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 ex狂剣

二話以来のソウジュ登場。

ただし名前だけだし、散々な言われようですが。

「トリプルって本当にいたんだな。俺、初めて見るぞ。せっかくだから拝んでおくか」


 そう言ったハヤードはサダーシュに向かって手を合わせる。


「ちょ、やめてよ。拝むのならちゃんと寄進してからにしてっ」


「うわっ、仲間から金取るつもりか。っていうか、ご利益はなんだよ」


「えーと、ご飯がおいしく食べられる?」


 なんとも微妙なご利益だった。


「サダーシュがソウジュと同じトリプルなら強いのも納得だな。あいつも滅茶苦茶強いし。どっちが強いかって言われても判断つかないぐらいだからな」


「ソウジュも使う剣は一本だけだったな。変なこだわりは捨てて他の武具も扱えるようになれって何度言っても聞かなかったし」


 レフターナとシンハースは道場時代を思い出して笑い合っている。

 特に同じブレイドだったシンハースは一本の剣にこだわり続けるソウジュを何かと気にかけていたのだが、頑ななソウジュは一切耳を貸そうとはしなかった。

 それでも同輩のことを思いやり、声をかけ続けたのは彼の人徳と言えるだろう。


「トリプルってそんなに珍しいの?」


 サダーシュの質問にケインズが口を開く。


「珍しいというか、ほぼいないんですよ。トリプルだと肉体が極端に弱かったり、精神的に不安定な場合が多いですから。貴方のように健全な成長をする人は本当に珍しいんです」


「そういえばサダーシュっていつもよく食べるよね。毎回、おかわりしてるし」


「し、してないよ!?」


 ヘイステイシアの言葉を慌てて否定する。


「いや、してるだろう。男の俺より食ってるぞ」


 レフターナの言葉に一同が笑う。


「なんでみんな笑ってるのよ! 私、そんなに食いしん坊じゃないからね!」


「どんな料理でも美味しそうに食べてくれると食堂のスタッフが喜んでいましたよ」


 イーサティアにそう言われ、サダーシュは喜んでいいのか文句を言うべきか悩んでいたが、結局、何も言わなかった。


「でもさ、まさかサダーシュがソウジュと一緒に戦っていたなんて思わなかったよ。あの子ってやけに運がいいんだけどさ。変な子なんだけど。普通さ、幻想蛇に襲われて迷ったら死ぬよ? 変だと思わない? 毎年、何人がそれで死んでると思ってるのよ。それで生き延びたどころか倒しちゃうなんてさ。絶対にソウジュは変な子だよね」


 ヘイステイシアの変な子連呼に、ソウジュに会ったことのないハヤードは微妙な表情をしていた。

 やはりトリプルともなると性格面でも歪んでいるのだろうか、と。

 それならサダーシュはマシなのかもしれない、と。


「そんなヘンな子じゃなかったけどなー。ちょっと猪突猛進なところがあって、こっちの話を聞いてくれなかったのは事実だけど」


「そこが変なんだって」


「そうそう。絶対変だから」


「あいつの吶喊ぶりとかマジありえないからな?」


「……いつも踏まれていたのが懐かしい」


「迷惑をかけられたのは一度二度ではありませんからね」


 ロウマインド流の門下生にとって、ゾウジュの後先顧みない暴走っぷりは見慣れた姿であった。


 町でケンカがあれば首を突っ込み、近くに魔獣が出たと聞けば一も二もなく走り出し、道場では誰かれ構わず稽古と称して斬りかかる。

 ロウマインド流の狂剣とはよく言ったものであった。


「それでもソウジュは大切な仲間です」


 イーサティアが言うと、ヘイステイシアたちは笑い合う。


「稽古って言ってるのにマジで斬りかかってこられるこっちの身にもなって欲しかったぜ」


「お嬢にだけは懐いてたけどねー」


「あいつが俺たちを仲間と思っているかどうかは微妙だけどな。いや、俺は思ってたけどな?」


「……できれば甘えたかった」


「彼女はお嬢に依存することで自分を維持していたのではないかと思うんですがね。やはりトリプルは不安定な存在なのでしょう」


 散々な言われようなのだが、彼らはみな笑っている。

 決してのけ者にしていたわけではないのだ。

 ソウジュの実力を理解し、その扱いにくさを知り、その上で仲間として共に過ごしてきたのだから。


「そういえばソウジュの体調はどうなの? 王都に来る途中の町で養生してるんでしょ」


「ええ。もうそろそろこちらへ来られるだろうということでした」


「そうなんだ、よかったね。私もソウジュに早く会いたいなー」


 しばらく考え込んでいたヘイステイシアが口を開く。


「学院長がトリプルとアーツが同じだと言ったのは本当なのか?」


「ええ。実例が少ないので正しいかどうかはわかりませんが」


「ではそのソウジュという者も体内から剣を出せるのか?」


「そんなことないよ。びっくり人間じゃあるまいし」


 ヘイステイシアが否定すると、全員の視線がサダーシュへ向けられる。


「ひ、人によって得意不得意があるってことじゃないかな? あは、あははは……」


 冷や汗をかくサダーシュにイーサティアが助け船を出した。


「ソウジュが学院へ来たらそのあたりの調査も進むでしょう。でも今は対抗戦です。必ず勝ちましょう」


「「「おー!」」」


 空に向けて拳が突き上げられた。


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