勇者不完全②-8
面白くする方法とかわかりやすい文章とか、まだまだなところは多いですが、とりあえず継続するのは大事だろうなあと思うので、コツコツやります。
「いい加減、落ちろよ!落ちろ!」
砲兵手は叫び、力任せに砲台を殴りつけた。砲弾をすでに五発以上命中させてなお、平然と砦の空を飛び回るそれ、苛立ちと焦りを隠せずにいた。大戦時には魔物を数匹まとめて仕留めたこともある砲弾が全く通用しなかった。魔術で火力を高めた爆炎弾で何度見舞おうと、その魔物は犬歯をむき出しに笑いながら、砦への攻撃を続けた。その魔物のハンマーの一振りで砦壁は兵士たちを巻き込みながら土くれのように砕かれ吹き飛んだ。
「爆炎弾はもういい!あいつに火は利かねえ、徹甲弾でぶち抜いてやる!」
装填手を怒鳴り、砲撃手は慌てた様子で砲弾を大砲に装填した。魔術の付与された爆炎弾と違い、ただの鉄の塊で出来た徹甲弾、しかしそれゆえ物理的な破壊力に優れ頑丈な攻城兵器を破壊するために用いられる砲弾、ただの魔物に使えば体の大部分を跡形もなく吹き飛ばしてしまうそれが今一匹の魔物を仕留めるために使われようとしていた、普段より重くなった砲台を動かし砲兵手は狙いを定めた。魔物は他の砲弾を避け、時には真っ向から受け止めながら砦の内側に炎の塊を吹き付けていた。こちらに気付いた様子はまだない。やけに冷たい汗が、砲兵手の額から頬に流れた。
「……!」
あふれ出る殺意を胸の奥に押し込み、砲兵手は努めて冷静に起死回生の徹甲弾を発射した。砲兵手の狙いは正確だった、徹甲弾は炎を吐き続ける魔物の額目がけ高速で飛んだ、避ける必要のない砲弾とタカをくくっているのかその魔物は視界に捉えながらも一切の回避行動をとらなかった。徹甲弾は狙い通り、その魔物の頭部に直撃した。
「やったか!?」
「いえ、まだ生きてます!健在です!」
魔物の動きが止まったのは一瞬だった。その魔物はのけぞった首をすぐに戻すと、徹甲弾の出所、砲兵手目がけ黒い翼を羽ばたかせ飛んだ。首から上が吹き飛ぶかに見えた砲弾は魔物の額から血を一筋滴らせただけで、致命傷を与えるには遠く及ばなかった。これまでと変わらぬ、むしろひと際強い狂笑を浮かべながら、魔物は高速で砲兵手に迫った。
「じ、次弾装填!急げ!」
「ま、間に合いません、早すぎます!」
砲兵手は目前まで迫っていた魔物を見た、黒く大きな翼とは対照的な小さく華奢な体、翼と体のあちこちを覆う黒い鱗以外は、人間の少女と言っても差し支えない姿だったが。自分の身長以上の長大なハンマーを振りかぶるその姿は、砲兵手に死神を連想させた。
「結構やるじゃん!これは、お返しだよ!」
様々な破壊音の響く砦にひと際大きな破壊音が鳴り響いた。ハンマーの一振りとともに砲台は砦の一部ごと粉砕され、砲兵手と装填手は小石のように空中に投げ出された。
「……ば、バケモノめ……よくも……」
右半身を殆ど失った状態で砲兵手は呟き、空中で絶命した。砲兵手の亡骸が地面に叩き付けられる頃には、サーガは次の砲台へ向かって飛び去っていた。
全然関係ないですけど、ポトフって作りやすくておいしいですね。好きです。




