悟が言っていることは、もっともなのだがあまりにもそう言うことに対して気を使うタイプに僕には見えなかったのだ。
一度話を打ちきり、僕はホットコーヒーを、玲羅はアイスティー、大悟はなんとコーラを頼んだ。この流れでよくコーラと言ったな。と、思った。もちろん、そんなことを口に出すわけは無いのだが。
………飲み物が届くまでは先程の話の続きをするつもりは無いらしく、出身中学校の話やなんやかんや他愛のない話で時間を潰した。
しかし、僕は姉と違い人と、他人とのコミュニケーション能力が著しく低いため話が弾まない。大悟も僕にではなく、姉に話しかけてくれれば良いものを質問のほとんどが僕に集中している。姉と話していることと言えば名前の書き方と今日、家に来て良いかな?、と言ったことぐらいだ。何故、そんなことになったのかは知らないが個人的には来てほしくない。しかし、その願いは次の一言で打ち砕かれた。
「おし!凜、今日お邪魔するわ!」
…………どうやら、本当に来るつもりらしい。
「はぁ…………」
五分程経過したところで飲み物が届いた。さほど時間はかかってないが、僕にはとても長く感じた。
どうでしたか?
個人的には書きたいことは山ほどあるのですが今はかけないので次の投稿でm(_ _)m




